VMware Ariaの中核を担う「Aria Graph」と「Aria Hub」の概要

VMwareは、複雑化するマルチクラウド環境をより容易に管理するためのソリューションとして、「旧CloudHealth」などの運用管理ソリューションをリブランドした「VMware Aria™」を発表しました。

本記事では、豊富なデータ分析によってインフラとアプリケーションの関係性をエンド・ツー・エンドで可視化する「VMware Aria」のコア技術である、「VMware Aria Graph™」と「VMware Aria Hub™」についてご紹介します。

目次

VMware Aria を支えるコア技術「VMware Aria Graph」と「VMware Aria Hub」

VMware Aria は、マルチクラウド上のインフラストラクチャーおよびその上で稼働させるクラウドベースのアプリケーションのパフォーマンス、構成、デリバリー、コストをエンドツーエンドで管理するマルチクラウド管理ポートフォリオです。クラウドを中心としたインフラやアプリケーションの世界において増大し続ける複雑性を解消し、容易な管理を実現します。

この管理機能の中核となっているのが「VMware Aria Graph(以下、Aria Graph)」です。高いスケーラビリティを持ち、マルチクラウド環境のリソースとその関係性を可視化するグラフベースのデータストアで、ほぼリアルタイムで更新される単一の情報ソースを提供します。これによりクラウドネイティブアプリおよびその実行環境で発生する運用課題を解決することができます。

Aria Graphで分析された情報には、VMware Aria の管理ポータルである「VMware Aria Hub(以下、Aria Hub)」を介してアクセスすることができます。Aria Hubはアプリケーションと環境の可視化を行い、マルチクラウド環境全体を集中管理するためのリッチで集中的なビューとコントロールを提供することで、VMware Aria の様々の機能をソリューションとして提供します。

VMware Aria の概要については、以下の記事でもご紹介しています。

全てのクラウドを可視化する「VMware Aria Graph」とは?

VMware Aria は、AWSやAzureなどのネイティブ・パブリック・クラウドや、最初からクラウド上での利用を前提としたクラウド・ネイティブ・アプリケーションの導入において、顕在化しているクロスクラウドや分野横断的な管理の課題に対応するために設計されています。

例えばアプリケーションやワークロードをクラウドに移行する際に、コストやパフォーマンス、セキュリティの観点からターゲットとなるクラウドの特性を理解し、他のクラウドの選択肢と比較するためには、当該クラウド環境におけるすべてのオブジェクトとワークロードの関係性を読み解くためのマップが必要となります。

「VMware Aria Graph」を活用することで、そうした情報を簡単に入手することが可能となります。Aria Graphの最大の特徴は、その卓越したスケールと拡張性にあります。何億ものオブジェクトを確実に拡張し、何十億ものデータポイントを発生した瞬間に取り込むことが可能なのです。これにより、リソース間の依存関係を把握するために必要な多対多の関係を捕捉するほか、発生した問題の根本原因分析に欠かせない過去の構成を閲覧できるなど、要求の厳しい企業のマルチクラウド管理要件にも対応します。

ほぼリアルタイムでアプリケーションとクラウドのマッピングを提供

包括的な情報ソースとして的確な意思決定を支援

Aria Graph は、モジュール型統合アーキテクチャによりあらゆるソースから取得したデータをデータストア上に集約します。また、VMware Aria にリブランドされた管理製品「VMware Aria Operations™/VMware Aria Automation™(旧VMware vRealize)」や「VMware Aria Cost™旧CloudHealth by VMware」、「VMware Aria Operations™ for Applications (旧VMware Tanzu Observability)」などの技術を活用することで、運用・自動化・コストに関する指標をさらに充実させることもできます。

クラウドサービス毎で異なる形の生成されるアラートやイベントログといった各種情報は、プラグアンドプレイ方式でAria Graph に接続してデータを収集し、包括的な情報ソースとしてVMware Aria に統合することができます。こうすることで、増え続ける膨大なクラウド関連データを有効活用した「的確な意思決定」と「業務効率の向上」を実現します。

VMware Aria の管理ポータル「VMware Aria Hub」とは?

VMware Aria の管理ポータルである「VMware Aria Hub」は、Aria Graph が提供する統合GraphQL APIをベースに、マルチクラウドの運用管理に役立つさまざまなビューを表示できる仕組みになっています。

VMware Aria とクラウドサービスのアカウントを接続すると、クラウド側にAPI の問い合わせを行い、クラウドのインベントリ、構成、コストなどについてのデータ収集を開始します。収集されたインベントリ情報はAria Graph によってそれぞれの関係性が明らかになり、Aria Hubを介してわかりやすく可視化された情報をユーザーに提供します。

このAPIを中心としたアプローチはAria Hub の機能面における重要な特徴となっており、開発チームと運用チームの双方の利用を簡素化します。使いやすく一貫性のある単一のインターフェイスをマルチクラウド環境に構築するとともに、GraphQLクエリによる効率的かつ迅速なデータアクセスやオブジェクトの検索を実現します。

APIファーストで様々な情報をわかりやすく可視化する「VMware Aria Hub」

VMware Aria上で提供される新しい3つのサービス

さらに、VMware Aria では「Aria Hub」および「Aria Graph」を活用して、マルチクラウドを活用したIT戦略を効果的に推進する3つの新しいエンド・ツー・エンドの管理サービスを提供しています。アプリケーションからインフラストラクチャまでの依存関係や状態を可視化した上で、その改善や課題解決に貢献する「VMware Aria Migration™」「VMware Aria Guardrails™」「VMware Aria Business Insights™」のソリューションを提供します。

VMware Aria のエンド・ツー・エンドのソリューションは、各クラウドのガバナンスやクラウド横断型の移行、実用的なビジネスの洞察といったマルチクラウドの利用により分散環境に発生する課題に対応するためのものです。多様化するクラウドサービスにおけるさまざな管理手法をカバーし、ビジネスやIT運用における意思決定を強力にサポートします。

VMware Aria Migration

「VMware Aria Migration」イメージ(旧画面)

「VMware Aria Migration」は、アプリ間のネットワークフローから仮想マシンの構成関係やアプリケーションの境界を分析し、VMware HCXと連動したマイグレーション機能によってクラウド間のワークロード移行を支援します。

VMware Aria Migration によって企業が単一のインフラストラクチャから柔軟なマルチクラウド環境への移行するために必要な「評価」「計画」「移行」を自動化が可能になり、状況に応じた積極的なクラウド活用ができるようになります。

VMware Aria Guardrails

「VMware Aria Guardrails」は、Everything-as-Code (すべてをコードとして管理する)のアプローチに基づき、ネットワーク・セキュリティ・コスト・パフォーマンス・構成に対するガバナンスを、マルチクラウド環境全体に一括して自動適用します。

VMware Aria Guardrails は企業がクラウドを利用する際、定められた適切なルールを確実に順守させるための「ガードレール」として動作し、属人化しがちなクラウドの安全性を高めることができます。

「VMware Aria Guardrails」イメージ(旧画面)

VMware Aria Business Insights

「VMware Aria Business Insights」イメージ

「VMware Aria Business Insights」は、AIやML(機械学習)を活用して、アプリケーションおよびインフラストラクチャ全体のイベントの相関から重要な「シグナル」を検知し、実用的なビジネス・インサイトを導き出すイベント管理機能です。

各データソースから収集したイベントログには、分析の際には重要ではない「ノイズ」が多少なりとも含まれてます。正確な分析のために、それぞれのクラウドサービス毎でノイズを特定することは大きな負担となりますが、VMware Aria Business Insights はAI/MLレイヤーによってノイズを大幅に削減してくれます。

VMware Aria のご相談はネットワールドまで!

高いスケーラビリティでイベントを収集するデータストア「VMware Aria Graph」と、収集したデータを有効活用できる形で可視化する「VMware Aria Hub」、そしてマルチクラウドにおける様々な課題解決に貢献するエンド・ツー・エンドのサービス「VMware Aria Migration」「VMware Aria Guardrails」「VMware Aria Business Insights」についてご紹介しました。

ネットワールドではVMware Ariaの前身となる「旧vRealize」や「旧CloudHealth」の導入をサポートする「導入支援サービス」を提供してきました。新たにリリースされた「VMware Aria」に関しても、これまでのノウハウや対応実績を活かし、スムーズな導入およびソリューション活用をサポートいたします。

VMware Aria をご検討の際は、ぜひネットワールドまでお問合せください!

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