<日経クロステックSpecial>オンプレ構成をクラウドで管理「vSphere+」活用術を徹底解説

統合仮想化ソフトウエア「VMware vSphere」のラインアップが拡充された。新たに提供された「VMware vSphere+」は、VMware vSphere環境で実行されるワークロードを、クラウド環境の「VMware Cloud Services」から統合管理できるマルチクラウドプラットフォームだ。オンプレミスの仮想環境とコンテナ環境を単一のプラットフォームに統合し、クラウドサービスのように柔軟に運用できる。

株式会社ネットワールド
マーケティング本部
セールスコンサルティング部
セールスコンサルティング1課
菊地 俊太

目次

VMware vSphere 製品群のライセンス体系

VMware vSphere+の提供により、vSphereのライセンス体系は大きく3つになった。利用にあたっては、その違いと特徴を押さえておく必要がある。

まず課金形態はCPU課金に加え、新たにコア課金が追加された。最小単位は16コア。8コア、12コアなど16コア未満の場合でも、1CPUあたり16コアライセンスとしての購入になる。最近のサーバーは16コアや24コアのものが多い。課金形態もこうしたトレンドを踏まえたものになっている。

「ライセンスコストだけを考えるなら、20から24コアのCPUで、性能が高いモデルを選定して統合率を上げるとコストパフォーマンスがいいでしょう」とネットワールドの菊地俊太氏は提案する。

VMware vSphere+では、従来のVMware vSphere Perpetualでは別売りだったサポートとサーバー管理ソフトウエア「VMware vCenter Server」も標準実装される。

またvSphere+はクラウド管理を前提にしているため、VMware Cloud Servicesとオンプレミスをつなぐ「VMware vCenter Cloud Gateway」の設置が必要になる。「vCenter Cloud GatewayはvCenter Serverを最大8台まで管理可能です」(菊地氏)。

VMware vSphere 製品群のライセンス体系

VMware vSphere+の課金形態はコア課金。サポートとvCenter Serverも標準実装される

開発者向けのTanzuの利用が可能
コンテナ開発やデプロイが可能に

VMware vSphere+だけにできることも多い。例えば、VMware vCenter単位でクラウド上の管理コンソールから一括管理が可能になる。VMware vSphere+上の仮想マシンのインベントリだけ集中管理したり、VMware vCenter Serverのイベントをクラウドコンソール上から確認することもできる。VMware vCenter Serverのライフサイクル管理や構成管理も簡素化される。

セキュリティヘルスチェックサービスもある。「メーカー推奨のセキュリティ設定とのギャップを可視化し、どうすればギャップを修正できるのかもガイドします」と菊地氏は話す。

開発者向けのKubernetes管理を実現する「VMware Tanzu」を利用できるのも大きな特長だ。「これによってインフラ全体を一元的に管理し、セルフサービス型Kubernetesプラットフォームを実現できます。コンテナによるアプリの開発やデプロイをよりスムーズに行えるでしょう」と菊地氏はメリットを述べる。VMware vSphere環境を、クラウド時代のアプリケーション開発に最適な基盤に進化させられる。

導入方法は新規購入のほか、SUP(Subscription Upgrade Program)によるアップグレードが可能だ。SUPは既存のVMware vSphere Perpetualライセンスに対して適用される追加購入プログラムのようなもの。「新規購入よりも割安な価格設定です。さらに16コアを超えた費用は32コア分までVMwareが負担してくれるため、ライセンスコストの負担を減らせます」と菊地氏は活用メリットを語る。

ネットワールドは、例えばvCenter Cloud Gatewayの導入設定サービスなど、各種サポートを提供。ユーザーの既存の利用環境を踏まえ、vSphere+の最適導入をトータルで支援している。

※このコンテンツは日経BPの許可により「日経クロステック Special」(2023年11月1日~11月30日)より抜粋して作成したものです。

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