どこよりも早いVMware Explore US General Session発表まとめ!VMware Explore 2022 US現地レポート

どこよりも早いVMware Explore US General Session発表まとめ!VMware Explore 2022 US現地レポート

3年ぶりに米国サンフランシスコでオンサイト開催しているVMware Explore 2022 (旧VMworld)に参加しています。vSphere8を始めとする様々な発表がされましたので整理してまとめてみたいと思います。

VMware Exploreに合わせて発表された内容を8/30に行われたGeneral Sessionの発表に沿って紹介していきます。発表された内容から読み取れる範囲で紹介しておりますが、執筆時点ではリリース前の製品・サービスの情報になりますので、一部実際の製品・サービスと異なることがあります。ご理解のうえご覧ください。

目次

vSphere 8 発表

vSphere 6.5が2016年、vSphere 6.7が2018年、vSphere7が2020年と、2年おきにメジャーバージョンアップと呼ばれる更新が行われてきたvSphereですが、7.0の次は7.xではなくvSphere8として発表がされました。VMware社が提供するCross Cloud ServiceのベースとなるvSphere8、vSAN8が含まれています。

目玉機能はこの後紹介するProject Montereyとして開発が進められていたvSphere Distributed Service Engineのようですが、それ以外にもvSphere+で提供されるvCenter Desire State ConfigurationがESXiにも提供されたり、仮想マシンハードウェアのバージョンがついに20まで到達したりと様々な機能追加がされています。リリースが待ち遠しいですね。(芋蔓式でバージョンアップが必要になるのは面倒ですが

vSAN8も発表され、vSAN Express Storage Architecture(ESA)と呼ばれる新しく刷新されたものが選択可能になることが発表されています。

ついにDiskGroup廃止です。キャッシュ Tier、キャパシティTierといった2層から1層構造に移行することで、特定のSSDに可用性が依存するDisk Groupがなくなったり、より利用が普及しているNVMeのフラッシュに最適化されるとのことで、可用性も性能も大きく向上しそうな期待がありますね。(General Sessionでは4倍高速化と言っていました)正式リリースを期待して待ちましょう。

vSAN Express Storage Architecture(ESA)

またvSphere 8ベースとなるVMware Edge Compute Stack 2.0も発表されました。またVMware Edge Compute Stack 2.0が搭載されたアプライアンスがサーバベンダー各社からリリースされるようです。

vRealize からマルチクラウド管理の VMware Ariaブランドへ

2014年に発表されたvRealize Suiteがマルチクラウドを運用管理に広げるため再ブランディングされて「VMware Aria」となることが発表されました。

そこには他のブランドで運用管理を担っていたCloud Health,Tanzu Observablityの顧客が利用可能と発表されていますので、これらのVMware Aria ブランドになることも発表されています。

また単に製品名を変更するリブランドだけでなく、新しく幾つかのサービスが発表されています。 まずVMware Aria Business Insightはイベント管理機能を提供するということなので、vRealize LogInsightやvRealize Operations、CloudHealthなどの統合管理を提供するするものでしょうか。

VMware Aria Business Insight

そしてもう1つ発表されたサービスがVMware Aria Migration Serviceです。 マルチクラウドの移行をシンプルにするサービスということで画面を見るところvRealize Network InsightとHCXを統合したサービスのように見受けられます。

VMware Aria Migration Service

同一ベンダーが提供するソリューションなのに運用管理ツールがライセンスどころかツールも全く違うのはいけてなかったので、ブランドだけでなく製品もどんどん統合していってほしいところです。

Azure VMware SolutionがVMware Cloud Universalプログラムで購入をサポート

Microsoft社からファーストパーティサービスとして提供されているAzure VMware SolutionがVMware Cloud Universalプログラムからも購入可能になると発表されました。Google Cloud Platformに続く2つ目のハイパースケーラのクラウドサービスのサポートの追加になります。

現在はMicrosoft社のAzureの請求に含まれるAzure VMware Solutionの費用をVMware Cloud UniversalならVMware社から販売できるということでしょうか。Cloud Universalで購入した場合はAzure VMware SolutionのリソースはVMware社マネージドのアカウントに作られるの?、自社のサブスクリプションに展開できるの?とか気になる点が多くありますね。

またAzure VMware Solutionに関するベストプラクティスをVMware Well Architected Frameworkとして公開開始が発表されています。

Tanzu Familyのアップデート

OpenShiftのサポートやインターネット接続がないエアギャップ環境のサポートが追加されたTanzu Application Platform 1.3のリリースの発表、Tanzu ObserbilityがVMware AriaブランドになったことによりVMware Aria Operations for Applicationsとなること、Tanzu Mission Control、Tanzu Kubernetes Gridのアップデートもありました。

Project Monterey 正式リリース そして vSphere Distributed Services Engineへ

2020年のVMworldで発表されて、2021年にはアーリーアクセスが始まっていた Project MontereyがvSphere 8.0に「vSphere Distributed Services Engine」としてリリースされました。

Project Motereyは、vSphereでSmart NICを使ってvSphereの仮想スイッチの処理やNSXのセキュリティ機能の処理をSmart NIC側にオフロードする機能になります。

従来もiSCSIイニシエーターの処理をオフロードしたりTCPの処理をLRO/TSOで一部オフロードしたりといったことが行われてきましたが、よりvSphereもつ機能のオフロードができることが柔軟性の高いSmart NICの特徴と言えるのかも知れません。以前からVMware Cloud on AWSではベアメタルインスタンスに搭載されたNitroが利用されていましたが、通常のNICとして利用していてSmart NICとしては利用していなかったわけですね。

Smart NICの利用といえばAWSやAzureなどハイパースケーラーのインフラで導入されていることが知られています。自分たちのクラウドソフトウェアの機能の一部をSmart NICにオフロードすることによりCPUの利用率を抑えながら性能を向上し、リソースの利用率を高めることで自社クラウド基盤のコストを抑えることができているのです。またコードを変更することなくインフラ側の更新だけでアプリケーションを高速化できるというのもありがたいですね。

vSphere Distributed Service EngineではNVIDIA(Mellanox)やPensando Systems、Intelといったベンダーが提供するSmart NICを搭載したHPE,DELL Technology,Lenovo社から提供されるサーバを使ってvSphereの様々な機能のオフロードを実行します。

VMware Cloud on AWS I4i.metal ホストが利用可能に

これまでVMware Cloud on AWSはi3.metal,i3en.metalという2種類のベアメタルサーバからベースになるESXiホストを選択していました。今回2022年5月にAWSで提供開始されたI4i.metalと呼ばれる従来より大幅にCPU、メモリ、ストレージが強化されたホストを選択できるようになりました。

インスタンスタイプ      CPUコア数     メモリ       ストレージ      
i3.metal3651210.7TiB
i3en.metal4876845.8TiB
I4i.metal128102430TiB

またこのI4i.metalホストではAWSに最適化されたAWS Nitro SSDを採用することによって従来よりも遅延を大幅に削減したとありストレージ性能の向上が期待されます。従来もオールフラッシュで構成されているにも関わらず、そこから遅延が大幅に削減されるAWS Nitro SSDについて興味のある方は下の参考リンクをご覧ください。

Horizon Next Gen DaaS Platform in Azure(Titan)の正式リリース

Horizon Cloud ServiceでAzure展開時に構成されるコンポーネント群が、次世代型のアーキテクチャに刷新されます。既に提供が開始されていた気がするのですが、従来のノードマネージャ+UAGの構成からEdge+UAGという構成に変更になります。またバージョンアップ時に構成されていたジャンプボックス用のサーバも通常は展開されることはなくなり、サポートが必要と判断したときにだけ展開するような形になったそうです。

Horizon Cloud on Azure提供開始時からユニバーサルブローカーの追加など、Azureに展開されないコンポーネントでも大幅な変更があったためそれに合わせてのアーキテクチャの変更がされているような状況です。

その他の発表について

VMware Cloud on AWS with Amazon FSx with NetApp ONTAP

従来からプレビュー提供されていたVMware Cloud on AWSのデータストアとしてAWSのネイティブサービスであるFSx for NetApp ONTAPが正式提供開始されました。(今までもVMware Cloud on AWS上で動作する仮想マシンからの利用はサポートされていました)

従来VMware Cloud on AWSではvSANストレージが利用可能でしたが、オンプレミスで構成したvSphereのようにデータストアを追加することはサポートされていませんでした。さらにVMware Cloud on AWSではホスト単位のストレージ追加ができず、そのせいでCPU・メモリに余裕があってもストレージが不足しているだけなのにホスト単位で増設しなければいけないというジレンマがありました。

もちろんこれにはVMware社のマネージドサービスとして提供されているvSphere環境に勝手に任意のストレージを接続されてもサポートの観点で困るということだと推測されますが、導入・増設を検討するお客様にとってはコスト的には厳しい問題になっていた現実があります。

さらにvSphereが利用するストレージは一般的にパブリッククラウドで提供されるストレージサービスとはI/Oの特性が異なり性能要件も高く、通常のストレージサービスではなかなかその要件を満たすことができません。そこでVMware Cloud on AWSでは2021年9月から提供開始されたAWSがNetAppストレージをマネージドサービスとして提供する「Amazon FSx for NetApp ONTAP」をデータストアとして利用するオプションを提供することで、運用負荷を変えることなく、VMC on AWSのストレージコストを最適化することができるようになります。

既にプレビュー提供されていたのでVMware社のドキュメントにも設定の記載があります VMC on AWSとAmazon FSx for NetApp ONTAPとの通信はENI接続されたVPCを使うことはできません。VMware Managed Transit Gateway(VTGW)を構成する必要があるため、既存環境で利用を検討する場合には注意が必要です。

またその他にTanzuとCloud Foundationとの連携、vVolでNVMe-oFのサポートを発表しています。

VMware Cloud Flex Storageの正式リリース

VMware Cloud Flex Storageも先ほどの「VMware Cloud on AWS with Amazon FSx with NetApp ONTAP」と同様VMware Cloud on AWSの外部ストレージとして利用可能なVMware社が提供するストレージのマネージドサービスです。 2022年の3月からプレビューリリースされていましたが、今回正式リリースすることで全てのVMware Cloud on AWS環境で利用が可能になります。

元々VMware社が提供しているVMware Cloud Disaster Recoveryで利用しているストレージ部分のみを利用可能にしたのがVMware Cloud Flex Storageのようです。VMware Cloud Disaster Recoveryのストレージ領域も仮想マシンの動作に問題がない程度の性能は持っているのでAmazon FSx NetApp ONTAPとの棲み分けが気になるところですが、正式リリース後に弊社でも検証してどういった用途で利用できるのか見てみたいと考えています。

VMware Ransomware Recovery for VMware Cloud Disaster Recoveryの提供開始

VMware Ransomware Recovery for VMware Cloud Diaster Recoveryが発表されました。

VMware Cloud Disaster Recovery(VCDR)は元々ランサムウェア対策のソリューションとしても使えるよね?と思ったのですが、バックアップベンダー各社が提供するような保護済みなデータをスキャンすることによって安全なデータであることを担保する従来のVMware Cloud Disaster Recoveryにアドオンするセキュリティ機能のような位置付けのサービスのようです。

VMware Cloud Disaster Recoveryってなに?という方は、こちらの弊社の紹介ページを是非ご覧ください。

IBM社とのパートナーシップの拡大

IBM社とのパートナーシップの拡大が発表されました。

以下のような内容が含まれています。

  • IBMコンサルティングがVMware社のグローバルシステムインテグレーターに認定
  • VMwareとIBMの共同イノベーションファンドを拡大
  • IBM Cloud Satellite for VMwareでvSphere上でIBM Cloud Satelliteが利用可能に

セキュリティ

General Sessionでは特段触れられなかったセキュリティですが、Project Northstarと呼ばれるSaaSサービスの発表がありました。

NSX Intelligence、Network Detection Response(NDR)、NSX Advanced LoadBalancer、HCXがSaaS化された新しいサービスになるようです。プライベートクラウドやパブリッククラウドに対して提供されるマルチクラウドのセキュリティを担保するSaaSになりそうです。

Project Northstar

まとめ

VMware Explore 2022のGeneral Sessionで発表された内容を、速報でお伝えしました!

  1. vSphere 8 発表
  2. vRealize からマルチクラウド管理の VMware Ariaブランドへ
  3. Azure VMware SolutionがVMware Cloud Universalプログラムで購入をサポート
  4. Tanzu Familyのアップデート
  5. Project Monterey 正式リリース そして vSphere Distributed Services Engineへ
  6. VMware Cloud on AWS I4i.metal ホストが利用可能に
  7. Horizon Next Gen DaaS Platform in Azure(Titan)の正式リリース
  8. その他の発表について

発表された内容から読み取れる範囲で紹介しておりますが、執筆時点ではリリース前の製品・サービスの情報になりますので、一部実際の製品・サービスと異なることがあります。ご理解のうえご覧ください。

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