毎年恒例のどこよりも早い!VMware Explore 2023 発表内容まとめ

VMware社の年次イベントであるVMware Exploreが米国ラスベガスで8/21-8/24の4日間開催されています。 

VMware Exploreに合わせて発表された内容を紹介していきます。発表された内容から読み取れる範囲で紹介しておりますが、執筆時点ではリリース前の製品・サービスの情報になりますので、一部実際の製品・サービスと異なることがあります。ご理解のうえご覧ください。

目次

vSANなのにHCIじゃないの? vSAN Max

vSAN 8 Update 2(vSphere 8 Update 2)で大きなアップデートがあり、vSAN 8から利用可能になったvSAN ESA(Express Storage Architecture)を外部ストレージとして利用可能なライセンスvSAN Maxが容量単位で販売されます。

vSANでは以前からvSAN HCI Meshとして、vSANストレージを構成しないvSphereからもデータストア利用が可能でした。従来は接続先となるvSANストレージを構成するvSphereクラスタはvSphere+vSANのライセンスが必要でしたが、vSAN専用ノードとすることでvSAN MaxのライセンスだけでvSANストレージを構成することができるようになります。

HCIのメリットを享受したい場合、3Tierのメリットを享受したい場合いずれの場合にもvSANアーキテクチャで実現できるようになりますね。

またvSANを含むライセンスパッケージでVMware Cloud Packsと呼ばれるものがありましたが、VMware Cloud Editionsと呼ばれるパッケージに名称変更が発表されています。

「Introducing vSAN 8 Update 2 and VMware vSAN Max」
https://blogs.vmware.com/virtualblocks/2023/08/22/vsan-8-update-2/

「Announcing vSphere Q3 2023 Release」
https://blogs.vmware.com/vsphere/2023/08/announcing-vsphere-q3-2023-release.html

「Presenting the Evolution of VMware Cloud」
https://blogs.vmware.com/cloud/2023/08/22/presenting-vmware-cloud/

NSXお前もか! NSX+でSaaS管理を提供開始!

vSphere+やvSAN+やVCF+と+を付けるのが最近のブームですが、NSXもついにNSX+になります。

NSX+ Policy Management、NSX+ Intelligence、NSX+ Network Detection and Response (NDR)、NSX+ Advanced Load Balancer (ALB) Cloud Serviceとサービスがわかれており、おなじみのNSXの統合管理を実現するのがNSX+ Policiy Managementのようです。

昨年のVMware Exploreで発表されたマルチクラウドのネットワーク&セキュリティをSaaS提供するProject Northstarの第一弾ともいうべきものです。

「VMware NSX+|Simplify Networking and Security」
https://www.vmware.com/products/nsx/nsx-plus.html

「Announcing VMware NSX+: A Simpler Path to Consistent Multi-Cloud Networking」
https://blogs.vmware.com/networkvirtualization/2023/08/announcing-nsx-plus.html

「Announcing VMware NSX+ Advanced Load Balancer Cloud Controller」
https://blogs.vmware.com/networkvirtualization/2023/08/announcing-vmware-nsx-advanced-load-balancer-cloud-controller.html

またNSX+に依存しているわけではありませんが、最新版のNSX 4.1.1でサポートされたNSX Virtual Private Cloudsによるマルチテナント管理はだいぶ推しの機能のようです。

「Self Service Consumption with Virtual Private Clouds Powered by NSX」
https://blogs.vmware.com/networkvirtualization/2023/08/multi-cloud-vpc.html

「NSX Virtual Private Clouds」
https://docs.vmware.com/en/VMware-NSX/4.1/administration/GUID-45670D79-7CBE-424D-B1D3-B9BB3B6D8C88.html

 

こういうのを待ってたんだよ、VMware Cloud on AWSアップデート

VMware Cloud on AWSにAdvanced Subscriptionの追加

VMware Cloud on AWSは提供開始以来、ホストノードごとの単一価格で提供されていましたが、ついに上位エディションともいうべきAdvanced Subscriptionが発表されました。
従来のVMware Cloud on AWSに以下の製品・サービスがバンドルされたものになります。
・VMware Aria Automation
・VMware Aria Operations
・VMware Aria Operations for Logs
・VMware Aria Migration (30 days free trial)
・Advanced security capabilities: Context-aware microsegmentation (L7 DFW AppID), Distributed FQDN allowlisting, User Identity-based Firewall (IDFW),
・NSX+ Policy Management

「Announcing VMware Cloud on AWS: Advanced subscription tier」
https://blogs.vmware.com/cloud/2023/08/22/announcing-vmware-cloud-on-aws-advanced-subscription-tier/

VMware Flex Storage アップデート

昨年から急にサポートが始まったVMware Cloud on AWSの外部データストア利用ですが、現在AWSの提供するAmazon FSx for NetApp ONTAPそしてVMwareの提供するFlex Storageがあります。VMware Flex Storageは昨年秋から提供が開始されていましたが、今年も秋に大きなアップデートがあるようです。1SDDCあたり最大4データストアまで利用可能に、1データストアあたり800TBをサポートすることにより、最大3.2PBのデータストアを利用することができるようになります。またデータストアあたりの性能も強化されるようです。

元々Flex Storageでは利用可能なデータストア容量は一般的には十分な容量が提供されていましたが、1つのSDDCで1つのデータストアしかマウントできない、そして1つのデータストアでは既定で利用できるvSANデータストアと比較すると性能上限が低いという課題がありました。複数のVMDKを複数のFlex Storageに配置することにより大容量かつ性能を満たす仮想マシンを構成するようなことも可能になります。FY24Q4にリリース予定とのことなので、2023/11-2024/1に提供が開始される予定です。

個人的にはVAAIのようにクローンやスナップショットとかストレージ側にオフロードできるようになってほしいです。

また従来のVMwareからの販売だけでなく、VMware Cloud on AWS同様AWS経由の販売、クラウドサービスプロバイダからのMSPとしての販売も可能になるようです。

「What’s New in VMware Cloud Flex Storage? Major Updates Coming!」
https://blogs.vmware.com/virtualblocks/2023/08/21/whats-new-in-vmware-cloud-flex-storage-major-updates-coming/

外部ストレージとのVPCピアリング接続のサポート

現在VMware Cloud on AWSでは先に紹介したFlex Storageに加えてAWS FSx for NetApp ONTAPの利用をサポートしています。同じようにNFSデータストアとして外部サービスをマウントするのですが、そのネットワーク接続のアーキテクチャは異なります。

AWS FSx for NetApp ONTAPでは、SDDC Group(VMware Transit Gateway)を経由したアクセスしかサポートされておらず、せっかく同一アベイラビリティゾーンに展開しているのにvSphereとデータストア間の通信に対してコストがかかる状態でした。

VPCピアリングがサポートされることにより、このSDDC Group(VMware Transit Gateway)を経由することなくデータストアアクセスできるようになるため、コスト面はもちろんのことVTGWの負荷軽減や、弊社の検証でもVTGWの遅延はそれほど大きくありませんでしたが、遅延の改善による性能の向上も期待できるのではないでしょうか。

「Introducing VPC Peering for External Storage 」
https://blogs.vmware.com/cloud/2023/08/22/introducing-vpc-peering-for-external-storage/

VMware Cloud Disaster Recoveryの機能追加

VMware Cloud Disaster Recovery、VMware Ransomware Recoveryのアップデートも発表がありました。
・VMware Ransomware Recoveryの同時実行数、最大実行数の増加による復旧の迅速化
・vSANスナップショットと連携可能なCybersecure Storageのパブリックプレビューの開始
・VMware Ransomware Recovery実行後もクラウド上で稼働させつづけることが可能に!
・Google Cloud VMware Engineの正式サポート開始、AWS Outpostのテクノロジープレビュー開始

オンデマンドで必要なときに展開できるVMware Cloud on AWSを、クラウドのメリットを生かした使い方ができるVMware Cloud Disaster Recoveryも着実にアップデートしていますね。

「VMware Explore 2023: Innovations in Ransomware and Disaster Recovery」
https://blogs.vmware.com/virtualblocks/2023/08/22/vmware-explore-2023-innovations-in-ransomware-and-disaster-recovery/

増えたり減ったりしている、VMware Aria Solution

昨年のVMware Exploreで発表されたマルチクラウド運用管理製品ソリューションのVMware Ariaですが、今年も様々な発表がされています。
また一部Aria製品群がTanzuブランドのTanzu Intelligence Servicesに変更になったようで紹介しているVMware社のBlogも随時修正されていっている状況です。

正しくはこちらのVMware社の公式リリースをご参照ください。

「VMware Expands Tanzu to Accelerate App Delivery at Enterprise Scale」
https://news.vmware.com/releases/vmware-explore-2023-tanzu

Aria Automation for Public Cloudのリリース

AWS,Azure,GCP用のプラグインを利用することによりvSphere環境と同じようにパブリッククラウドに対してAria Automationによる自動化の適用範囲を広げることができるようになります。

「Next-Gen Public Cloud Management with VMware Aria Automation」
https://blogs.vmware.com/management/2023/08/next-gen-public-cloud-management-with-vmware-aria-automation.html

Aria OperationsとAria Operartions for Logsのネイティブな統合

従来メトリック(数字)を収集して監視・分析をするAria Operationsとログ(テキスト)を収集して監視・分析をするAria Operations for Logsは独立した管理画面を提供していました。
これが単一のコンソールでの表示・単一のレポートになるということですが、単独で販売しているサービスということもありどこまで統合されているのか気になることろです。

「What’s New with VMware Aria Operations at VMware Explore」
https://blogs.vmware.com/management/2023/08/whats-new-with-vmware-aria-operations-at-vmware-explore.html

Tanzu Insightsの提供開始

Tanzu Insights(旧Aria Insight)と呼ばれる新サービスが提供開始されました。
昨年のVMware Exploreで発表されて以来、従来のAria製品でInsightできるんじゃないの?何が違うの?となっていましたがイベント管理に特化するような形で提供がされるようです。
実際のトラブルシュートではキーになるエラーイベントの検出が肝になってくるので、個人的には期待しているサービスです。

「Introducing VMware Tanzu Insights」
https://blogs.vmware.com/management/2023/08/introducing-vmware-aria-insights.html

ちなみにAria GuardrailsもTanzu Guardrailsに名称が変更になったようです。
CloudHealth Secure State -> Aria Operations for Secure Clouds -> Aria Automation for Secure Clouds -> Aria Guardrails -> Tanzu Guardrailsと1年で5回も名称が変更になった製品ははじめてみました。

「Multi-Cloud Governance through Policy Enforcement with VMware Tanzu Guardrails」
https://blogs.vmware.com/management/2023/08/multi-cloud-governance-through-policy-enforcement-with-vmware-tanzu-guardrails.html

Aria Operations for NetworksのAI利用

Aria Operations for Networksはネットワーク上のインベントリ情報と、通信フローを収集して監視・分析ができましたが、検索やトラブルシューティングの場面でAIを使って容易にAria Operations for Networksを使いこなすことができるようになります。
Aria Operations for Networksでは独自クエリを使った検索を使いこなす必要があったため、AIを使った支援があると非常に捗るのではないでしょうか。


「What’s New with VMware Aria at VMware Explore 2023 」
https://blogs.vmware.com/management/2023/08/aria-announcements-explore-2023.html

Generative AIもオンプレミスで! VMware Private AI

従来からNVIDIA社との協業でAI Enterprise Platformを提供していましたが、今月NVIDIA社から発表されたAI Enteprise 4.0では生成AIの構築・カスタマイズ・展開のためのNVIDIA NeMoが追加されています。
VMware Private AI Foundation with NVIDIAでは、VMware Cloud FoundationとNVIDIA AI Entepriseの組み合わせをサーバベンダー各社からアプライアンスとして提供することにより、容易にオンプレミスに生成AI基盤を構築することができます。

「VMware and NVIDIA Unlock Generative AI for Enterprises」
https://news.vmware.com/releases/nvidia-vmware-generative-ai

「Announcing the launch of VMware Private AI: Democratize generative AI and ignite innovation for all enterprises」
https://blogs.vmware.com/vsphere/2023/08/introducing-vmware-private-ai-foundation.html

「NVIDIA AI Workbench が世界中の企業のカスタム生成 AI 導入を加速」
https://www.nvidia.com/ja-jp/about-nvidia/press-releases/2023/nvidia-ai-workbench-speeds-adoption-of-custom-generative-ai-for-worlds-enterprises/

AVDだけじゃない、Windows 365もHorizon Cloudでサポート

Horizon Cloudは従来からHorizon Cloud on AzureとしてAzure上の仮想マシンを使った仮想デスクトップ環境をサポートしていました。

現在MicrosoftのAzure上でのVDIサービスとしては、VDI基盤を提供するAzure Virtual DesktopとDaaSサービスを提供するWindows 365が提供されています。前者のAzure Virtual Desktopと連携するような形でHorizon Cloud on Azureを利用するだけでなく、今回Windows 365のDaaSサービスとの連携が昨年のVMware Exploreで発表されて以来ようやくパブリックプレビューとして提供が開始されます。Windows 365の管理で利用するIntuneからHorizon Agentの自動インストールができるなどの連携が可能なようです。

必要なWindows 365の環境とHorizon Cloudの要件は以下の通りです。
https://learn.microsoft.com/en-us/windows-365/enterprise/requirements-vmware-horizon

また現在パブリックプレビューということもあり、以下のURLに制限事項がまとまっていますのであらかじめ確認しておく必要があります。
https://learn.microsoft.com/en-us/windows-365/enterprise/set-up-vmware-horizon

リンク先からパブリックプレビューの申し込みページに遷移することもできますので、興味のある方はご検討ください。

「VMware extends Windows 365 Cloud PCs to new audiences」
https://techcommunity.microsoft.com/t5/windows-it-pro-blog/vmware-extends-windows-365-cloud-pcs-to-new-audiences/ba-p/3904819

「Announcing the public preview of VMware Horizon with Microsoft Windows 365」
https://blogs.vmware.com/euc/2023/08/announcing-the-public-preview-of-vmware-horizon-with-microsoft-windows-365.html

システム要件のドキュメントを見たところUAGもマネージドサービスのプレビュー版を利用する必要があるようです。
Horizon Cloud Edge Gatewayがどういった形で提供されるのかが気になるところです。

より詳細な情報を聞きたい方はフィードバックセミナーにも是非ご参加ください

ネットワールドでは、4日間のVMware Exploreで発表された内容を90分に凝縮したオンラインセミナーも下記の日程で開催する予定です。
本日の内容を見て興味がある方もそうでない方も、是非ご参加いただければ幸いです。
https://frontier.networld.co.jp/event/20230908-vmwareexplore2023/  
開催日時 2023年9月8日(金)16:00~17:30
主催社 株式会社ネットワールド
協賛社 ヴイエムウェア株式会社
参加方法 本ページのフォームより参加申し込みをお願いいたします
参加費 無料(事前登録制)
開催形式 リモート開催(Zoom)
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