【VVF特別対談：Vol.3】VCF Operationsで実現するvSphere環境の最適化

VMware vSphere Foundation（VVF）は、仮想基盤の中核となるvSphereと、運用管理を効率化するVCF Operationsが含まれており、ITインフラの効率化と柔軟性を大幅に向上させる仮想化ソリューションです。本記事では、ネットワールドのVMware担当エンジニア・中村が、VCF Operationsが提供する具体的なメリットやその活用事例、さらに今後の進化について詳しくお届けします。

VVFとVCFの管理を支えるVCF Operationsの概要

株式会社ネットワールド 松本光平（以下、松本）：今回は、VMware vSphere Foundation（以下、VVF）で利用できる「VMware Cloud Foundation Operations（以下、VCF Operations）」についてお話を伺いたいと思います。この製品は旧称Aria Operationsとして知られていましたが、具体的にどのような特徴があり、どのように進化しているのでしょうか？

株式会社ネットワールド 中村康貴（以下、中村）：VCF Operationsは、旧Aria Operationsをリブランドして誕生した製品です。Aria時代と比較して基本機能には大きな変更はなく、データ収集や分析、レポート生成、将来的なリソース需要の予測といった、運用効率を向上させるための機能が搭載されています。

製品の核となるのはデータ収集と分析機能です。たとえば、vCenterサーバーやESXiから定期的に詳細なデータを収集して、CPUやメモリの使用率、ディスクI/Oの状況を可視化します。これらのデータは、直感的に操作できるダッシュボードへと反映され、色分けやヒートマップを活用することで、迅速な問題発見と対応を可能にしています。

松本：VCF Operationsは、VVFとVCFの両製品に含まれています。VVF版とVCF版のVCF Operationsでは、提供される機能に違いがあるのでしょうか？

中村：VVF版は主にVMware製品を中心にした機能が提供されます。たとえば、vSANの監視は可能ですが、サードパーティ製のストレージについては対応していません。一方で、VCF版ではより大規模で複雑な環境が想定されており、異なるプラットフォームが混在する環境でも統合的な管理が可能です。

松本：VVFとVCF、それぞれの目的に適した機能が提供されているのですね。収集したデータの具体的な活用方法についてもお聞かせください。

中村：主に3つの活用方法があります。1つ目は、ダッシュボードを活用した視覚的な監視です。たとえば、CPUやメモリの使用率が一定のしきい値を超えた場合、色分けされた警告が表示され、運用担当者は即座に異常を把握して対応することができます。

2つ目は、レポート機能です。収集したデータをPDFやCSV形式で定期的に出力できるため、運用会議やクライアント向けの報告書作成が自動化され、作業効率が大幅に向上します。

3つ目は、将来的なリソース需要の予測です。たとえば、VCF Operationsは過剰なリソース割り当てなどに対して、具体的な提案をアラート形式で表示してくれます。これにより、リソース不足や過剰を未然に防ぎ、長期的な計画立案にも活用できます。

VCF OperationsとvCenterの違いと位置づけ

松本：従来のvCenterによる運用方法と比較して、VCF Operationsがどのように差別化されているのか、もう少し詳しく教えていただけますか？具体的な使い方や特徴についてもお伺いしたいです。

中村：vCenterは主に仮想マシンのCPUやメモリの使用率といった「現在の状態を監視するツール」として機能します。一方で、VCF Operationsは、収集したデータを長期保存し、それを基に傾向を分析したり、将来的な問題を予測したりするためのツールです。また、発生した問題に対して具体的な解決策を提示する機能も備えており、運用効率を大幅に向上させることができます。

たとえば、vCenterでは仮想マシンの現在のリソース状況を確認できますが、VCF Operationsでは、そのデータを基に「数カ月後にリソース不足が発生する可能性がある」といった予測を立てることができます。現状の監視に加え、将来を見据えた分析が可能になることで、運用がより効率的かつ戦略的になります。

また、VCF Operationsでご要望をいただくケースが多いのがスナップショット管理です。VMwareでは、スナップショットを3日以内に削除することを推奨していますが、vCenterでは期限超過の警告は表示されません。一方で、VCF Operationsは保持期間が一定期間を超えたスナップショットに対して表示色の変更や警告の表示ができますので、不要なスナップショットが引き起こすパフォーマンス低下やストレージの浪費を未然に防ぐことが可能です。

松本：vCenterは現状を的確に把握するツールで、VCF Operationsはそこからさらに未来の課題を予測して対策を講じるツール、ということですね。VCF OperationsはvCenterを置き換えるものではなく、補完的な役割を持つという理解で正しいでしょうか？

中村：はい、その通りです。両者は役割が異なるため、併用するのが理想的です。vCenterは仮想マシンの管理や設定変更を行うための操作ツールであり、VCF Operationsはデータの収集や分析を通じて意思決定を支援するツールです。たとえば、仮想マシンのリソース割り当てを調整したい場合、vCenterで具体的な操作を行いながら、VCF Operationsの分析結果を参考にすることで、より適切な判断が可能になります。

あくまでイメージの話として、vCenterを銀行口座管理ツールに例えるなら、VCF Operationsは複数の口座や投資状況を統括的に管理する資産管理ツールのようなものです。この両者を組み合わせることで、運用全体を効率的に管理することが可能になります。

視覚的な運用支援の実現するダッシュボード機能

松本：ダッシュボード機能について詳しく教えてください。また、カスタマイズの必要性や難易度、デフォルト表示との違いについても気になります。

中村：VCF Operationsのダッシュボードは、仮想化環境全体の状況を視覚的かつ直感的に把握できるように設計されています。たとえば、CPU使用率が80%を超えている仮想マシンがあれば、その仮想マシンが赤色で表示されるため、一目で問題箇所を特定できます。

松本：視覚的に状況を把握できるのは非常に便利ですね。デフォルトのダッシュボードだけでも十分対応できる場面が多いのでしょうか？

中村：デフォルトのダッシュボードはほとんどの一般的な運用ニーズを満たすように設計されています。たとえば、クラスター全体のパフォーマンスや仮想マシンごとのリソース使用状況といった基本情報は、すぐに確認可能です。

ただし、大規模な環境や特定のチームのニーズに合わせるためには、カスタムダッシュボードが必要になる場合もあります。たとえば、複数の仮想マシンやESXiの情報を1つの画面に集約することで、全体の運用状況を一目で把握するような使い方が可能です。

次期バージョン「VCF9」による統合と展望

松本：最後に、今後のVCF Operationsの進化についてお聞かせください。次期バージョンでは、どのようなアップデートが予定されているのでしょうか？

中村：VCFの次期バージョンである「VCF9」では、これまで複数のツールを使い分けて行っていた運用が、順次VCF Operationsの管理コンソールに統合されていく予定です。運用を効率的に行うためのツールが複数の管理コンソールに分かれているのが現状ですが、統合されていくことですべての作業をひとつのインターフェース上で完結できるようになります。

松本：ツール間の切り替えが不要になるだけでも、現場の負担が大幅に軽減されそうですね。それ以外には、どのようなメリットが期待されますか？

中村：統合により操作効率が大幅に向上するのはもちろん、設定ミスや操作ミスといった人的エラーの削減も大きなメリットです。また、全体の運用状況をひとつの画面で把握できるようになるため、特に大規模な仮想環境を運用するチームにとっては、業務の簡素化と効率化が期待されます。

さらに、VCF Operationsには自動アクション機能が搭載されていますが、現状では「人の感覚」とのズレが課題になることがあります。たとえば、システムがリソースの増減を提案しても、運用者が「このタイミングでは必要ない」と感じたり、「減らすのはリスクが高い」と判断することがあります。このようなズレを解消するため、現時点では自動化と人間の判断を組み合わせた「ハイブリッド運用」が現実的な方法です。

統合後は活用できるデータが増え、運用者の意図や過去の判断パターンを学習することで、より人間の感覚に近い提案や自動調整が可能になるかもしれません。これが実現すれば、リソースの最適化がリアルタイムで行えるようになり、運用効率が一段と向上するでしょう。

松本：VCF Operationsのさらなる進化に期待が高まります。本日は、興味深いお話をありがとうございました。

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今回は、VMware vSphere Foundation（VVF）の一部として提供されるVCF Operationsの特徴や具体的な運用事例、そして将来の展望についてお届けしました。VCF Operationsは、仮想化基盤の運用効率を大幅に向上させ、柔軟性の高いインフラ管理を実現するツールです。今後は「VCF9」での進化にも注目が集まっています。

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