「VMware Cloud」の効果を最大化する、4つのユースケースとは?
オンプレミスのVMware vSphere環境を「VMware Cloud」に移行することで、オンプレミスだけでは難しかったことも容易に実施できるようになります。ここでは、VMware Cloudを利用する典型的なユースケースとして、「データセンターの拡張」「クラウドへの移行」「災害対策」「次世代アプリケーション」の4つを紹介します。
オンプレミスとパブリッククラウドを「いいとこ取り」するには
企業がクラウドを活用する際の形態として、ハイブリッドクラウドを採用するケースが増えています。ハイブリッドクラウドのメリットは、クラウドとオンプレミスのいいとこ取りができることです。
オンプレミスに適したワークロードとしては、遅延が少ないリアルタイム性が求められるシステムや、個人情報や機密情報など厳密なポリシー管理が求められるシステム、大量のリソースが必要でクラウド化によってコストが増大するシステムなどがあります。
一方、クラウドに適したワークロードとしては、高い拡張性や柔軟性が求められるシステム、ピーク時と通常時で利用に大きな差があるシステム、オンプレミスで維持するには高額でクラウド化によってコストが最適化できるシステムなどがあります。
ハイブリッドクラウドは、こうしたオンプレミスとクラウドのメリットを柔軟に組み合わせ、戦略的なIT投資を実現することを支援します。ハイブリッドクラウドは、ITシステムをすべてクラウドに移行するフルクラウド化の過程の一段階と見なされることが多くありまが、最近では、戦略的にハイブリッドクラウドを構成し、継続的に運用していこうとしている企業も増えています。
ハイブリッドクラウドのメリットを最大化できるVMware Cloud
ハイブリッドクラウドを活用したいと考える企業から注目を集めているのがVMware Cloudです。VMware Cloudは、パブリッククラウド上にVMware vSphere環境を構築し、オンプレミスのVMware vSphere環境と連携させることで、オンプレミスとクラウドのメリットをいいとこ取りできるソリューションです。
パブリッククラウドを構成する場合、オンプレミスのVMware環境と、パブリッククラウドに特有の仮想環境とを連携させる必要があります。例えば、Amazon Web Services(AWS)の場合、クラウド環境はAWS独自の仮想化ハイパーバイザーと仮想マシンで構成されるため、オンプレミスのVMware仮想マシンを変換したり、データをオブジェクトストレージなどに移行したりする作業が発生します。これに対し、VMware Cloudでは、オンプレミスとクラウドが共通のアーキテクチャーのもとで統一的に管理でき、変換やデータ移行の手間も最小化することができます。
VMware Cloudが効果を発揮する4つのケース
では、VMware Cloudはどのようなケースで効果を発揮しやすいのでしょうか。ここでは、「データセンターの拡張」「クラウドへの移行」「災害対策」「次世代アプリケーション」の典型的な4つのユースケースを紹介します。
[ユースケース1] データセンターの拡張
1つ目は、自社のデータセンターを拡張するということです。ビジネス環境の変化が激しくなったことで、突発的に需要が急増したり、突然なくなったりするケースが増えています。また、扱うデータ量が爆発的に増えたことでストレージ容量も不足しがちです。
VMware Cloudは、クラウドのデータセンターリソースを活用して、そうした事態に備えることができます。ユーザーに割り当てているストレージ容量が不足した場合、クラウド上にストレージを拡張します。ストレージ追加購入や容量再設計の手間もありません。また、社内業務システムの利用が増え、システムリソースが逼迫した場合も、クラウド上のリソースを活用して不足を補うことができます。
[ユースケース2]システムのクラウドへの移行
2つ目は、特定のアプリケーションやデータセンターそのものの移行です。なかでも、塩漬けシステムやEOS/EOLを迎えるシステムは、VMware Cloudへの移行が有効になります。レガシー化したシステムをオンプレミスで稼働させる場合、周辺システムも含めて、運用コストが大きくなりがちです。また、クラウド移行のために、システム構成を変更したり、アプリケーションを改修したりすることは、投資対効果の観点から困難です。
VMware Cloudは、こうしたシステムをスムーズにクラウドに移行し、これまでと同様の運用管理体制とポリシーで稼働できるようにします。周辺機器のメンテナンスが不要になったり、設置スペースの削減ができたりする場合もあります。
[ユースケース3]災害対策
3つ目は、クラウドを活用したBCP(事業継続計画)やDR(災害復旧)です。BCP/DR対策では、同じデータを異なる環境で多重化したり、システム構成を二重化したりする必要があり、多くの構築・運用コストがかかります。
これに対してVMware Cloudは、既存の仮想マシンをクラウドに移行したり、クラウドに移行した仮想マシンをクラウド環境で稼働させたりすることが簡単にできます。また、データもシームレスにオンプレミスとクラウド間で移行でき、コストを低く抑えることが可能です。
[ユースケース4]次世代アプリケーション
4つ目は、次世代アプリケーションの活用です。パブリッククラウドには、機械学習やAI、IoT、データ分析、サーバーレスといった先進的なネイティブサービスが用意されています。
VMware Cloudによってクラウドにワークロードを移行したあと、ネイティブサービスと連携し、クラウドネイティブなアプリケーションを開発しやすくなります。