2023年のVMware Exploreで「VMware Aria」の一部製品がリブランディングされ、「VMware Tanzu」ファミリーの新たなサービスとして「VMware Tanzu Intelligence Services」が登場しました。
本記事では、VMware Tanzu Intelligence Servicesの概要や、VMware Tanzu Intelligence Servicesを構成する各サービスについてわかりやすくご紹介します。
VMware Tanzu Intelligence Servicesとは?
「VMware Tanzu Intelligence Services」は、マルチクラウド環境におけるインフラとアプリケーションの関係性を可視化し、継続的な最適化を支援する分析ソリューションです。データに基づく分析と自動化機能を組み合わせることで、クラウドリソースをより効果的に管理し、セキュリティやコストパフォーマンスの向上を実現します。また、AIと機械学習を用いた運用の自動化により、マルチクラウド活用における複雑性を解消することを目指しています。
VMware Tanzu Intelligence Servicesには以下の4つのサービスが含まれており、最先端の技術を活用することでクラウド戦略の革新や効率化をサポートします。
- VMware Tanzu CloudHealth (マルチクラウドのコスト最適化)
- VMware Tanzu Guardrails (マルチクラウドのセキュリティ強化)
- VMware Tanzu Insights (マルチクラウドのデータ分析)
- VMware Tanzu Transformer (マルチクラウドへの移行)
VMware Tanzu Intelligence Servicesを構成するサービス
VMware Tanzu
CloudHealth
マルチクラウド環境における
コスト削減とリソースの最適化を実現
VMware Tanzu
Guardrails
クラウドサービスでの設定ミスを検知し、
安全かつ効率的なクラウド運用を実現
VMware Tanzu
Insights
AIとMLを駆使して、クラウド環境における
問題の深層的な分析と解決策を提供
VMware Tanzu
Transformer
アプリケーションを分類し、
クラウドへの移行戦略をサポート
サービス①:コストを最適化する「VMware Tanzu CloudHealth」
「VMware Tanzu CloudHealth (旧称:VMware Aria Cost powered by CloudHealth)」は、マルチクラウド環境におけるコストを最適化するサービスです。複数のクラウドサービスから収集されたデータを単一のインターフェースに統合し、予算管理やリソース調整を効率化することで、クラウドの利用におけるコストパフォーマンスの向上をサポートします。
VMware Tanzu CloudHealthは、クラウドの利用状況からコストの傾向を分析し、予算超過の兆候や異常な支出を検出・通知します。また、クラウドをまたいで収集したデータを論理グループとして自由に分析できるため、アカウント単位ではなく、部門や利用目的単位でのコスト管理も可能です。
サービス②:設定ミスを検出・修正する「VMware Tanzu Guardrails」
「VMware Tanzu Guardrails (旧称:VMware Aria Guardrails)」は、クラウド環境での設定ミスやポリシー違反を検知し、問題が発見された場合は即座に修正を行うことで、マルチクラウドのリスクを軽減するサービスです。広範囲にわたるクラウド環境の設定を自動的にチェックし、事前に定義されたポリシーに準拠するようにクラウド運用を支援します。
VMware Tanzu GuardrailsはAWS、Azure、GCP、Kubernetesなど、多様なクラウドサービスに対応しており、1,200以上のポリシーを用いて、マルチクラウド環境におけるコンプライアンスとガバナンスを管理します。様々なクラウド環境で統一されたガードレールを設定できるため、クラウド運用の安全性と効率性向上に貢献します。
サービス③:AI分析でインサイトを提供する「VMware Tanzu Insights」
「VMware Tanzu Insights (旧称:VMware Aria Business Insights)」は、AI技術を活用して、様々なクラウド環境におけるビジネスの深い洞察を提供するサービスです。視覚的かつ時系列でのデータ分析を通じて、マルチクラウド環境で発生した問題の根本原因を素早く特定し、効率的な問題解決を実現することが可能です。
VMware Tanzu Insightsを利用することで、企業はマルチクラウド環境におけるアプリケーションのパフォーマンスを、リアルタイムで継続的に把握することが可能になります。アプリケーションの開発から運用の全過程の可視化に加えて、それを支えるコンテナや仮想マシンなどの基盤技術に対する洞察が強化されるため、クラウドへの移行やシステムの安定稼働、効率的な運用管理を通じた新たなイノベーションの推進を支援します。
サービス④:クラウド移行をサポートする「VMware Tanzu Transformer」
「VMware Tanzu Transformer (旧称:VMware Aria Migration)」は、データセンターのアプリケーションやシステムを識別し、クラウド移行時における推奨構成やコストを事前にシミュレーションすることで、クラウドプラットフォームへの移行をサポートするサービスです。クラウドに移行すべきアプリケーションとそうではないアプリケーションをスマートに識別することで、クラウド移行の全体的なプロセスを効率化します。
VMware Tanzu Transformerは、「VMware Cloud on AWS」やAWSのコストメリットを分析し、既存のvSphere環境と比較したコスト評価の確認が可能です。「VMware Tanzu Mission Control」環境への移行にも対応しており、Kubernetesを活用したマルチクラウド環境への移行も総合的にサポートします。
データを集約して活用する「VMware Tanzu Hub」との連携
VMware Tanzu Intelligence Servicesは、多様なソースをから収集されたデータを統合・分析する「VMware Tanzu Hub (旧称:VMware Aria Hub)」との連携が可能です。
「VMware Tanzu Hub」は、単一のインターフェイスからマルチクラウド環境を効率的に管理するためのプラットフォームです。各クラウドサービスからのアラートやログデータといった各種データをほぼリアルタイムで収集し、マルチクラウド環境全体を一元的に管理することで、増え続ける膨大なクラウド関連データを有効活用した「的確な意思決定」と「業務効率の向上」を実現します。
VMware Tanzu Hubはグラフベースのデータストア技術を採用しており、各クラウドサービスからAPIを通じてデータを収集し、異なるクラウド間の関係性をわかりやすく可視化します。リソースや関連性、変更履歴、アプリケーション、アカウントに関する共通の理解を促進し、アプリケーションやユーザー、設定などのクラウドリソースとその相互依存関係を把握することが可能です。
マルチクラウド最適化のご相談はネットワールドまで!
インフラとアプリケーションの関係を見える化し、マルチクラウド環境を継続的に最適化するサポートを提供する「VMware Tanzu Intelligence Services」をご紹介しました。現代のクラウド運用が「クラウドカオス」と呼ばれるほど複雑化する中、VMwareが目指す「クラウドスマート」に不可欠な機能が集約されたサービスとなっており、今後のVMwareソリューション全体において重要な役割を担っていくと見られています。
ネットワールドでは、VMware Tanzu Intelligence Servicesやその他VMware Tanzu製品をスムーズに導入・活用いただくために、お客様に合わせてヒアリングから各コンポーネントの導入、操作手順書の作成、トレーニングの実施、導入後のオフサイトサポートまでトータルに対応する「導入支援サービス」を提供しています。マルチクラウドの最適化やクラウド移行をご検討の際は、ぜひネットワールドまでお問合せください。