以前は「VMware Aria Operations」の名称で提供されていた「VMware Cloud Foundation Operations」は、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウド、マルチクラウド環境を一元管理できるAIを活用した自己駆動型のIT運用管理プラットフォームです。パフォーマンスの観点からアプリケーションおよびインフラストラクチャに対してフルスタックの可視性、トラブルシュート、自動修復、インサイトを提供します。
本記事では、「VMware Cloud Foundation Operations」の構成要素ついてご紹介します。
パフォーマンスと運用管理の最適化する「VCF Operations」
VMware Cloud Foundation Operations(以下 VCF Operations)は、仮想マシンやコンテナ、クラウドの各インフラストラクチャといった広範囲を網羅する可視性を提供し、異常やボトルネック箇所を発見し、最適化する管理ツールです。(旧称:VMware Aria Operations、VMware vRealize Operations)
現在の問題や将来の課題、最適化の余地を明らかにすることができ、リソースの過剰な割り当てや無駄なコストを削減し、安定したマルチクラウド運用や将来的なリスク対策にも対応できます。
仮想環境全体を包括的に監視することで、適切なリソース割当によるコスト削減や、インフラやアプリケーションの安定運用、将来的なリスク対策を実現し、仮想化基盤をより高度に活用していくことが可能です。
インフラからアプリケーションまで、フルスタックな運用管理を提供
継続的なパフォーマンスの最適化
自動的なワークロードの再配置によって
目的に合わせたパフォーマンスの確保
効果的なキャパシティとコスト管理
仮想環境特有のリソース競合を可視化して
キャパシティ計画とリソース調達を支援
App-Aware でスマートな問題修復
アプリケーションやインフラの問題を検知し、
予防やトラブルシュートのための機能を提供
統合された構成管理とコンプライアンス
統合されたコンプライアンスによって
リスクの低減するための標準規定を提供
VCF Operationsの代表的なユースケース①:キャパシティ最適化
VCF Operationsを利用することでリソースのキャパシティ容量を正確に把握することが可能になり、突発的なリソース枯渇や過剰投資といったリスクを低減できます。
現在のリソース利用傾向と実利用データに基づく将来の需要予測を組み合わせることで、データセンターのキャパシティを最適化し、根拠のある基盤拡張プランを策定します。リソース割り当て不足によるアプリケーションへの性能低下を回避するだけでなく、クラスタ単位でリソースが枯渇する可能性のある時期を予測できるようになるため、データセンターの運営とリソース調達が効率化されます。
また、VCF Operationsは未使用の仮想マシンや、過剰に割り当てられたリソースを特定することができます。仮想マシンのサイズ変更はVCF Operationsの管理インターフェースから実施することが可能で、データセンターのコストを効率的に削減できます。
Before
リソース枯渇の防止と計画的な基盤投資
キャパシティ容量が可視化されていない
突発的な基盤リソース枯渇や過剰投資状態が発生
After
キャパシティの見える化と将来需要予測
一元的なキャパシティの可視化と最適化
将来需要予測でインフラ基盤への投資を健全化
VCF Operationsの代表的なユースケース②:マルチクラウド運用の最適化
VCF Operationsはデータセンターおよびクラウドインフラストラクチャの評価を行い、リソースの最適な配置やコンプライアンス強化を実現する分析機能を提供します。これにより、ワークロードの目的・状況に応じて複数のクラウド環境を使い分ける「マルチクラウド」の安全かつ効率的な運用を支援します。
リソース配置の観点では、ワークロードの増加やリソース拡張が、データセンターにどのような影響を与えるかを具体的にシミュレーションする「What-if分析」を実行できます。さまざまなシナリオを事前に評価できるため、オンプレミスからVMware Cloudやパブリッククラウドへの移行計画を立てる際にも、キャパシティとコストを考慮した最適な仮想マシンの配置計画を策定できます。
コンプライアンスの観点では、オンプレミスのVMware vSphere環境だけでなく、vSphereベースの仮想環境(例: VMware Cloud on AWS, Azure VMware Solution, Google Cloud VMware Engineなど)を中心に、ホストや仮想マシン、ネットワークなどの設定状況を可視化する「コンプライアンス」機能が利用できます。推奨設定と現行の設定を比較することで、設定不備や変更漏れを早期に検出できるため、マルチクラウド環境全体を安全に運用することが可能です。
大規模なデータログを収集・分析する「VCF Operations Log Management」
VCF Operations Log Managementは、さまざまな機器やコンポーネントから生成される多様な構造化および非構造化のシステムログをリアルタイムで解析するログ管理機能です。これにより、視覚的な情報提供が可能となり、トラブルシューティングやリソースの最適化が精度高く行えます(旧称:VMware Aria Operations for Logs、VMware vRealize Log Insight)。
vSphereやクラウド環境からのログを一元的に集約し、高度な分析機能を活用して根本原因の特定や効率的なトラブルシューティングが行えるようになります。また、リアルタイムでのアラート通知やログ転送を通じ、ログ管理の効率を向上させます。IT環境全体にわたるオペレーティングシステム、アプリケーション、ストレージ、ファイアウォール、ネットワークデバイスなどからの広範なログ収集と分析を可能にし、インフラとアプリケーションの可視化とプロアクティブな管理を支援します。
マルチクラウド環境のログ管理を効率化
VCF Operationsではシンプルな対話式の検索と高速なクエリ実行を利用して、状況を迅速に確認することが可能です。革新的なインデックス機能と機械学習ベースのインテリジェントなグループ化を利用して、高性能な検索を行い、異常を素早く特定できます。また、大規模な分析のために構造化されていないログデータを収集し、高性能なインデックスを作成することが可能です。
様々なログの一元管理することができるため、マルチクラウド環境でもクラウドを跨いで効率的なログ管理を行うことができます。システムに異常が発生した場合にはリアルタイムでアラート通知を受け取ることが可能であり、これによりトラブルシューティングを迅速に行い、問題を速やかに解決できます。
ネットワーク構成を最適化する「VCF Network Operations」
「VCF Operations」の名称を持つ別の製品として、VMware Cloud Foundation Network Operations(以下 VCF Network Operations)があります。(旧称:VMware Aria Operations for Networks、VMware vRealize Network Insight)
VCF Network Operationsは、複数のクラウド間のネットワーク接続性やアプリケーションセキュリティを分析し、セキュリティの推奨設定を自動的に収集し、ネットワークの可視性を提供する分析ツールです。VMware NSX環境では、トラフィックの分析に基づいて推奨されるマイクロセグメンテーションのポリシーを簡単に作成することができます
機械学習を利用して仮想マシンやアプリケーションを検出し、可視化することで有用なインサイトを提供します。これによりアプリケーションの遅延を最小化し、パフォーマンスと信頼性を向上させることが可能です。また、トラフィックとアプリケーションの分析を行い、ネットワークのボトルネックを解消してアプリケーションパフォーマンスを最適化することが可能です。
VMware NSXのネットワークを分析し、推奨ポリシーを提案
VCF Network Operationsを利用してVMware NSXのネットワークを分析することで、アラートやファイアウォールルール、未保護のフロー、そして関連する設定やプロパティの情報を簡単に確認できます。この分析を通じて、分散ファイアウォールの推奨ポリシーを把握でき、内部ネットワークの脅威拡散を防ぐ「マイクロセグメンテーション」を効果的に実装することが可能です。
さらに、オンプレミスからパブリッククラウド、ハイブリッドクラウド環境までのエンドツーエンドのパスが可視化され、ネットワークマップを用いて物理的および仮想的なネットワークトポロジーを把握することができ、ネットワークに関するトラブルシューティングを効率的に行うことができます。
VCF Operations・VCF Network Operationsの利用方法
「VCF Operations」及び「VCF Network Operations」の利用権利は、「VMware Cloud Foundation」のサブスクリプションに含まれています。
「VMware vSphere Foundation」のサブスクリプションには、以下の機能が利用できない「VCF Operations」が含まれています。「VCF Network Operations」は利用できません。
- VMware Cloud Foundation Automation との統合
- パッケージアプリケーション向けの自動発見、監視、およびトラブルシューティング機能
- サードパーティのアプリケーションやパブリッククラウド管理パックによる拡張機能
ライセンスについての詳細はVCF Operationsのデータシートと、以下の記事をご確認ください。
VMware Aria Operations for Applications:アプリケーションのモニタリング
VMware Aria Operations for Applications(旧称:VMware Tanzu Observability)は、マルチクラウド環境でのKubernetesやアプリケーションをリアルタイムに可視化し、データセット間の関連性からボトルネックとなっているリソースを特定するモニタリングツールです。ログ、メトリック、トレースの情報をコンテキスト付きで取得できるため、ビジネスの俊敏性を高めながらSLAを維持できます。
アプリケーションに関するメトリックやログの情報を一元化して提供し、データをコンテキスト付きで取得できるため、問題の原因や修正方法を迅速に特定することが可能です。また、1秒あたり数百万ポイントの処理能力を持つことで、大規模なデータ分析と管理を実現し、優れたスケーラビリティを提供します。
アプリケーションやパブリッククラウドに対する可視性を提供
VMware Aria Operations for Applicationsは、組織全体にわたる包括的なオブザーバビリティを提供します。
Kubernetes環境のノード、ポッド、コンテナといった各要素やクラウドアプリケーションに関する詳細な情報を提供し、パフォーマンスと信頼性を向上させることが可能です。また、パッケージ化されたダッシュボード機能を利用することで、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloudといった主要なパブリッククラウドプラットフォームに対する可視性を即座に提供できます。
「VMware Aria Operations」との違いについて、VMware Aria OperationsはオンプレミスやVMware Cloudを中心としたマルチクラウド環境の効率化に最適なツールである一方、VMware Aria Operations for ApplicationsはパブリッククラウドやKubernetesを中心としたマルチクラウド環境の効率化に特化しています。それぞれのツールを活用することで、インフラからアプリケーションまで、企業のマルチクラウド戦略をあらゆる角度から最適化できます。
VMware Aria Operations for Applicationsのライセンス体系
VMware Aria Operations for Applicationsは、ニーズに応じてスケールアップやスケールダウンが可能なシンプルで柔軟性のある従量課金モデルを採用しています。監視対象となるクラウドリソースの数量に基づき、サービスの利用料金とサポート費用が計算されます。詳細は、ネットワールドまでお問い合わせください。
マルチクラウド管理のご相談はネットワールドまで!
マルチクラウド環境を一元管理できるAIを活用した自己駆動型のIT運用管理プラットフォーム「VCF Operations」についてご紹介しました。
インフラ運用やログ分析を効率化する「VCF Operations」、ネットワークを可視化する「VCF Network Operations」、アプリケーション監視に特化した「VMware Aria Operations for Applications」など、マルチクラウド最適化のためのさまざまなラインナップが提供されており、目的に応じて最適なソリューションを選定することが可能です。
VCF Operationsを活用したマルチクラウドの最適化をご検討の際は、豊富なノウハウを持つネットワールドまでお気軽にお問合せください!