VMware Explore US VMware Cloud on AWSアップデート情報

2023年8月21日~24日までラスベガスで開催されたVMware社の年次イベントVMware Exploreでは多くのVMware Cloud on AWSの発表がありました。
本記事では多くの発表の中で特に気になるアップデート内容をいくつかわかりやすく解説していきたいと思います。

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VMware Cloud on AWS Advanced Tierの発表

Mware Cloud on AWSは提供開始以来、ホストノードごとの単一価格で提供されていましたが、ついに上位エディションともいうべきAdvanced Subscriptionが発表されました。
従来のVMware Cloud on AWSに以下の製品・サービスがバンドルされたものになります。
Advanced Editionとあるため、従来とは別の価格での販売と思いきやお値段はそのままでi4i.metal環境に限定されますがAdvanced Editionとして利用していただくことができるようになっています。既に新規作成のSDDCでは既定でAdvanced Editionで展開されるようになっています。

・VMware Aria Automation
・VMware Aria Operations
・VMware Aria Operations for Logs
・VMware Aria Migration (30 days free trial)
・Advanced security capabilities: Context-aware microsegmentation (L7 DFW AppID), Distributed FQDN allowlisting, User Identity-based Firewall (IDFW),
・NSX+ Policy Management

「Announcing VMware Cloud on AWS: Advanced subscription tier」
https://blogs.vmware.com/cloud/2023/08/22/announcing-vmware-cloud-on-aws-advanced-subscription-tier/

外部ストレージとのVPCピアリングのサポート

現在VMware Cloud on AWSでは先に紹介したFlex Storageに加えてAWS FSx for NetApp ONTAPの利用をサポートしています。同じようにNFSデータストアとして外部サービスをマウントするのですが、そのネットワーク接続のアーキテクチャは異なります。

AWS FSx for NetApp ONTAPでは、SDDC Group(VMware Transit Gateway)を経由したアクセスしかサポートされておらず、せっかく同一アベイラビリティゾーンに展開しているのにvSphereとデータストア間の通信に対してコストがかかる状態でした。

VPCピアリングがサポートされることにより、このSDDC Group(VMware Transit Gateway)を経由することなくデータストアアクセスできるようになるため、コスト面はもちろんのことVTGWの負荷軽減や、弊社の検証でもVTGWが介在することによるストレージアクセスの遅延はそれほど大きくありませんでしたが、遅延の改善による性能の向上も期待できるのではないでしょうか。
10/2現在まだ機能提供はされておらずVMware社のサポートに依頼をしても利用することはできませんのでご注意ください。

「Introducing VPC Peering for External Storage」
https://blogs.vmware.com/cloud/2023/08/22/introducing-vpc-peering-for-external-storage/

Flex Storageアップデート

昨年から急にサポートが始まったVMware Cloud on AWSの外部データストア利用ですが、現在AWSの提供するAmazon FSx for NetApp ONTAPそしてVMwareの提供するFlex Storageがあります。VMware Flex Storageは昨年秋から提供が開始されていましたが、今年も秋に大きなアップデートがあるようです。1SDDCあたり最大4データストアまで利用可能に、1データストアあたり800TBをサポートすることにより、最大3.2PBのデータストアを利用することができるようになります。またデータストアあたりの性能も強化されるようです。

元々Flex Storageでは利用可能なデータストア容量は一般的には十分な容量が提供されていましたが、1つのSDDCで1つのデータストアしかマウントできない、そして1つのデータストアでは既定で利用できるvSANデータストアと比較すると性能上限が低いという課題がありました。複数のVMDKを複数のFlex Storageに配置することにより大容量かつ性能を満たす仮想マシンを構成するようなことも可能になります。FY24Q4にリリース予定とのことなので、2023/11-2024/1に提供が開始される予定です。

個人的にはVAAIのようにクローンやスナップショットとかストレージ側にオフロードできるようになってほしいです。

また従来のVMwareからの販売だけでなく、VMware Cloud on AWS同様AWS経由の販売、クラウドサービスプロバイダからのMSPとしての販売も可能になるようです。

「What’s New in VMware Cloud Flex Storage? Major Updates Coming!」
https://blogs.vmware.com/virtualblocks/2023/08/21/whats-new-in-vmware-cloud-flex-storage-major-updates-coming

VMware Cloud Disaster Recoveryのアップデート

VMware Cloud Disaster Recovery、VMware Ransomware Recoveryのアップデートも発表がありました。
・VMware Ransomware Recoveryの同時実行数、最大実行数の増加による復旧の迅速化
・vSANスナップショットと連携可能なCybersecure Storageのパブリックプレビューの開始
・VMware Ransomware Recovery実行後もクラウド上で稼働させつづけることが可能に!
・Google Cloud VMware Engineの正式サポート開始、AWS Outpostのテクノロジープレビュー開始

オンデマンドで必要なときに展開できるVMware Cloud on AWSを、クラウドのメリットを生かした使い方ができるVMware Cloud Disaster Recoveryも着実にアップデートしていますね。復旧先のSDDCをオンデマンドでもっと容易に使えるようにしてくれるといいのですが…。

「VMware Explore 2023: Innovations in Ransomware and Disaster Recovery」
https://blogs.vmware.com/virtualblocks/2023/08/22/vmware-explore-2023-innovations-in-ransomware-and-disaster-recovery/

VMware Cloud on AWS + AWS FSx for NetApp ONTAP アップデート

またVMware Exploreに合わせてNetApp社からもVMware Cloud on AWSとAWS FSx for NetApp ONTAPのアップデートの発表がありました。昨年のVMware ExploreではVMware Cloud on AWSからAWS FSx for NetApp ONTAPのデータストアとしての利用が発表されましたが、今年はそのAWS FSx for NetApp ONTAPのデータストア利用がよりオンプレミスのONTAPのようにバックアップや災害対策での利用が可能になるアップデートが発表されています。

NetApp社のマルチクラウド管理サービスであるBlueXPにNetApp BlueXP backup and recoveryとNetApp BlueXP disaster recovery(現在ベータ提供)が追加されることにより、VMware Cloud on AWS上の仮想マシンの保護やオンプレミスの災害対策での利用がより便利に行えるようになるようです。特にdisaster recoveryはオンプレミスのONTAPとFSx for NetApp ONTAP間でのSnapMirrorはサポートされているのでVMware Cloud Disaster RecoveryのようにOrchestratorの機能も提供してほしいと思っていたので嬉しいアップデートです。

「Introducing new TCO and data protection capabilities for VMware Cloud on AWS with FSx for ONTAP」
https://community.netapp.com/t5/Tech-ONTAP-Blogs/Introducing-new-TCO-and-data-protection-capabilities-for-VMware-Cloud-on-AWS/ba-p/446993

「Protect FSx for ONTAP datastores and VMs on VMware Cloud using NetApp BlueXP backup and recovery」
https://community.netapp.com/t5/Tech-ONTAP-Blogs/Protect-FSx-for-ONTAP-datastores-and-VMs-on-VMware-Cloud-using-NetApp-BlueXP/ba-p/447112

「BlueXP disaster recovery service for BC with VMware Cloud on AWS and FSx for ONTAP」
https://community.netapp.com/t5/Tech-ONTAP-Blogs/BlueXP-disaster-recovery-service-for-BC-with-VMware-Cloud-on-AWS-and-FSx-for/ba-p/447066


またNetApp社のストレージ最新情報もVMware Explore 2023 Tokyoで講演がありますので興味がある方は是非こちらもご参加ください。
https://www.vmware.com/explore/jp/content/sess/NS31410.html

VMware Explore Japanの弊社セッションの紹介

これらの発表を受けて弊社ネットワールドでは、2023年11月14日~15日に開催されるVMware Explore 2023 Tokyoで以下の内容で講演させていただく予定です。

ウチはオンプレミスだからとかいわないで!オンプレミスと共存できるVMware Cloud on AWSの使い方とは?

VMware Cloud on AWSというと、オンプレミスの仮想基盤からクラウド移行するイメージをお持ちの方がほとんどだと思います。
本講演では、オンプレミスのvSphere環境と共存できるVMware Cloud Disaster RecoveryやAWS FSx for NetApp ONTAPを使ってどんな災害対策の構成が取れるのかわかりやすくお伝えする予定です。
発表されたばかりのBlueXP disaster recoveryを検証してみた結果など盛りだくさんの内容を予定しております。

興味のある方は是非弊社の講演にご参加いただけると幸いです。

11月15日(水) 13:10 – 13:50
「ウチはオンプレミスだからとかいわないで!オンプレミスと共存できるVMware Cloud on AWSの使い方とは?」

お申込みURL:https://www.vmware.com/explore/jp.html?src=SPW8007
招待コード:SPW8007

VMware Cloud on AWS というと今お使いのオンプレミスの VMware vSphere 基盤の代わりに採用するイメージをお持ちの方が多いと思います。
しかし VMware Cloud Disaster Recovery や AWS FSx for NetApp ONTAP と連携することで必要なときだけホストを展開して利用することもできます。
本セッションでは、「本当に必要なときにだけホストを展開するだけで利用できるの?」「VMware Cloud Disaster Recovery って何ができるの?」「AWS FSx for NetApp ONTAP だとどこまでできるの?」そんな疑問を解決できるよう、デモをまじえてわかりやすく解説します。

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