「VMware vSphere+」は、様々なvSphere環境で実行されているワークロードを、クラウド上の「VMware Cloud Services」から統合的に管理するマルチクラウドプラットフォームです。「vSphere+」を導入することで、オンプレミスの仮想環境で実行されているワークロードに対しても、クラウドサービスのような豊富で柔軟なメリットを提供することが可能になります。
本記事では、vSphere製品ラインナップ概要とライセンスの考え方、既存ライセンスからの「vSphere+」へのアップグレード方法(Subscription Upgrade Program)についてご紹介します。
vSphereシリーズの製品ラインナップ

「VMware vSphereシリーズ」は、用途や環境に対応できる15種類以上の選択肢が用意されています。その中でも、大分類すると以下3つの形式にて提供されています。
大分類 | 特徴 |
---|---|
vSphere バンドル製品 | HCIやセキュリティの機能を含むバンドル製品 (購入方法:Perpetualライセンス) |
vSphere エディション製品 | 必要な機能や数量を選択して購入する最もポピュラーな製品 (購入方法:Perpetualライセンス、Termライセンス、Subscription) |
vSphere キット製品 | これから仮想化を導入する方向けの小規模向け製品 (購入方法:Perpetualライセンス) |
「vSphere Standard」「vSphere Enterprise Plus」「vSphere with Tanzu」「vSphere+」で利用できる機能詳細については、VMware社のサイトをご参照ください。
https://juku-jp.vmware.com/introduction/vmware-vspherev2-license/
各ライセンスモデルの違いと特徴
「VMware vSphereシリーズ」には3種類のライセンス単位が用意されています。
「vSphere」は、永続ライセンスである「Perpetual」と、有期ライセンスである「term」の2種類が提供されています。ライセンスキーの管理は「Customer Connect」で行う形となり、種類の異なるvSphereライセンスと混在利用することも可能です。
「vSphere+」は、他のvSphere製品とは異なり、サブスクリプションモデルを採用しています。クラウド接続を前提として提供されており、「Cloud Gateway」を使った一元管理や最新機能の早期利用など、クラウドのメリットを活かした運用が可能となっています。
ライセンスモデル比較 | Perpetual ライセンス | Term ライセンス | Subscription (クラウド接続型) |
---|---|---|---|
サービス名称 | vSphere | vSphere | vSphere+ |
ライセンス単位 | CPU 課金 (最小1CPU〜) | Core 課金 (最小16コア/CPU〜) | Core 課金 (最小16コア/CPU〜) |
製品のメーカーサポート | 別売り | 含まれる | 含まれる |
vCenter ライセンス | 別売り (Perpetual版の vCenterのみ対応) | 含まれる (vCenter 数に制限なし) | 含まれる (vCenter数に制限なし) |
ライセンスの期間 | 永続 | 有期 (1年/3年/5年の前払い) | 有期 (1年/3年/5年の前払い、 超過料金は後払い) |
期間の終了後 | – | キーの再購入・再適用 | 延長購入 |
ライセンスの管理 | Customer Connect で キーの管理・発行 | Customer Connect で キーの管理・発行 | Cloud Portal で管理 (ライセンスキー無し) |
ライセンス認証のための インターネット接続 | 不要 | 不要 | 必須 |
Cloud Gateway のデプロイ | 不要 | 不要 | 必須 |
同一 vCenter 配下でのライセンス混在利用について
- 「Perpetual」と「Term」は、ライセンスキーの混在利用が可能です。
詳しくはネットワールドまでお問い合わせください。 - 「Subscription」は「Perpetual」及び「Term」とのライセンス混在利用は不可となります。
ただし、「vSAN Perpetual」との混在利用については条件付きで可能となっています。
こちらの詳細についてもネットワールドまでお問い合わせください。
各ライセンスモデルの考え方
「VMware vSphereシリーズ」には2種類のライセンス課金が用意されています。
- 物理サーバの「CPU課金」ライセンス
- 従来から提供されている「Perpetual」にて採用
- 1CPUライセンスで32コアまでが利用可能
- CPUあたりの「コア課金」ライセンス
- 「Term」と「Subscription」にて採用
- 最小購入数はCPUあたりの16コア
「コア課金」でのサブスクリプション契約イメージは、以下の通りです。

12コア/
1ソケット
16コア分の
ライセンスが必要

16コア/
1ソケット
16コア分の
ライセンスが必要

20コア/
1ソケット
20コア分の
ライセンスが必要

12コア/
2ソケット
32コア分の
ライセンスが必要
CPU課金とコア課金のケース比較
それぞれに必要となるライセンス数の考え方にについて、以下4つのシーンで比較してご紹介します。
①導入先のサーバが「12コアのCPU2つ」の場合
コア課金では、CPUあたりの最小購入数が16コアとなっています。
こちらの例では「CPU課金:2CPU」、「コア課金:32コア」のライセンスが必要です。

②導入先のサーバが「16コアのCPU2つ」の場合
①と同じく、こちらの例では「CPU課金:2CPU」、「コア課金:32コア」のライセンスが必要です。

導入先のサーバが「20コアのCPU2つ」の場合
こちらの例では「CPU課金:2CPU」、「コア課金:40コア」のライセンスが必要です。

導入先のサーバが「48コアのCPU2つ」の場合
CPU課金では、1CPUライセンスで32コアまでが利用可能となっています。
こちらの例では「CPU課金:4CPU」、「コア課金:96コア」のライセンスが必要です。

vSphereをクラウドライクに利用できる「vSphere+」とは?
「VMware vSphere+」はサブスクリプション型のサービスであり、仮想マシンの管理を行う「vCenter Server」をはじめとした様々な製品・サービス、VMware社による製品サポートを1つのSKUで提供します。
これらのサービスを活用することで、「マルチクラウドの実現」や「セルフサービス型Kubernetesプラットフォームへの変革」といった、ITインフラのDX化を強力に推進できる内容となっています。


vSphere+ で利用できるサービスについて
「vSphere+」では、VMware Tanzu 関連製品による「開発者向けサービス」と、ライフサイクル管理を効率化する「管理者向けサービス」を利用することができます。
各サービスの詳細については、こちらの記事をご参照ください。


「コミット分+超過分」による費用算出
「vSphere+」のサブスクリプション費用は、「契約コミット分+超過分」で算出されます。使用量は1時間単位で計測され、使用したコア数がコミット分を超えている時間がある場合は、利用後に超過料金が発生します。
クラウドサービスのように必要なタイミングで使用量を増やすことができるため、初期費用の削減や環境拡張時の俊敏性に優れています。
製品を利用する数量や、契約期間(1年・3年・5 年)を選択します。
長期契約の場合、通常よりもコストが割安となります。
CPUごとにベースラインとなるコア数を設定し、使用量を1時間単位で計測します。
超過分のコア使用時間は月末に積算され、利用後に請求となります。
※2023年6月現在、超過分(STEP2およびSTEP3のプロセス)は実施されておりません。
既存vSphereから「vSphere+」へのアップグレードについて (SUP)
VMware製品では、「Subscription Upgrade Program (SUP)」により、従来の買い切りライセンスからサブスクリプション形式のライセンスにアップグレードすることができます。
SUPによる「vSphere」から「vSphere+」へのアップグレードは、以下のお客様を対象に提供されています。
SUPによる「vSphere+」へのアップグレードが可能なお客様
- 既にvSphereの「Enterprise Plus」又は「Enterprise」のCPUライセンスを保有
- 発注時点で有効な「Production SnS」か「Basic SnS」の契約がある
- Production SnS…24時間365日でのメーカーサポート
- Basic SnS…平日8時-20時でのメーカーサポート
※SnS=Support and Subscription
SUP によってライセンスコストの削減も可能
「vSphere」ライセンスから「vSphere+」へのアップグレード後のサブスクリプション利用コストは、アップグレード前のサポート更新コストと同等以下になるケースが多く、「vSphere+」の契約期間が長いほど大きなコストダウンが見込めるようになっています。
また「vSphere+」へのアップグレード時には、ライセンス単位が「CPU課金」から「コア課金」に変更されますが、vSphere+導入先のハードウェアに関する証明書をVMware社に提出することで、16コアを超える追加コア分に関して100%の割引を受けることが可能です。
そのため現在、「vSphere」ライセンスを16コア以上のCPUで利用されているお客様は、SUPを利用することで、機能面だけではなく価格面でも非常に大きなメリットを享受することができます。
コストはお客様が現在お使いの環境によって異なるため、詳細についてはネットワールドまでお問い合わせください。
SUP を利用した「vSphere+」へのアップグレード例
「vSphere+」におけるSUPプロセスの概要は以下の通りです。
「vSphere+」における、SUPプロセスの概要
- 既存のライセンス「1CPU」あたり、「16コア」分のvSphere+に変換
- お客様からのリクエストを受けて、VMware社より見積もりが発行されます
- 初回契約期間中は、16コア分の価格のまま17コア以上を使用することも可能
- お客様からVMware社に対して所定の申請を行うことで、キャンペーン価格でご案内が可能
- 更新時には、課金対象はSUP適用されたアクティブなコア数すべてとなる
- 更新後の単価は標準価格よりも割安なSUP価格が適用されます
「24コアのCPU2つ」のvSphere+環境で3年契約した場合
「vSphere+」のサブスクリプションに3年契約でアップグレードすると、本来は「年間48コア」分のコストが発生します。
しかし、SUP を利用した場合は、16コアを超える追加コア分に関して100%の割引を受けることが可能になるため、初回契約の3年間は「年間32コア」分の費用で「vSphere+」を利用できます。

「vSphere+」へのアップグレード相談はネットワールドまで!
本記事では、vSphere製品ラインナップ概要とライセンスの考え方、既存ライセンスからの「vSphere+」へのアップグレード方法(Subscription Upgrade Program)についてご紹介しました。
既に「vSphere」をご利用中のお客様は、クラウド時代に最適な「vSphere+」へのアップグレードをぜひ検討ください。
また、本記事で紹介した「Subscription Upgrade Program (SUP)」に利用については、VMware製品のディストリビューターであるネットワールドにて対応が可能です。SUPのご相談や詳細説明をご希望のお客様は、お気軽にお問い合わせください。