VMware Aria とは?概要と4つのメリット
VMware Explore 2022で発表された「VMware Aria」は、VMware社が運用管理ツールとして提供していた「旧vRealize」「旧CloudHealth」「旧Tanzu Observability」といった製品群を1つの「VMware Aria」ブランドに統合し、各製品をより高度に活用するための新たな機能を追加してリリースされたマルチクラウド管理ソリューションです。
VMware Aria は、各クラウドサービスごとに異なる管理ツールを使い分ける運用の課題や、クラウド利用を前提として開発される「クラウド・ネイティブ・アプリケーション」の運用上の課題を解決するために設計されており、企業のクラウドシフトを支援します。
メリット①:コストの最適化
VMware Aria は各クラウドサービスの「コスト」を最適化します。マルチクラウド環境全体で発生しているコストや未使用のリソース、過剰な割り当てが発生しているキャパシティを単一の管理画面から可視化・特定することができます。
VMware Aria でクラウドの利用状況を正確に把握することで、クラウド環境のコストおよびキャパシティを改善が可能になり、企業の健全かつ積極的なクラウド活用戦略を支援します。
メリット②:運用管理の改善
VMware Aria は各クラウドサービスの「運用管理の改善」を支援します。複数のクラウドをまたがるネットワーク構成の最適化やワークロードの移行計画、ボトルネック解消によるパフォーマンス向上などの運用を継続的にサポートします。
VMware Aria でアプリケーション、インフラストラクチャ、プラットフォームの関係性を可視化することで、複雑化が進むクラウドサービスの運用管理を効率化が可能になります。
メリット③:リスクの管理
VMware Aria は各クラウドサービスの「リスク」を管理します。クラウド上の資産(アセット)に対して、悪用される可能性のある脆弱性や設定ミスを洗い出しに加えて、新たに生じた重要なセキュリティポリシー違反をリアルタイムで検出・修復します。
VMware Aria を活用した効果的なセキュリティ管理によって、IT チームはクラウド内およびマルチクラウド環境でのコンプライアンスを維持できるようになります。
メリット④:自動化の強化
VMware Aria は各クラウドサービスの「自動化」を強化します。マルチクラウド環境全体で適用される高度なワークフローやテンプレート機能によってセルフサービス型の開発プラットフォームが実現し、サービスの市場投入までの時間を短縮します。
VMware Aria の自動化機能によってサービス提供における多くの手動タスクが削減され、クラウドを活用した新たなイノベーションの実現に貢献します。
VMware Aria を構成する3つの要素
要素①:VMware Aria にリブランドされた主要製品
VMware Aria のリリースにあたり、主に「旧vRealize」シリーズを中心にVMware社の運用管理製品のリブランドが行われました。VMware Aria となった主要製品は以下のとおりです。
カテゴリ | 新製品名 | 旧製品名 |
---|---|---|
Cost | VMware Aria Cost™ powered by CloudHealth® | CloudHealth by VMware |
Operations | VMware Aria Operations™ | vRealize Operations |
Operations | VMware Aria Operations for Logs™ | vRealize Log Insight |
Operations | VMware Aria Operations for Networks™ | vRealize Network Insight |
Operations | VMware Aria Operations for Applications™ | Tanzu Observability |
Automation | VMware Aria Automation™ | vRealize Automation |
Automation | VMware Aria Automation for Secure Clouds™ | CloudHealth Secure State |
バンドル製品 | VMware Aria Suite™ | vRealize Suite |
バンドル製品 | VMware Aria Universal Suite™ | vRealize Cloud Universal |
要素②:データストア「VMware Aria Graph」と管理ポータル「VMware Aria Hub」
「VMware Aria Graph™」は、マルチクラウド環境のリソースと関係を把握するグラフベースのデータストアであり、VMware Ariaの中核技術です。ミリ秒単位でマルチクラウド環境のデータの収集・解析を行い、数百万のオブジェクト環境の管理やイベントベースでのアプローチを実現します。
マルチクラウド環境ではクラウドごとに異なった技術や手法でデータを保有しており、単一のソリューションですべてのデータを遅延なく収集することは困難です。VMware Aria Graph はマルチクラウドを前提としたAPI ファーストの全く新しいアーキテクチャを採用しており、ユーザーおよびアプリケーションの設定や依存関係などのあらゆる要素を単一のビューでマッピングします。
VMware Aria Graph のデータには、マルチクラウド環境を集中的に管理するプラットフォーム「VMware Aria Hub™」のダッシュボードからアクセスすることができます。
「VMware Aria Graph」と「VMware Aria Hub」については、以下の記事でもご紹介しています。
要素③:新しい「エンド・ツー・エンド」の機能
VMware Aria では、管理分野を横断したガバナンスやクラウドの移行、インサイト獲得を支援するために、「VMware Aria Graph」および「VMware Aria Hub」を活用した3つの新しいサービスが提供されます。
サービス名 | 機能概要 |
---|---|
VMware Aria Guardrails™ | セキュリティやコンプライアンスに関する継続的なチェックおよび自動修正 |
VMware Aria Migration™ | アプリケーションの移行、計画、実行を自動化し、移行プロセスを加速および簡素化 |
VMware Aria Business Insights™ | AIおよび機械学習を活用して、イベント等を元にビジネスインサイトを提供 |
VMware Aria にリブランドされた製品について
ここからは、従来から提供されており、今回「VMware Aria」となった主要製品の概要についてご紹介します。
VMware Aria Cost powered by CloudHealth (旧CloudHealth by VMware)
「VMware Aria Cost powered by CloudHealth」は、各クラウドのコストや利用状況をダッシュボード上でグラフィカルに可視化します。分析結果に基づいたリソースの改善案やクラウド予算の管理機能によって、効果的なコスト最適化を支援します。
CloudHealthでは、収集したデータを論理グループ(Perspective)として自由に定義し、各クラウドを混在させて分析できます。これにより、「事業別」や「プロジェクト別」などの切り口でグループ化することができ、マルチクラウドのコスト状況を効率的に可視化することが可能です。
VMware Aria Operations (旧vRealize Operations)
「VMware Aria Operations」は、仮想マシンやコンテナ、クラウドの各インフラストラクチャといった広範囲を網羅するフルスタックの可視性を備えており、機械学習による運用管理の自動化を支援する統合プラットフォームです。
現在の問題や将来の課題、最適化の余地を明らかにすることができ、リソースの過剰な割り当てや無駄なコストを削減し、安定したマルチクラウド運用や将来的なリスク対策にも対応できます。
VMware Aria Operations for Logs (旧vRealize Log Insight)
「VMware Aria Operations for Logs」は、物理機器やアプリケーション、コンポーネントから生じる様々なログを一元的に収集し、複雑なログデータから視覚的でわかりやすい有益な情報を提供するインテリジェントな分析ツールです。マシンラーニングを活用したリアルタイムのデータ分析によって問題を素早く特定し、システム管理の効率化と運用の信頼性及び安定性の向上を実現します。
さらに、インフラを可視化するVMware Aria Operations製品との連携により、トラブルシューティングやリソース最適化の精度を向上させる統計分析が可能になります。
VMware Aria Operations for Networks (旧vRealize Network Insight)
「VMware Aria Operations for Networks」は、複数のクラウド間でのネットワークについて監視・検出・分析を行い、セキュアかつ最適化されたネットワークインフラストラクチャの構築を支援する可視化ソリューションです。
NSX環境では、トラフィックの分析に基づいて推奨されるマイクロセグメンテーションのポリシーを簡単に作成することができるため、セキュアで最適な仮想ネットワーク環境を構築することが可能です。
VMware Aria Operations for Applications (旧Tanzu Observability)
「VMware Aria Operations for Applications」は、マルチクラウド環境におけるKubernetesやアプリケーションの監視・分析を提供する分析ソリューションです。ログ、メトリック、トレースの情報をコンテキストに基づいて取得することで、クラウドネイティブのアプリケーションやインフラストラクチャ全体の細部にわたるオブザーバビリティ(可観測性)を実現します。
例えば、アプリケーションの異常や問題をリアルタイムに分析・可視化することによって問題の原因を迅速に特定したり、データセット間の関連を見つけてアプリケーションのボトルネックとなっているリソースを特定したりすることができます。Kubernetes環境では、ノードやコンテナに対するフルスタックの可視化を通じて、パフォーマンスと信頼性の向上に貢献します。
VMware Aria Automation (旧vRealize Automation)
「VMware Aria Automation」は、複数クラウド環境のセルフサービス化を実現し、ITインフラや仮想マシン、Kubernetesベースのワークロードの活用を促進することでインフラの俊敏性・生産性を向上させる自動化ソリューションです。
セルフサービス型マルチクラウド環境を提供し、あらゆるクラウドでインフラストラクチャリソースをユーザーが簡単にリクエストおよびプロビジョニングすることが可能になります。自動化と高速化を通じてアプリケーションのイノベーションを加速させ、新たなビジネスチャンスの創出を支援します。
VMware Aria Automation for Secure Clouds (旧CloudHealth Secure State)
「VMware Aria Automation for Secure Clouds」は、クラウドサービスにおけるリソースの相互関係や構成エラー、脆弱性などのリスクを常に可視化・分析することで、マルチクラウドを安全な利用を支援するセキュリティソリューションです。
VMware Tanzu Guardrailsは、リソースの相互関係や構成エラー、脆弱性といったセキュリティ上のリスクの可視化および分析を行います。発生したイベントは数秒〜20秒以内に検知され、1,000以上の事前定義されたクラウドセキュリティのベストプラクティスに沿って脅威や脆弱性を可視化します。クラウド設定のベストプラクティスを活用し、監査や見直しを自動化することで、クラウド設定ミスに起因するセキュリティリスクの最小化に貢献します。
VMware Aria のご相談はネットワールドまで!
ネットワールドではVMware Ariaの前身となる「旧vRealize」や「旧CloudHealth」の導入をサポートする「導入支援サービス」を提供してきました。新たにリリースされた「VMware Aria」に関しても、これまでのノウハウや対応実績を活かし、スムーズな導入およびソリューション活用をサポートいたします。
VMware Aria をご検討の際は、ぜひネットワールドまでお問合せください!