<5/8 Update>大幅リニューアル!「vSphere」と「VMware Cloud Foundation」の新ラインナップ

Broadcom社によるVMware社の買収によって、従来の製品ポートフォリオが大幅に刷新されました。

今回は、仮想化基盤を構築する「VMware vSphere」と「VMware Cloud Foundation」について、ポートフォリオ変更後の4つの製品ラインナップとそれぞれの概要、含まれるサービスについてご紹介します。

(※2024/5/8時点の情報となります)

目次

新ポートフォリオ概要と各エディション比較

全部で30以上!?これまでのvSphere製品ラインナップ

これまでのvSphere製品群には、「キット製品」、「エディション製品」、クラウド版「vSphere+」など多くのラインナップが用意されており、さらに「VMware HCI Kit」や「VMware vCloud Suite」などのバンドル製品も提供されていました。

vSphere環境には様々なその他VMware製品を組み合わせることが可能で、ニーズに合わせて高度な仮想化基盤を実現できることは、VMwareソリューションの大きなメリットでした。しかし、製品毎に購入方法やライセンス単位が一致せず、複雑な組み合わせパターンが存在するため、製品選定やサービス管理が難しいという課題もありました。

4つに簡素化されたvSphere・VCFの新しい製品ラインナップ

今回刷新された新しいポートフォリオでは、仮想化基盤を構築するソリューションは「vSphere Essentials Plus」、「vSphere Standard」、「vSphere Foundation」、「VMware Cloud Foundation」の4つの製品にラインナップが簡素化され、全てサブスクリプション型のCoreライセンスに統一されることになりました。

以前は単体で購入できた「VMware NSX」や「VMware Aria」などの製品は、今後はアドオンとしてのみ提供されることになり、製品選定における複雑性が解消されています。

また、従来の永続ライセンスは廃止が発表されていますが、既にライセンスを購入・利用している顧客は、今後もそのまま継続利用することが可能です。

新ポートフォリオで提供される4つのエディション

4つの各エディションの比較表

エディションVMware
vSphere
Essentials Plus
(VVEP)
VMware
vSphere
Standard
(VVS)
VMware
vSphere
Foundation
(VVF)
VMware
Cloud
Foundation
(VCF)
提供方法Subscription型
購入単位1セットにつき96コア
(2セット/192コアまで拡張可能)
物理1CPUあたり最小16コアライセンス
サポートProduction SupportSelect Support
エディションに含まれるサービス
VMware vSphereEssentials PlusStandardEnterprise Plus
VMware vCenterEssentialsStandard
VMware Tanzu Kubernetes Grid
利用不可
利用可能
VMware vSAN含まれない
(2/9時点)
Enterprise
(1コアあたり1TiB)
VMware Cloud Foundation Operations
利用可能
VMware Cloud Foundation Automation 
利用不可

利用可能
VMware NSX Networking for VCF
(旧NSXのオーバーレイ等のネットワーク機能)

利用不可

利用可能
VMware HCX Enterprise
VMware Cloud Foundation Network Operations
SDDC Manager
アドオンサービス
VMware Live Recovery
-VMware Live Site Recovery
(旧VMware Site Recovery Manager)
-VMware Live Cyber Recovery
(旧VMware Cloud Disaster Recovery)
(旧VMware Ransomware Recovery)

アドオン可能
VMware Avi Load Balancer
(旧NSX Advanced Load Balancer)
VMware Tanzu Intelligence
VMware Tanzu Mission Control
VMware Tanzu Application Platform
VMware Tanzu Spring Runtime
VMware vSAN per TiB
アドオン不可

アドオン可能
VMware Firewall
(旧NSXのマイセグ等のセキュリティ機能)

アドオン不可

アドオン可能
VMware Firewall with ATP
(旧NSX Advanced Threat Prevention)

2024/3/6更新:アドオンの「VMware Site Recovery Manager」は終息となりました。
→2024/3/13更新:アドオンの「VMware Site Recovery Manager」は再度利用可能になりました。
→2024/5/7更新:
・アドオンの「VMware Site Recovery Manager」は終息となりました。
後続製品は「VMware Live Site Recovery(LSR)」となります。
・アドオンの「VMware Cloud Disaster Recovery(VCDR)」「VMware Ransomware Recovery(RR)」は
終息となりました。
後続製品は「Live Cyber Recovery(LCR)」となります。

選択肢①:小規模向けの「VMware vSphere Essentials Plus」

VMware vSphere Essentials Plus (VVEP)」は、小規模な仮想環境に最適化されたサービスをコスト効率よく利用できる、ホスト拡張ができないエディションです。

アドオンサービスの利用も可能になっており、災害対策やランサムウェア対策といった、仮想化基盤を高度化する追加サービスをアドオンすることも可能です。

サポートレベルは「Production Support(これまでのVMwareサポートと同じ内容・窓口)」が提供されます。

Essentials Plus に含まれるサービス

  • VMware vSphere Essentials Plus
  • VMware vCenter Server Essentials

「vSphere Essentials Plus」から利用できる代表的な機能

vSphere機能:vMotion

あるホスト上で動作している仮想マシンを停止させることなく別のホストに移行でき、メンテナンス効率が大幅に向上

vSphere機能High Availability (HA)

HAグループを構成して死活監視を行い、障害発生時には仮想マシンを別ホスト上で自動起動してダウンタイムを最小化

Essentials Plusは、従来の「vSphere Essentials Kit」とほぼ同様の以下制限があります。
・1セットで全体で最大96コアまで。(2セットまで購入可能。2セット割り当てた場合は192コアまで)
 ※旧Perpetual版は1セットで32コア×6CPU=192コアまで利用可能
・ESXiホストは最大3台まで
・各ホストは2CPUまで搭載可能
・1CPUあたり最大32コアまで
・他のエディションや別のVVEPとの併用は不可

5/15更新:【サブスクリプション購入期間について】
製品購入時に「1年、3年、5年から選択可能」と記載しておりましたが、サブスクリプション期間の選択は「未定」となりました。アップデートが入り次第、掲載いたします。

選択肢②:小規模からも拡張可能な「VMware vSphere Standard」

VMware vSphere Standard (VVS)」は、小規模から中規模の仮想環境向けに最適な、柔軟性の高いエディションです。

「vSphere Essentials Plus」にあった制限が解除されるため、仮想環境により多くのホストを追加することができ、高性能なCPUやコア数を搭載したサーバを活用してパフォーマンスの高い仮想環境の構築が可能になります。利用可能なアドオンサービスは、vSphere Essentials Plusと同様です。

vSphere Standardのライセンス単位は「コア単位」となり、最小購入数は「物理CPUあたり16コアライセンス」です。サブスクリプション期間は1年、3年、5年から選択可能で、サポートレベルは「Production Support」が提供されます。

vSphere Standard に含まれるサービス

  • VMware vSphere Standard
  • VMware vCenter Server Standard

※太字は下位エディションからの差分

「vSphere Standard」から利用できる代表的な機能

vSphere機能Storage vMotion

仮想マシンを停止させることなく、仮想ディスクや構成ファイルを移行することができ、ストレージのメンテナンス性が向上

vSphere機能Virtual Volumes (VVOL)

ボリューム単位ではなく、仮想マシン毎に割り当て可能なポリシーベースの仮想ディスクを提供し、ストレージ管理を効率化

選択肢③:運用管理を効率化できる「VMware vSphere Foundation」

VMware vSphere Foundation (VVF)」は、vSphereによる仮想化機能に加えて、あらゆる場所でKubernetes環境を実行する「VMware Tanzu Kubernetes Grid」と、マルチクラウド環境の運用を効率化する「VMware Aria Suite Standard」が含まれる、中規模から大規模な仮想環境に理想的なエディションです。

vSphere Foundationでは「VMware vSAN」をアドオンサービスとして利用できるため、ストレージ仮想化によるHCI(Hyper-Converged Infrastructure)を構成することも可能です。

vSphere Foundationのライセンス単位は「コア単位」となり、最小購入数は「物理CPUあたり16コアライセンス」です。サブスクリプション期間は1年、3年、5年から選択可能で、サポートレベルは「Production Support」が提供されます。

vSphere Foundation に含まれるサービス

  • VMware vSphere Enterprise
  • VMware vCenter Server Standard
     
  • VMware Tanzu Kubernetes Grid
  • VMware vSAN Enterprise ※2/9時点では付属していません
  • VMware Aria Suite Standard
    • VMware Aria Operations Advanced
    • VMware Aria Operations for Logs
    • VMware Aria Suite Lifecycle

※太字は下位エディションからの差分

「vSphere Foundation」から利用できる代表的なサービス

VMware Tanzu Kubernetes Grid

Kubernetesのインフラレイヤーの抽象化を行い、ライフサイクル管理とインフラ構築を自動化することで運用を大幅に簡素化

VMware Aria Operations Advanced

仮想マシンやコンテナ、クラウドの各インフラストラクチャといった広範囲を網羅する可視性を提供し、運用管理を最適化

vSphere Foundationにはストレージ仮想化「VMware vSAN」のバンドルが予定されていますが、2024年2月9日時点ではエディションに含まれていないため、vSANの利用時は別途vSANアドオンの購入が必要になります。さらに、「旧VMware NSX」相当の機能を利用したい場合は、「VMware Cloud Foundation」への移行が必須となります。

選択肢④:マルチクラウドを見据えた「VMware Cloud Foundation」

VMware Cloud Foundation (VCF)」は、サーバ・ストレージ・ネットワークの仮想化を核とし、マルチクラウド環境の管理と自動化を高度に実現するエディションです。複数のクラウドを横断して一元管理することが可能になり、ITインフラの大幅な変革やマルチクラウド運用の効率化を支援します。

また、VMware Cloud Foundationは「旧VMware NSX」を利用できる唯一のエディションとなっています。「旧VMware NSX」の機能はネットワーク仮想化機能を提供する「VMware NSX Networking for VCF」と、マイクロセグメンテーションでセキュリティ機能を提供する「VMware Firewall」に分割されており、どちらもvSphereエディションでは利用することができなくなっています。

旧NSXのセキュリティ機能は、VMware Cloud Foundationに「VMware Firewall」もしくは「VMware Firewall with ATP」をアドオンすることで利用可能になります。

ライセンス単位や最小購入数、サブスクリプション期間は「vSphere Standard」や「vSphere Foundation」と同様ですが、サポートレベルは上位の「Select Support」が提供されます。

VMware Cloud Foundation に含まれるサービス

  • VMware vSphere Enterprise
  • VMware vCenter Server Standard
     
  • VMware Tanzu Kubernetes Grid
  • VMware vSAN Enterprise
  • VMware Aria Suite Enterprise
    • VMware Aria Automation Enterprise
    • VMware Aria Operations Enterprise
    • VMware Aria Operations for Logs
    • VMware Aria Suite Lifecycle
       
  • VMware NSX Networking for VCF
  • VMware HCX Enterprise
  • VMware Aria Operations for Networks Enterprise
  • SDDC Manager

※太字は下位エディションからの差分。全アドオンサービス利用可能

「VMware Cloud Foundation」から利用できる代表的な機能/サービス

VMware NSX Networking for VCF

物理ネットワークと完全に分離された「オーバーレイ・ネットワーク」を構成し、ネットワーク管理の効率化や自動化を実現

VMware Aria Automation Enterprise

ガバナンスに基づきマルチクラウド環境をセルフサービス化することで、インフラ提供の自動化やユーザーの生産性向上を実現

以下のドキュメントでは、新サブスクリプションでのNSX各機能表が掲載されています。
https://docs.vmware.com/en/VMware-NSX/4.1.2/nsx-feature-and-edition-guide/GUID-6A94977E-5325-4BAC-8DCF-F8D147F4E9D7.html

Select Supportについて

「Select Support with SRE (Site Reliability Engineering)」は、VMware Cloud Foundationのお客様が利用できる上級サポートサービスです。このサービスでは、SLA応答時間の改善やSeverity 1の問題に対する根本原因分析、無制限のサポートリクエストなど、高度なサポートを提供します。

SREを利用するには、SDDC Managerを含むVMware Cloud Foundationの全スタックを展開する必要があります。また、別途サポートアカウントマネージャーのアドオン購入が推奨されています。

サポート内容比較VMware Production SupportVMware Select Support
OffervSphere CustomersVCF Customers
Customer AccessSingle Entitlement AccountAll Entitlement Accounts
Geo CoverageRegionalGlobal
#of Individual Customer
Administrators
6Unlimited
Senior-Level Support EngineersN/A
SDK and API GuidanceN/A
Root Cause AnalysisN/ASeverity1
Severity 1 Initial Response30 minutes,24 x730 minutes,24 x7
Severity 2 Initial Response4 business hours, 10×52 business hours, 10×5
Severity 3 Initial Response8 business hours, 10×54 business hours, 10×5
Severity 4 Initial Response12 business hours, 10×58 business hours, 10×5
Site Reliability EngineeringN/A

オプションサービスについて

2024年5月8日時点でアドオン可能なオプションサービスの一覧は以下通りです。

サービス名称概要アドオン可能なエディション
VMware Live Recovery
-VMware Live Site Recovery
(旧VMware Site Recovery Manager)
-VMware Live Cyber Recovery
(旧VMware Cloud Disaster Recovery)
(旧VMware Ransomware Recovery)
クラウドを活用した災害対策ソリューションで必要なときにオンデマンドでリカバリサイトを構築して利用できる災害対策が可能です。全エディション
VMware Avi Load Balancer
(旧VMware NSX Advanced Load Balancer)
100%ソフトウェア型のロードバランサーで、負荷分散やセキュリティ分析といったADC機能を提供します。
VMware Tanzu Intelligenceマルチクラウド環境におけるインフラやアプリケーションの継続的な可視化・最適化を支援します。
VMware Tanzu Mission Control強力なポリシーエンジンで、複数のKubernetesクラスタに対して一元的なコントロールを提供します。
VMware Tanzu Application Platform開発者が効率的かつ安全にアプリケーションをデプロイできる環境を提供します。
VMware Tanzu Spring RuntimeJavaを利用したミッションクリティカルなアプリケーション開発や商用サポートを支援します。
VMware vSAN per TiBvSphereのハイパーバイザーと完全に統合された、HCIをサポートするストレージ仮想化ソリューションです。vSphere Foundation
VMware Cloud Foundation
VMware Firewall
(旧VMware NSXのセキュリティ機能)
マイクロセグメンテーションなど、データセンターにおけるセキュリティ機能を提供します。VMware Cloud Foundation
VMware Firewall with ATP
(旧VMware NSX Advanced Threat Prevention)
仮想環境にNDRやIPS/IDS、サンドボックス等の高度なセキュリティ対策(ATP)の機能を提供します。

新ポートフォリオに関するご相談はネットワールドまで!

「VMware vSphere」と「VMware Cloud Foundation」の新しいラインナップについてご紹介しました。今後のアップデート情報についても、随時こちらのサイトにて発信していきます。

VMware vSphereに関する新しいライセンスや保守更新については、以下のオンデマンドセミナーで詳しく解説しておりますので、こちらも合わせてご活用ください。

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