一歩進んだVMware Horizon + NVIDIA vGPUの活用法

一歩進んだVMware Horizon + NVIDIA vGPUの活用法

NVIDIA vGPUはOS(Windows 10)のほか、ブラウザやOfficeなどの業務アプリケーションのパフォーマンスを改善します。加えてGPU本来の卓越したグラフィックス性能を活かし、なおかつVMware Horizonが持つ機能との相乗効果を発揮させることで、リモートワークを快適にします。また、エンジニアリングワークステーションのパワーを組織全体に行きわたらせて、様々な業務の生産性向上も実現します。

目次

グラフィックス処理を大幅に高速化

VMware Horizon導入することで、オフィス内はもとより支社や営業所など離れた拠点に勤務しているユーザー、あるいは在宅でリモートワークを行っているユーザーにVDI(仮想デスクトップ)を提供することができます。

しかし通常のVDI環境では、ユーザーに対して快適なエクスペリエンス(体感性能)を提供できない場合があります。本コラムの第2回でも述べましたが、特にVDIのゲストOSにWindows 10を採用している場合、その傾向が多く見られます。

ユーザーエクスペリアンスは、コンピューターの演算性能のみならずグラフィックスの処理能力にも大きく依存するのがその原因です。Window 10はWindows 7よりもグラフィックス系の処理が増加しています。これはアプリケーションについても同様で、標準で高度なグラフィックスを活用するようになりました。そのぶん、CPUにかかる処理負荷が重くなりユーザーエクスペリエンスが低下してしまうのです。

この課題を仮想GPUソリューション「NVIDIA vGPU」が解決します。各ユーザーの仮想マシンに割り当てられたGPUが、レンダリングやエンコード/デコードといったグラフィックス処理を実行することで高速な画面表示を実現し、ユーザーエクスペリエンスを向上することができます。

NVIDIA vGPUで向上するユーザーエクスペリエンス

GPUの基本的な仕組み

GPUを利用すれば、なぜグラフィックス処理を高速化することができるのでしょうか。その理由は、GPUのチップには数千ものコンピューティングコアが含まれており、大量のタスクを並列実行できることにあります。

前述したレンダリングやエンコード/デコードといったグラフィックス処理は、まさにこの能力が要求される大規模な並列タスクです。各ユーザーの仮想マシンに割り当てられたCPUはせいぜい数コア程度ですので、大量のタスクを抱えると順次処理しなければならないため、どうしても待ち時間が発生します。レンダリングやエンコード/デコードのような並列タスクをCPUに任せることはもともと酷な話なのです。

その点GPUであれば、大量のタスクも数千ものコアに割り振って同時並行で処理できるため、長時間待たされることはありません。結果としてインタラクティブにアプリケーションの実行速度を向上することができ、OSもアプリケーションも本来のパフォーマンスを発揮できるようになります。

大量のタスクを並列実行できるGPU

大量のタスクを並列実行できるGPU
引用元:https://blogs.nvidia.co.jp/2018/10/03/what-is-a-virtual-gpu/

Web会議を快適にする方法

上記のようなメリットを持つGPUを仮想化してVDI環境の仮想マシンに割り当てることで、例えばZoomやMicrosoft TeamsなどWeb会議のユーザーエクスペリエンス向上も期待できます。

VDIではCPUの使用効率を高めるためにオーバーコミットが設定されているのが一般的で、同じホストサーバーに同居する複数のユーザーがWeb会議を同時利用するとCPUリソースが枯渇する場合があります。特にコロナ禍でリモートワークが拡大するに伴いWeb会議の利用が急増しており、CPUリソース不足からVDIの動作が不安定になるケースが多く見られます。

この問題に対して、VMware HorizonにNVIDIA vGPUを組み合わせることで、Webカメラのリアルタイム映像、スクリーンシェアの処理をGPUにオフロードすることが可能となります。これによりホストサーバーの台数を増やすことなくCPU使用率を下げ、Web会議およびVDI全体の動作を安定化させることができます。

特にVMware Horizonは、Blast ExtremeやPCoIPといった画面転送プロトコルをマルチでサポートしており、NVIDIA vGPUとの連携によってBlast ExtremeのH.264のエンコード処理をオフロードすることができ、Web会議ではよりスムーズな映像表示を実現します。

Microsoft Teams、ZoomでWebカメラ利用時のCPU利用率比較

(NVIDIA調査:インテルXeon Gold 61454 CPU @ 3.0 GHz、NVIDIA vPCソフトウェア、VMware ESXi6.7 Update3、VMware Horizon 7、ホスト/ゲストドライバー442.06、VM 構成、Win10 (1909)、2vCPU、4GBメモリ、T4-1B、VMware Blast Protocolを使用してテスト。テストワークフローは、3台のWebカメラを段階的にオンにし、合計3台のWebカメラのフィード(1人/出席者)で終了し、テストを終了する前に、MS TeamsやZoomでWebカメラをオフにして調査)

Microsoft Teams、Zoomでスクリーンシェア時のCPU利用率比較

(NVIDIA調査:インテルXeon Gold 61454 CPU @ 3.0GHz、NV IDIA vPCソフトウェア、VMware ESXi6.7 Update3、VMware Horizon 7、ホスト/ゲストドライバー442.06、VM構成、Win10 (1909)、2vCPU、4GBメモリ、T4-1B、VMware Blast Protocolを使用してテスト。テストワークフローには、pptxプレゼンテーションを含むスクリーンシェアの表示とスライドのスクロールが実施)

エンジニアリングワークステーションのVDI化

さらにVMware HorizonとNVIDIA vGPUの組み合わせによって実現するのが、エンジニアリングワークステーションのVDI化です。3D CADやCG・アニメーションなど、グラフィックスを多用するアプリケーションを利用するうえで必須となるのがエンジニアリングワークステーションですが、非常に高価であることから、その導入は重い負担となっていました。

これに対してVMware Horizon+NVIDIA vGPUによるVDIであれば、エンジニアリングワークステーションのパワーをエンジニアのみならず、映像編集やCG/アニメーション制作を行っているクリエイティブ部門、AI活用を進めるマーケティング部門など、より容易に組織全体に行きわたらせることが可能となります。

また、国土交通省が主導する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」という政策のもと、建設業界で導入が進むBIM(Building Information Modeling)やCIM(Construction Information Modeling)といった3Dモデリングにも、VMware Horizon+NVIDIA vGPUによるVDIは対応することができます。

ノートPCやタブレットなど多様な端末を利用できるVDIならでは、自宅や会議室はもとより、工場や建設現場などの過酷な環境にエンジニアリングワークステーションのパワーを持ち込めることもVMware Horizon+NVIDIA vGPUのメリットです。

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