NSXの導入支援事例〜マルチテナント環境の構築〜
情報通信系企業様向けに、VMware NSXを活用し、部署ごとに仮想ネットワークを分離したマルチテナント型のサービス基盤構築を支援しました。各テナントにNSX Edgeを構成することで、物理ネットワーク機器を追加することなく、柔軟かつ安全なネットワーク分離を実現しました。
NSX導入前は、ネットワーク変更時に物理構成の見直しが必要で、運用負荷や設定ミスのリスクが高い状態でした。本案件では、仮想ルーターを用いた柔軟なネットワーク構成と、運用の一元管理体制を確立。ネットワールドは設計からドキュメント整備まで一貫して支援し、運用効率とセキュリティの両立を実現しました。

構成のポイントとネットワールドからの支援
1. 要件定義とテナントネットワーク方針の整理
マルチテナント型の環境におけるネットワーク要件として、「部署ごとの独立性確保」と「構成変更の柔軟性」が挙げられていました。ネットワールドでは、これらの要件に対して、仮想ルーターによる分離構成を基本設計として採用。
テナントごとのアドレス空間・ルーティング制御方針も明確化し、運用フェーズでの拡張性やセキュリティ対応を見据えた構成方針を策定しました。
2. NSX Edgeによる仮想ルーター構成の設計・構築
各テナントに対して、NSX Edgeによる仮想ルーターを構築。物理ネットワーク構成に依存せず、仮想基盤内でテナント間を論理的に分離するアプローチにより、柔軟性と拡張性を確保しました。
ネットワークインフラの仮想化により、物理機器追加なしで複数環境を効率よく展開でき、サービス提供までのリードタイムを短縮しました。
3. 一元管理を前提とした運用ポリシーの設計
本構成では、NSXの設定や構成変更はサービスプロバイダーであるお客様が一元管理する方針としました。これにより、運用負荷の軽減だけでなく、設定ミスによる事故リスクを最小化。構成テンプレートの標準化により、同一手順での展開や変更が可能となり、複数テナントにまたがる管理の一貫性と効率性を両立しています。
4. 仮想ネットワーク導入による構成変更の高速化
従来はネットワーク構成変更に物理的な機器調整や現地作業が伴い、反映に時間がかかる状況でした。NSX導入後は、ネットワーク仮想化によって設定が仮想基盤内で完結。設定反映にかかる工数と時間が大幅に削減され、変更ミスの発生率も低下。仮想ネットワーク特有の再利用性と、即時反映のメリットが顕在化しました。
5. ドキュメント整備による安定運用体制の確立
構築後の運用フェーズを見据え、仮想ルーター構成やNSX設定に関する設計書、構成変更手順書、管理者向けマニュアルを体系的に整備。管理者が自己完結で作業できるよう、実際の管理画面キャプチャを多用した手順書も用意し、引き継ぎ後も属人化せず安定的に運用できる体制を構築しました。
