「VMware vSphere」のエディション
「VMware vSphere」サブスクリプションは、小〜中規模環境向けの「Standard」、大規模環境向けの「Enterprise Plus」、運用効率化やKubernetesとの統合が可能な「vSphere Foundation」という3つの選択肢があります。それぞれで利用できる機能や特徴についてご紹介します。
- 小〜中規模環境向けの「vSphere Standard」
- 大規模環境向けの「vSphere Enterprise Plus」
- 自動化やKubernetesを活用できる「vSphere Foundation」
各vSphereで利用できる機能一覧
vSphereの各エディションで利用できる機能一覧はこちらです。
「vSphere Foundation」は、vSphere以外に「VMware Vsphere Kubernetes Grid」や「VMware Cloud Foundation Operations」が含まれており、アドオンサービスを利用することで「VMware vSAN」環境を構築することが可能です。
vSphereサブスクリプション | 機能概要 | vSphere Standard (VVS) | vSphere Enterprise Plus | vSphere Foundation (VVF) |
---|---|---|---|---|
含まれるvSphereエディション | サブスクリプションに含まれるvSphereエディション | vSphere Standard | vSphere Enterprise Plus | vSphere Enterprise Plus |
事業継続性 | ||||
vSphere Hypervisor | 本番環境で実績のある、堅牢で高性能の仮想化レイヤーを提供 | |||
vMotion | サービスを停止したりすることなく、仮想マシンの移行が可能 | |||
vSMP | 仮想マシンに複数の仮想 CPU を搭載可能 | |||
High Availability (HA) | 物理マシンに障害が発生した場合に、仮想マシンを自動的に再起動 | |||
Storage vMotion | ストレージの計画的メンテナンス時のアプリケーションのダウンタイムを排除 | |||
Fault Tolerance (FT) | ハードウェア障害の発生時にダウンタイム無しの可用性を提供 | 仮想 CPU 2 個分 | 仮想 CPU 8 個分 | 仮想 CPU 8 個分 |
vShield Endpoint | アンチウイルスエージェントを仮想マシンにインストールすることなく保護 | |||
vSphere Replication | LAN または WAN 経由で仮想マシンのデータを効率的にレプリケーション | |||
4K ネイティブ ストレージのサポート | 大容量ドライブを活用してプラットフォームのスケーラビリティを向上 | |||
vSphere Quick Boot | パッチ適用とアップグレードに要する時間を大幅に短縮 | |||
vCenter High Availability | vCenter Server のネイティブな可用性 | |||
運用の簡素化 | ||||
次世代のインフラストラクチャ イメージ管理 | 望ましい状態のモデルを用いてパッチ適用、アップデート、アップグレード | |||
vCenter Server プロファイル | vCenter Server の望ましい状態の構成を管理して構成の定義、検証、適用 | |||
vCenter Server Update Planner | vCenter Server をアップグレードする際の互換性と相互運用性を管理 | |||
コンテンツ ライブラリ | 仮想マシンテンプレートやスクリプトをシンプルかつ効果的に統合管理 | |||
Storage APIs for Array Integration および Storage APIs for Multipathing | アレイベースの効率的な運用とマルチパスソフトウェア機能の活用 | |||
Distributed Switch | クラスタレベルのネットワーク統合により管理、監視を一元化 | |||
ホスト プロファイルおよび Auto Deploy | ホストレベルで構成設定をキャプチャしてテンプレートとして保存、利用 | |||
Virtual Volumes | 外部ストレージを仮想化し、ポリシーベースのストレージ管理機能を提供 | |||
グリーン指標 | ワークロードやインフラ、アイドル時の消費電力をホストレベルで把握 | |||
組み込みのセキュリティ機能 | ||||
ADFS による ID フェデレーション | セキュアなアクセスとアカウントの管理 | |||
vSphere Trust Authority | 機密性の高いワークロードに対するリモート構成証明 | |||
TPM 2.0 のサポートと仮想 TPM | 仮想 TPM デバイスを追加してゲスト OS を保護 | |||
FIPS 140-2 コンプライアンスと TLS 1.2 のサポート | デフォルトでセキュリティ コンプライアンスを強化 | |||
仮想マシンの暗号化 | 仮想マシンのデータとディスクの保存データの暗号化 | |||
MSFT VBS のサポート | Windows 10 および Windows 2016 のセキュリティ機能を vSphere でサポート | |||
仮想マシン単位での Enhanced vMotion Compatibility | ハイブリッドクラウド全体で異なる CPU 間でのシームレスな移行 | |||
Instant Clone | VDI アプリケーションなどのプロビジョニングの所要時間を短縮 | |||
アプリケーションのパフォーマンス | ||||
Distributed Resource Scheduler (DRS) | ワークロードに割り当てられたリソースを対象に vSphere クラスタ 内で再配置 | |||
Storage DRS | 仮想マシンのデータの作成時および使用時にデータの最適な格納場所を決定 | |||
Distributed Power Management (DPM) | 需要の少ない時間帯にホストをパワーオフすることで消費電力を最適化 | |||
ポリシーベースのストレージ管理 | 複数のストレージ階層にわたる共通管理と、サービスクラスの動的な自動化 | |||
Network I/O Control および Storage I/O Control | ビジネスニーズに合わせて利用可能な I/O リソースを仮想マシンに割り当て | |||
Single Root I/O Virtualization (SR-IOV)の サポート | I/O 処理の負荷を軽減し、ネットワーク遅延を低減 | |||
vSphere Persistent Memory | DRAM と同等のパフォーマンスをフラッシュと同等の価格で実現 | |||
NVIDIA GRID vGPU | 単一仮想マシンへの複数 vGPU の割り当てをサポート | |||
Proactive HA | 問題が発生する前に、健全性が低下したホストから仮想マシンを移動 | |||
仮想マシン向けの グラフィックス アクセラレー ション | 仮想マシン内のグラフィックを強化 | |||
動的 DirectPath I/O | vGPU と DirectPath I/O による仮想マシンの初期配置をサポート | |||
VMware vSphere Distributed Services Engine | vSphere のワークフローへの統合により、DPU を管理する運用上の負担を軽減 | |||
Vendor Device Group | 複数の PCIe デバイスをグループにまとめて仮想マシンに割り当て | |||
ハイブリッドクラウドの機能 | ||||
vCenter 間でバージョンが 混在する場合のプロビジョニング | バージョンの異なる vCenter 間のプロビジョニング操作をシームレスに実行 | |||
クラウドへのホットマイグレーションと コールドマイグレーション | ハイブリッドクラウド全体でのホット/コールドマイグレーションをサポート | |||
バンドルサービス | ||||
仮想環境の管理 | VMware vCenter Server | Standard | Standard | Standard |
Kubernetes管理 | VMware vSphere Kubernetes Grid (旧称:VMware Tanzu Kubernetes Grid) | |||
ストレージ仮想化 | VMware vSAN Enterprise (0.25TiB/core) | (検証用) | ||
運用効率化 | ・VMware Cloud Foundation Operations (旧称:Aria Operations Advanced) ・VMware Cloud Foundation Operations Log Management (旧称Aria Operations for Logs) ・VMware Cloud Foundation Operations Lifecycle (旧称:Aria Suite Lifecycle) |
過去に提供されていたvSphere製品ラインナップ
以前の「VMware vSphereシリーズ」には、用途や環境に対応するために15種類以上の選択肢が用意されており、それぞれ含まれる製品や価格、ライセンス期限等が異なっていました。
大まかに分類すると、HCIやセキュリティ機能を含む「バンドル製品」、必要な機能や数量を選んで購入する最も一般的な「エディション製品」、仮想化を初めて導入する小規模向けの「キット製品」の3つの形式がありました。
現在は「VMware vSphere Standard (VVS)」、「VMware vSphere Enterprise Plus」、「VMware vSphere Foundation (VVF)」の3つのサブスクリプションと「VMware Cloud Foundation(VCF)」に統合されています。

VMware vSphere Standard
「VMware vSphere Standard」は、小規模から中規模の企業向けに最適化された仮想化プラットフォームです。本製品は、サーバ障害を検知し自動でアプリケーションを再起動する「HA」機能や、計画的なダウンタイムを不要にする「vMotion」機能を備えています。さらに、仮想マシンを停止せずに異なるストレージ間でデータを移動可能な「Storage vMotion」や、各仮想マシンに対して柔軟なストレージ管理を実現する「Virtual Volumes (VVOL)」機能など、充実したストレージ関連機能も利用できます。
vSphere Standardで利用できる主な機能

vMotion
vMotionは、仮想マシンを停止せずに別のホストに移動できる機能です。これにより、計画的なメンテナンス中でもダウンタイムなしで運用を続けられます。
また、負荷分散のために仮想マシンを最適なホストに移動させ、リソースの利用効率を高めます。たとえば、ホストのハードウェアを交換する場合でも、vMotionを使用すれば仮想マシンを別のホストに移動するだけで作業を進められます。

High Availability (HA)
HA(高可用性)は、物理サーバに障害が発生した際、仮想マシンを自動的に他のホストで再起動する機能です。システムのダウンタイムを最小限に抑え、ビジネスの継続性を確保します。
たとえば、データベースサーバが故障した場合でも、HAを利用することで仮想マシンは迅速に再起動され、業務への影響を最小限に抑えられます。HAは設定が比較的簡単で、信頼性の高いIT環境を実現します。

Storage vMotion
Storage vMotionは、仮想マシンを停止することなく、異なるストレージ間でデータを移動できる機能です。ストレージのメンテナンスやアップグレード中もダウンタイムを発生させずに運用を継続できます。
また、パフォーマンスが低下したストレージから高性能なストレージへの移行を簡素化し、リソースの最適化を実現するなど、システムの可用性が向上します。

Virtual Volume (VVOL)
VVOLは、仮想マシン単位でストレージリソースを柔軟に管理する機能です。仮想マシンごとに異なるストレージポリシーを適用し、ストレージアレイの特性を最大限に活用できます。
例えば、高いIOPSが求められる仮想マシンには専用のポリシーを設定し、適切なストレージリソースを割り当てることが可能です。
VMware vSphere Enterprise Plus・VMware vSphere Foundation
「VMware vSphere Enterprise Plus」と「VMware vSphere Foundation」では、大規模環境向けの最上位版である「VMware vSphere Enterprise Plus」を利用できます。このエディションでは、「Distributed Resource Scheduler (DRS)」や「Distributed Virtual Switch (VDS)」を使用することで、クラスター内のリソースを動的に最適化し、複数のESXiホスト間で統一されたネットワーク管理が可能です。
また「VMware vSphere Foundation」には、「VMware vSphere Kubernetes Grid」や「VMware Cloud Foundation Operations」も含まれているため、Kubernetesを含むクラウド環境の運用効率を向上させることができます。
Enterprise PlusとFoundationで利用できる主な機能

Distributed Resource Scheduler (DRS)
DRSは、クラスター内のリソースを自動的にバランス調整する機能です。ホストのCPUやメモリ使用率を監視し、負荷が偏らないように仮想マシンを適切なホストに移動させます。これにより、全体のリソースが効率的に利用され、パフォーマンスが最適化されます。
たとえば、あるホストが過負荷になった場合、DRSはそのホストの仮想マシンを他の負荷の少ないホストに移動させることで、システムの全体的なパフォーマンスを維持します。また、DRSはスケジュールに基づいてリソースの最適化も行います。

Distributed Virtual Switch (VDS)
VDSは、複数のESXiホスト間で共通のネットワーク設定を一元管理する機能です。ネットワークの設定やセキュリティポリシーの管理が効率化され、仮想マシンを異なるホスト間で移動する際にもネットワーク接続が維持されます。
例えば、大規模なデータセンターでは、仮想マシンを別のホストに移動しても、ネットワーク設定の変更が不要となり、運用が効率化されます。
vSphereサブスクリプションに含まれるサービスやアドオンサービスの一覧
各サブスクリプションで利用できるサービスやアドオンサービスの一覧はこちらになります。最新情報は以下の記事をご確認ください。
エディション | VMware vSphere Standard (VVS) | VMware vSphere Enterprise Plus | VMware vSphere Foundation (VVF) | VMware Cloud Foundation (VCF) |
---|---|---|---|---|
提供方法 | サブスクリプション | |||
購入単位 | 物理1CPUあたり最小16コアライセンス | |||
サポート | Production Support | Select Support | ||
エディションに含まれるサービス | ||||
VMware vSphere | Standard | Enterprise Plus | ||
VMware vCenter | Standard | |||
VMware vSphere Kubernetes Grid (旧称:VMware Tanzu Kubernetes Grid) | 利用不可 | 利用可能 | ||
VMware vSAN | Enterprise (1コアあたり 0.25TiB) | Enterprise (1コアあたり 1TiB) | ||
VMware Cloud Foundation Operations | 利用可能 | |||
VMware Cloud Foundation Automation | 利用不可 | 利用可能 | ||
VMware NSX Networking for VCF (旧NSXのオーバーレイ等のネットワーク機能) | 利用可能 | |||
VMware HCX Enterprise | ||||
VMware Cloud Foundation Network Operations | ||||
SDDC Manager | ||||
アドオンサービス | ||||
VMware Live Recovery -VMware Live Site Recovery (旧VMware Site Recovery Manager) -VMware Live Cyber Recovery (旧VMware Cloud Disaster Recovery) (旧VMware Ransomware Recovery) | アドオン可能 | |||
VMware Avi Load Balancer (旧NSX Advanced Load Balancer) | ||||
VMware Tanzu Intelligence | ||||
VMware Tanzu Mission Control | ||||
VMware Tanzu Application Platform | ||||
VMware Tanzu Spring Runtime | ||||
VMware vSAN per TiB | アドオン不可 | アドオン可能 | ||
VMware vDefend Firewall (旧NSXのマイセグ等のセキュリティ機能) | アドオン不可 | アドオン可能 | ||
VMware vDefend Firewall with ATP (旧NSX Advanced Threat Prevention) |
ネットワールド独自のVMware vSphere 導入支援体制
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