VMware Cloudの導入費用を検証~クラウド時代に必要なコストの考え方~

VMware Cloudの導入費用を検証~クラウド時代に必要なコストの考え方~

今回は「VMware Cloud」のコストについて考えてみましょう。数字だけを見ると高いように感じますが、含まれている費用項目を考え合わせると、HCI基盤と比べても遜色がなく、工夫次第でコスト下げることも可能になります。また、移行後に、クラウドプロバイダーが提供するネイティブサービスと連携できるため、バックアップや災害対策、IoT、AI、データ分析、コンテナ対応などの取り組みを加速できるというメリットがあります。

目次

VMware Cloudの導入費用は高い?

ヴイエムウェアがパブリッククラウドプロバイダーと共同開発したVMware Cloudには、Amazon Web Services(AWS)が提供する「VMware Cloud on AWS」や、マイクロソフトが提供する「Azure VMware Solution」などがあります。それぞれのパブリッククラウド上にベアメタルサーバーを使用した専用システムとして構築され、複数ノードの構成が必要になるなど、一定の規模が必要になります。

例えばVMware Cloud on AWSの場合は、最小2ノード(i3.metalインスタンス、シングルAZ)から、Azure VMware Solutionの場合は最小3ノード(AV36インスタンス)から利用可能です。利用するインスタンスが増えればその分コストは増加し、利用には1年または3年の予約も必要になります。いずれの場合も、本番利用を見越した標準的な構成で導入コストを試算すると約2,000万円になります。

3ホスト時のコスト比較
(2021年2月1日時点の日本リージョンでの価格での比較)

一見すると、オンプレミスの既存環境と比べて割高に感じますが、この価格には、VMwareプライベートクラウド環境の展開、管理に必要なVMwareライセンスが含まれています。しかも、ハードウェアやOSなど基盤の運用管理はクラウドプロバイダーが担うことは、IT管理者にとっては大きなメリットでしょう。

例えば、オンプレミス環境でHCIを構成した場合とAVSを利用した場合とを比較すると、ファシリティ、ソフトウェア、運用管理の大部分をクラウドプロバイダーに任せることが可能です。3年間のトータルコストで比較すると、HCI基盤と遜色ない、あるいは、工夫次第でコストを大幅に下げることも可能になります。

Azure VMware Solutionと一般的なHCI製品の違い

VMware Cloud on AWS の連携サービス

また、VMware Cloudでは、クラウド移行後にパブリッククラウドプロバイダーが提供するネイティブサービスと連携できることも大きなメリットです。

VMware Cloud on AWSでは、AWSサービスへのプライベートアクセスを使って、AWSが提供しているAmazon EC2や、Amazon S3、Amazon RDSといった基本サービスが利用できます。また、データ分析のためのAmazon RedshiftやセキュリティサービスのAWS WAF、サーバレスのAWS Lambda、コンテナサービスのAmazon EKSなどの利用も可能です。

さらに、AWSを活用した災害対策ソリューション(DRaaS)である「VMware Live Cyber Recovery」(旧称:VMware Cloud Disaster Recovery(VCDR))も利用できます。VMware Live Cyber Recoveryは、クラウドストレージにシステムやデータをレプリケーションし、障害時にフェイルオーバーできるサービスです。

コストも従量課金によって最適化することができます。一般にDR対策では、機器やシステムを二重化に保有して運用することになるため、多大なコストが必要です。また、運用も複雑で、復旧に時間がかかることも少なくありません。本当に正しくリカバリできるのか信頼性の問題もあります。

VMware Live Cyber Recoveryを活用すると、機器の保守やシステムの運用管理をプロバイダーに任せたり、運用を工夫することで、導入運用コストを最適化し、信頼性の高いDRを実現することができます。例えば、VMC on AWSの場合は、リカバリサイトとしてVMC on AWSのSDDCにフェイルオーバーすることができます。

VMware Live Cyber Recoveryの概念図

Azure VMware Solutionの連携サービス

Azure VMware Solutionでも、Azureが提供する、Blob StorageやFile Sync、Azure SQL Databaseをはじめとする、さまざまなネイティブサービスを利用することができます。また、「拡張セキュリティ更新プログラムの無償提供」や既存のWindows ServerやSQL Serverライセンスを活用できる「Azureハイブリッド特典」なども用意されています。

Azure VMware Solutionの特典
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