VMware Aria Automationとは?〜マルチクラウド基盤の運用自動化とセルフサービス化〜

現代のビジネスにおいて、ITオペレーションの自動化と管理は、企業の効率性と生産性を高めるために欠かせない要素となっています。本記事では、マルチクラウド環境の複雑性を解消する「VMware Aria™」ファミリーであり、オンプレミスからパブリッククラウドまでのITリソース管理の自動化を可能にする「VMware Aria Automation™」をご紹介します。

目次

VMware Aria Automationとは?

VMware Aria Automationは、「VMware Cloud™」や「VMware vSphere®」といった仮想環境や、AWS・Azure・GCPといったパブリッククラウドのITオペレーションを効率的に自動化し、管理するためのソリューションです。

VMware Aria Automationは自動化と高速化を通じてアプリケーションのイノベーションを促進し、ビジネスのスピードとアジリティを向上させます。また、最新の開発者向けプラットフォームを提供することで、新たなビジネスチャンスの創出を支援します。

ITリソースのスムーズな運用と最適な活用によって、企業がデジタル時代の競争力を拡大、及び維持していくことが可能になります。

VMware Aria AutomationによるITオペレーションの自動化

セルフサービス
クラウド

マルチクラウド
の自動化

DevOps対応の
インフラ基盤

 Kubernetes
自動化

「VMware Aria Automation for Secure Clouds」との違い

VMwareのマルチクラウド管理ソリューションのブランドである「VMware Aria」は、「コスト最適化=VMware Aria Cost™ powered by CloudHealth®」「運用最適化=VMware Aria Operations™」「自動化=VMware Aria Automation」と目的に合わせた3つの柱から成り立っています。

「自動化=VMware Aria Automation」はアプリケーションとインフラストラクチャの自動化と構成管理、およびベストプクティスを活用したコスト・セキュリティ・パフォマンスのポリシー制御を実現する製品で構成されており、「VMware Aria Automation」や「VMware Aria Automation™ for Secure Clouds」といった製品が提供されています。

VMware Aria Automation for Secure Cloudsは、異なるクラウド環境の管理とセキュリティを一元化し、データ収集と分析を自動化することで、クラウドの設定ミスによるリスクや脆弱性の最小化に対応するセキュリティ製品で、本記事で紹介する「VMware Aria Automation」とは別製品として提供されます。

VMware Aria Automation for Secure Cloudsについては、以下のオンデマンドセミナーで詳しく紹介しています。

機能概要と3つのユースケース

VMware Aria Automationは様々なクラウドに対応するテンプレートを用いて、標準化したタスクやプロセスを自動化し、複数のクラウドやデータセンターに対して一貫性のあるプロビジョニングが可能です。セルフサービス機能を通じて生産性とアジリティを向上させ、DevOps対応の自動化プラットフォームを提供することで、業務変革を後押しします。

VMware Aria Automationによる自動化概要

ユースケース① クラウド基盤の自動化とセルフサービス化

VMware Aria Automationの代表的な活用例として、クラウド基盤の自動化とセルフサービス化が挙げられます。仮想化によって抽象化されたリソースをVMware Aria Automationでカタログ化することで、従来マニュアルで行っていた仮想マシンの払い出しを自動化することができ、オンプレミスのデータセンターをパブリッククラウドのような効率的な運用が可能となります。

課題
長い仮想マシンの
払い出しリードタイム

利用者からの申請に基づき都度マニュアルで仮想マシンの構築や払い出しを行っていたが、リードタイムが長くパブリッククラウドの利用など、シャドウITが横行

解決策
セルフサービス化で
リードタイムを削減

セルフサービスポータルの導入により、利用者が必要なサービスを必要な時に展開するパブリッククラウドライクな運用を、自社仮想データセンターで実現し生産性を向上

ユースケース② ガバナンスとセキュリティの向上

VMware Aria Automationの2つ目のユースケースは、ガバナンスとセキュリティの向上です。承認フローや仮想マシンのライフサイクル管理、さらにはネットワークとセキュリティを含む各種プロセスの自動化を実現し、企業のITガバナンスとセキュリティを大幅に強化します。

課題:
自由度はそののままに
ガバナンス向上

仮想マシン展開前の管理者承認や利用終了後のリソース解放が行われず基盤リソースの逼迫や構築担当者スキルのばらつきによるセキュリティに関する懸念

解決策:
承認フローと
リースタイムの導入

サービス展開時に承認フローとリースタイム(30日)を組み込み、ガバナンス向上とリソース自動回収の仕組みを導入。また、NWを含む自動化を行いセキュリティを向上

ユースケース③ パブリッククラウドを含むマルチな環境やKubernetes環境の自動化

VMware Aria Automationの3つ目のユースケースは、パブリッククラウドを含むマルチな環境やKubernetes環境の自動化です。オンプレミスのvSphere環境だけでなく、VMware Cloud、パブリッククラウド、そしてKubernetes環境の自動化も推進することが可能になり、様々なクラウド環境を効率的に管理し、運用することができます。

課題:
利用者ニーズの拡大により
基盤の多様化

オンプレミスでの仮想マシン払い出しのための仮想基盤利用に加えてパブリッククラウドやk8sの活用によるより柔軟なサービス提供が求められはじめた

解決策:
マルチクラウド・
Kubernetes環境サポート

VMware Aria AutomationのエンドポイントとしてVMware Cloudやパブリッククラウドを活用し、新しい抽象化レイヤーとしてKubernetes環境の払い出しをセルフサービス化

VMware Aria Automationを構成するコンポーネント

VMware Aria Automationは様々なコンポーネントで構成されており、目的に合わせて各種機能を組み合わせることでITオペレーションの自動化を実現しています。ここでは、その主要なコンポーネントをご紹介します。

VMware Aria Automation Assembler™ (旧:Cloud Assembly)

DevOpsの手法を活用することで設計やデプロイメントの宣言的な定義を可能にし、インフラとアプリケーションのデリバリを自動化し、迅速化することが可能です。VMware Aria Automation OrchestratorのワークフローやABXアクションを通じて、システムの拡張性を追加することもできます。

VMware Aria Automation Service Broker™ (旧:Service Broker)

複数のクラウドやプラットフォームからのネイティブコンテンツを、タグベースの単一のカタログに集約し、マルチクラウド環境全体で一貫性のあるサービスカタログを提供します。各種テンプレートやOVAイメージ、ワークフローやアクションなどのコンテンツを一元的に管理することが可能になり、ポリシーベースのセルフサービスを有効にすることで、マルチクラウド環境の管理を効率化します。

VMware Aria Automation Pipelines™ (旧:Code Stream)

リリースパイプラインと分析機能を活用することで、ソフトウェアとインフラストラクチャのデリバリを高速化し、視覚的なライブトラッキングを通じてトラブルシューティングを効率化します。サービス品質保証(SLA)やサービスレベル目標(SLO)を監視するためのダッシュボードが即座に利用可能で、既存ツールとの容易な統合も実現します。

VMware Aria Automation Orchestrator™ (旧:vRealize Orchestrator)

ドラッグ&ドロップ式のワークフローソフトウェアを通じてワークフローを自動化し、複雑なITタスクの効率化と簡素化を実現します。サードパーティのツールやインフラストラクチャ、アプリケーションに対してVMware Aria Automationをカスタマイズし、拡張することが可能です。ワークフロー開発の容易さとスピードを向上させることで、企業のITオペレーションの自動化を支援します。

VMware Aria Automation Config™ (旧:SaltStack Config)

ハイブリッドとパブリッククラウド環境におけるソフトウェア構成管理を提供する、主要な設定管理ベンダーおよびオープンソースプロジェクトです。活発なオープンソースコミュニティによって推進されており、即時利用可能なソフトウェア設定管理を提供し、VMware CloudやSDDCなど様々なアプリケーションに対応した広範なコンテンツを備えています。

VMware Aria Automation Config™ for Secure Hosts™ (旧:VMware Cloud Templates)

IT 運用のためのセキュリティコンプライアンスと脆弱性修正の自動化を提供します。VMware Cloudインフラストラクチャのテンプレーティングエンジンで、Infrastructure as Code(IaC)とGUIベースのYAMLテンプレート開発およびプロビジョニングをサポートします。

VMware Aria Automationの構成要素

自動化ソリューションの検討ポイント

自動化ツールの導入・活用を検討するときは、ツールの導入目的を明確にすることが重要です。VMware Aria Automationは自社のニーズに合わせたカスタマイズを前提としたツールとして設計されており、製品の能力を最大限に活用するには、現行のIT環境の深い理解と、自動化を目指す業務フローや運用の詳細な把握が欠かせません。

例えば、以下のようなステップで状況を整理することで、自動化によるメリットや恩恵を十分に享受することができるようになります。

STEP
ITオペレーションの現状や課題の整理環境の理解
  • 既存の仮想環境やクラウドに関する業務フローの棚卸しと把握
  • VMware Aria Automationによって実現したい自動化の定義
STEP
定常作業や運用を自動化
  • まずは定常的に発生するデプロイやバックアップ等の手作業を自動化から着手
  • アップデートの適用やコンプライアンスチェックを自動化して、安全性を確保
STEP
パフォーマンスの分析と最適化
  • VMware Aria Automationの収集データを分析して評価を行い、自動化の効果やパフォーマンスを確認
  • さらに高度な自動化フローを構築し、ITオペレーション全体を最適化

VMware Aria Automationのエディション表

VMware Aria Automationは状態管理と自動化を行う「Standard」、一元化されたポリシーによる制御が可能な「Advanced」、 Kubernetes やパブリッククラウドに対応する「Enterprise」、SaaS として利用できる「クラウド」の4種類が用意されており、 OSI単位のライセンスで提供されます。

VMware Aria AutomationStandardAdvancedEnterpriseクラウド
VMware Aria Automation Config
VMware Aria Automation Orchestrator
およびアクションベースの拡張性
Service Broker および Cloud Assembly
VMware Aria Automation Templates
ネイティブ パブリッククラウドのエンドポイント
DevOps、Code Stream、Kubernetes
(Tanzu の統合を含む)
サードパーティの構成ツールとの連携
VMware Ariaプラットフォーム上で
「VMware Aria Guardrails」の利用

VMware Aria Automationの自動化相談はネットワールドまで!

本記事では、VMwareが提供する自動化ソリューション「VMware Aria Automation」をご紹介しました。様々なクラウドリソースに対して効率化と自動化を実現する「VMware Aria Automation」はアプリケーションのイノベーションを促進し、ビジネスのスピードとアジリティを向上させ、マルチクラウドを活用した新たなビジネスチャンスの創出を支援します。

ネットワールドでは「VMware Aria」にリブランディングされる前身である「旧vRealize Automation」時代から、VMwareソリューションを活用した自動化の導入をサポートする「導入支援サービス」を提供してきました。新たにリリースされた「VMware Aria Automation」に関しても、これまでのノウハウや対応実績を活かし、スムーズな導入およびソリューション活用をサポートいたします。

「VMware Aria Automation」をご検討の際は、ぜひネットワールドまでご相談ください。

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