5分でわかる!vSAN Maxとは?〜製品概要とライセンス情報〜

2023年8月に開催された「VMware Explore 2023」の中で、VMware vSANの最新機能である「VMware vSAN Max」が発表されました。vSAN Maxは、VMware vSphere環境でペタバイト規模のデータを効率的に管理することができる、新たなストレージソリューションです。

本記事では、vSAN Maxの概要やメリット・ユースケース、購入方法について、ポイントを絞ってご紹介します。

目次

vSAN Maxとは?

vSAN Maxは、ストレージに特化したクラスタを構成し、他のvSphereクラスタ向けにペタバイト規模の「高性能な外部ストレージ」を提供します。

vSAN Maxでは、NVMeベースのSSDのみで高性能なストレージプールを構成する「vSAN Express Storage Architecture(vSAN ESA)」を利用することで、低レイテンシーでの高いパフォーマンスを提供するストレージ目的専用の「vSAN Maxクラスタ」を構成します。

vSAN Maxクラスタ上では仮想マシンのホスティングは行わず、そのストレージリソースは他のvSphereクラスタに向けて提供されます。vSAN Maxクラスタあたり最大8.6ペタバイト、360万IOPSのスケーリングが可能になっており、高いI/O負荷のアプリケーションやデータベースでも安定したパフォーマンスを提供します。ストレージ集約型のワークロードなど、要求の厳しいミッションクリティカルなタスクに最適です。

vSAN Maxを活用することで、必要に応じてインフラストラクチャを簡単に拡張することができ、ビジネスの成長に合わせて変化するストレージ要求にも迅速に対応することが可能となります。

vSAN Maxの概要

vSAN Maxが提供するメリット

vSAN Maxは柔軟で独立した拡張可能なストレージであり、動的リソースを必要とするアプリケーションや、サーバとストレージが比例して拡張しないアプリケーションの運用時に大きなメリットを提供します。

通常のvSANを始めとする「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)」では、サーバリソースとストレージリソースが一体化されており、一元的な管理やスケーラビリティといったメリットを提供します。その一方で、ストレージのみが不足した場合でもサーバと一緒に増設する必要があるため、ストレージニーズへの対応のために無駄なサーバリソースの調達が発生するといった課題があります。vSAN Maxであれば、管理性やスケーラビリティといったHCIのメリットを保持しつつ、ストレージのニーズに特化した拡張に対応することができます。

現代のビジネス環境は、多種多様かつ高性能なアプリケーションに大きく依存しています。各アプリケーションは独自の処理能力やストレージのニーズを持っており、データ中心の戦略や先進的なAIワークロードの導入も加速しています。vSAN Maxは、このようなストレージ特性を持つアプリケーションに対して、特に大きなメリットを提供します。

vSAN Maxでストレージの拡張性とコスト効率を改善

拡張性

段階的なスケールアップまたはスケールアウト
vSAN Maxクラスタあたり数ペタバイト

コスト削減

ミッションクリティカルなデータベースなど
TCOを最大30%削減

圧倒的な容量

vSAN Maxクラスタのホストあたり
最大360TBの大容量ストレージ

シンプルな運用

単一の管理インターフェース
中央集中型のシンプルな管理を実現

vCenterを使用したシンプルな管理

vSAN Maxは通常のvSANと同様に、vCenter Serverを通じて運用します。vSAN Maxクラスタの健全性やパフォーマンス、キャパシティなどの情報は、仮想マシンの状態とともに単一のインターフェースから確認できます。

また、vSAN Maxクラスタが接続されているクライアントクラスタのトポロジビューを示す視覚的なダッシュボードが提供されるため、システムの全体像を迅速に把握することが可能です。

vSAN Maxクラスタとの接続状況を統合的に監視

vSAN Maxの代表的な3つのユースケース

データセンター全体の共有ストレージを統合・標準化するvSAN Maxは、CAPEX(設備投資)やOPEX(運用コスト)を削減するだけでなく、大量のデータ活用が伴うアプリケーションの運用を強力に支援します。

ここでは、vSAN Maxの代表的なユースケースを3つご紹介します。

①インフラとアプリのコストの最適化

vSAN Maxを使用すると、小規模なvSphereクラスタ環境でも、ミッションクリティカルなデータベースのデプロイが可能になります。これにより、サードパーティのライセンスコストを大幅に削減することができます。また、段階的な拡張に伴い、容量やセキュリティ、パフォーマンスを柔軟にカスタマイズすることが可能です。

②統合ストレージによる運用の簡素化

vSAN Maxは、全てのvSphereクラスタの集約型共有ストレージソリューションとして利用可能です。共有ストレージをvSphere・vCenterと統合することで、データセンター全体の標準化を実現し、効率化な管理性とシンプルで段階的なスケーラビリティを提供します。

③クラウドネイティブアプリケーションへの対応

vSAN Maxは、動的リソースを必要とするアプリケーションに対応する、柔軟で独立した拡張可能なストレージソリューションを提供します。サーバとストレージの比例的な拡張が不要なアプリケーションのリソースを最適化し、統一されたプラットフォームでブロック、ファイル、パートナーベースのオブジェクトストレージを提供します。

vSAN Maxのライセンス購入方法

vSAN Maxは、従来のvSAN製品のライセンス単位とは異なり、大規模なデータセンターのニーズを考慮した「ストレージ容量(TiB)」の新しいライセンスモデルによって提供されます。提供されるサブスクリプション期間は1年、3年、5年が用意されており、ビジネスの拡大に合わせてスケーリングが可能です。

vSAN Maxには最低6つのノードと150TiBのストレージ容量/ノードが必要で、ESAベースのvSAN Max認定ReadyNodeの使用が基本条件となっています。

vSAN Maxの購入方法

2023年11月時点では、従来のvSANからvSAN Maxへのアップグレードは提供されていません。また、vSphere+やVMware Cloud Foundation+といった「SDDC接続サブスクリプション」と同じ環境で使用することはできません。

vSANシリーズとのエディション比較

vSAN Maxのライセンスでは「vSAN Enterprise」相当の機能を利用できます。また、「vSphere Enterprise Plus」と「vCenter Server Standard」のライセンスが含まれるため、vSAN Maxクラスタの構成に他のライセンスは不要です。

VMware vSANvSAN+/-S
Standard
vSAN+/-S
Advanced
vSAN+/-S
Enterprise
vSAN
Enterprise Plus
vSAN
Max
ライセンスモデル永続型/サブスクリプション永続型サブスクリプション
購入単位CPU/CoreTiB
ストレージポリシーベースの管理
分散仮想スイッチ
ソフトウェアチェックサム
オールフラッシュ構成
iSCSI ターゲットサービス
QoS – IOPS の制限
CNS コントロールプレーン
vSphere CSI ドライバー
共有 witness
重複排除/圧縮
(オールフラッシュのみ)
RAID-5/6 イレイジャーコーディング
(オールフラッシュのみ)
vCenter 内の VMware Aria Operations
vSAN ストレッチクラスタ
※2

※2
保存データの暗号化
ファイルサービス
Cross-Cluster Capacity Sharing ※1
※1

※1

※1
VMware Aria Operations Advanced
VMware vSphere Enterprise Plus
VMware vCenter Server Standard
※1Cross Cluster Capacity Sharing for HCI and compute-only clusters
※2Two-node clusters only. Stretched clusters with 3 or more hosts require vSAN ENT or ENT+ licensing.

vSAN Maxの相談はネットワールドまで!

vSANクラスタをストレージ専門の外部ストレージとして活用する「vSAN Max」についてご紹介しました。エンタープライズの環境では、パフォーマンス、スケーラビリティ、柔軟性が常に要求されます。これらの要望に対応できるvSAN Maxが登場したことで、クラウド時代における様々なワークロードのストレージ要求を迅速に満たすことが可能になりました。

ネットワールドではvSANソリューションをスムーズに導入・活用いただくために、お客様に合わせてヒアリングから各コンポーネントの導入、操作手順書の作成、トレーニングの実施、導入後のオフサイトサポートまでトータルに対応する「導入支援サービス」を提供しています。基本的なサービスに加えて、お客様に要望に応じた個別のサービスカスタマイズも可能です。

VMware vSAN MaxやvSANソリューションをご検討の際は、ぜひネットワールドまでお問合せください。

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