VMware Cloud Foundation(VCF)は、サーバ、ストレージ、ネットワークの仮想化と運用効率化を一体化した、フルスタック型のSDDC(Software-Defined Data Center)ソリューションです。
この記事では、VCFを初めて学ぶ方向けに、製品の基本概要からVCFを構成するVMware製品、VCFの代表的なメリットや提供エディションについてわかりやすく紹介します!
サイロ化したITインフラの課題
現代のビジネス環境では、企業がデジタル化と技術進化に対応するため、多種多様なシステムとテクノロジーを導入しています。しかし、これらのシステムがそれぞれ個別に最適化されることで、「サイロ化されたインフラ」という問題が生じています。
サイロ化とは、異なるクラウド環境や機能が独立して動作し、情報やリソースの横断的な共有が困難な状態を指します。たとえば、基幹系システムと情報・社内系システムが異なるバージョンやアーキテクチャのクラウドインフラで構築されている場合、データアクセスの制限や効率的な連携の障害が生じることがあります。このような状況は、組織全体の効率や柔軟性の低下につながります。
「Software-Defined Data Center」による解決策
サイロ化されたインフラの問題を解決するための一つのアプローチとして、「Software-Defined Data Center(SDDC)」への移行が挙げられます。SDDCでは、サーバ、ネットワーク、ストレージなどの重要な要素をソフトウェアで抽象化し、一元的に管理します。システム全体の運用を自動化し、異なるシステム間の運用管理の課題を解決することで、効率的で柔軟なITインフラストラクチャが実現されます。
SDDCの導入により、IT部門は複数のシステムをより効率的に管理できるようになり、新しいテクノロジーの導入や既存システムとの調整が容易になります。これにより、企業は迅速にビジネスの変化に対応し、市場での競争力を高めることができるようになります。
SDDCを実現する「VMware Cloud Foundation」
VMware Cloud Foundationは、従来のオフィスITシステムをクラウドコンピューティングの柔軟性と高機能性を備えた最新のシステムへと変革する、統合型のSoftware-Defined Data Center(SDDC)ソリューションです。このソリューションは、サーバ、ストレージ、ネットワークの仮想化機能に加えて、運用管理機能も一体化しており、クラウド運用モデルを実現するための一貫したインフラとオペレーションを提供します。
VMware Cloud Foundationを導入することで、IT運用の自動化と集中管理が可能となり、迅速かつ効率的なサービス提供が実現されます。これにより、企業のデジタル変革が加速し、複数のクラウド環境をスムーズに統合し、業務を効率的かつ一貫性のある方法で運営することが可能になります。
VMware Cloud Foundationを構成するVMwareサービス
VMware Cloud Foundationは、企業のITインフラストラクチャを柔軟かつ効率的に管理するために開発された、複数のVMwareサービスで構成されるフルスタックアーキテクチャです。
VMware Cloud Foundationの主要コンポーネントは以下の通りです。
VCF Operations
インフラを可視化し、デプロイや管理を自動化することで、リソースのアップデートやモニタリングを一元管理して効率的な運用を支援します。(旧SDDC Manager、旧Aria Operations)
VMware Cloud Foundationの3つのメリット
VMware Cloud Foundationの導入により、企業は多くのメリットを享受できます。ここでは、その代表的な3つのメリットを、具体的な例と実際の効果を交えて紹介します。
メリット①:標準化と自動化によるITインフラ運用の改善
VMware Cloud FoundationによるITインフラの標準化と自動化は、運用の簡素化と効率化を実現します。例えば、仮想マシンのプロビジョニングやポリシー適用、アップデートが自動化されることで、手作業によるエラーが減少し、ITチームの作業負担が軽減されます。
VMware Cloud Foundationを活用することで、ITチームはルーチンワークから解放され、より戦略的で革新的な業務に集中できるようになります。
メリット②:より高付加価値領域へのエンジニアリソースの移行
VMware Cloud Foundationによる変革は、エンジニアリソースの活用範囲を拡大します。例えば、エンジニアは新しい技術の導入、システムの最適化、ビジネスプロセスの改善など、より創造的で影響力のある業務に時間を割くことができます。
これにより、企業はITチームのスキルと能力を最大限に活用し、ビジネスのイノベーションを加速させることができます。
メリット③:既存ITインフラ運用の最適化による新規領域へ余力の確保
VMware Cloud Foundationによる運用の最適化は、コスト削減と効率化をもたらします。従来の運用を続けると、ワークロードとコストが増加する一方、VMware Cloud Foundationを導入することで、これらのコストを削減し、新規プロジェクトやイノベーションへの投資に余力を確保できます。
例えば、クラウド利用コストの削減により、新しいアプリケーション開発や市場拡大戦略に資金を再投資することが可能になります。これにより、企業は市場の変化に柔軟に対応し、持続的な競争優位を維持することができます。
VMware Cloud Foundationの購入方法
VMware Cloud Foundation(VCF)のライセンス単位は「コア単位」となり、最小購入数は「物理CPUあたり16コアライセンス」です。サブスクリプション期間は1年、3年、5年から選択可能で、サポートレベルは上位の「Select Support」が提供されます。
vSphereとVCFの最新ラインナップについては、以下記事でもご紹介しています。
エディション | VMware vSphere Essentials Plus (VVEP) | VMware vSphere Standard (VVS) | VMware vSphere Foundation (VVF) | VMware Cloud Foundation (VCF) |
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提供方法 | Subscription型 | |||
購入単位 | 1セットにつき96コア (2セット/192コアまで拡張可能) | 物理1CPUあたり最小16コアライセンス | ||
サポート | Production Support | Select Support | ||
エディションに含まれるサービス | ||||
VMware vSphere | Essentials Plus | Standard | Enterprise Plus | |
VMware vCenter | Essentials | Standard | ||
VMware Tanzu Kubernetes Grid | 利用不可 | 利用可能 | ||
VMware vSAN | 含まれない (2/9時点) | Enterprise (1コアあたり1TiB) | ||
VMware Cloud Foundation Operations | 利用可能 | |||
VMware Cloud Foundation Automation | 利用不可 | 利用可能 | ||
VMware NSX Networking for VCF (旧NSXのオーバーレイ等のネットワーク機能) | 利用不可 | 利用可能 | ||
VMware HCX Enterprise | ||||
VMware Cloud Foundation Network Operations | ||||
SDDC Manager | ||||
アドオンサービス | ||||
VMware Live Recovery -VMware Live Site Recovery (旧VMware Site Recovery Manager) -VMware Live Cyber Recovery (旧VMware Cloud Disaster Recovery) (旧VMware Ransomware Recovery) | アドオン可能 | |||
VMware Avi Load Balancer (旧NSX Advanced Load Balancer) | ||||
VMware Tanzu Intelligence | ||||
VMware Tanzu Mission Control | ||||
VMware Tanzu Application Platform | ||||
VMware Tanzu Spring Runtime | ||||
VMware vSAN per TiB | アドオン不可 | アドオン可能 | ||
VMware Firewall (旧NSXのマイセグ等のセキュリティ機能) | アドオン不可 | アドオン可能 | ||
VMware Firewall with ATP (旧NSX Advanced Threat Prevention) |
VMware Cloud Foundationの相談はネットワールドまで!
ITインフラの構成要素をソフトウェアで抽象化することで、効率的な管理を実現するフルスタック型SDDCソリューションの「VMware Cloud Foundation」について紹介しました。VMware Cloud Foundationを導入することで、企業はコスト削減、運用効率の向上、ビジネスニーズに合わせた柔軟なスケーリング、セキュリティとコンプライアンスの強化など、多くのメリットを享受できます。
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