2023年8月に開催された「VMware Explore 2023」の中で、VMware vSANの最新機能である「VMware vSAN Max」が発表されました。vSAN Maxは、VMware vSphere環境でペタバイト規模のデータを効率的に管理することができる、新たなストレージソリューションです。
本記事では、vSAN Maxの概要やメリット・ユースケース、購入方法について、ポイントを絞ってご紹介します。
vSAN Maxとは?
vSAN Maxは、ストレージに特化したクラスタを構成し、他のvSphereクラスタ向けにペタバイト規模の「高性能な外部ストレージ」を提供します。
vSAN Maxでは、NVMeベースのSSDのみで高性能なストレージプールを構成する「vSAN Express Storage Architecture(vSAN ESA)」を利用することで、低レイテンシーでの高いパフォーマンスを提供するストレージ目的専用の「vSAN Maxクラスタ」を構成します。
vSAN Maxクラスタ上では仮想マシンのホスティングは行わず、そのストレージリソースは他のvSphereクラスタに向けて提供されます。vSAN Maxクラスタあたり最大8.6ペタバイト、360万IOPSのスケーリングが可能になっており、高いI/O負荷のアプリケーションやデータベースでも安定したパフォーマンスを提供します。ストレージ集約型のワークロードなど、要求の厳しいミッションクリティカルなタスクに最適です。
vSAN Maxを活用することで、必要に応じてインフラストラクチャを簡単に拡張することができ、ビジネスの成長に合わせて変化するストレージ要求にも迅速に対応することが可能となります。
vSAN Maxが提供するメリット
vSAN Maxは柔軟で独立した拡張可能なストレージであり、動的リソースを必要とするアプリケーションや、サーバとストレージが比例して拡張しないアプリケーションの運用時に大きなメリットを提供します。
通常のvSANを始めとする「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)」では、サーバリソースとストレージリソースが一体化されており、一元的な管理やスケーラビリティといったメリットを提供します。その一方で、ストレージのみが不足した場合でもサーバと一緒に増設する必要があるため、ストレージニーズへの対応のために無駄なサーバリソースの調達が発生するといった課題があります。vSAN Maxであれば、管理性やスケーラビリティといったHCIのメリットを保持しつつ、ストレージのニーズに特化した拡張に対応することができます。
現代のビジネス環境は、多種多様かつ高性能なアプリケーションに大きく依存しています。各アプリケーションは独自の処理能力やストレージのニーズを持っており、データ中心の戦略や先進的なAIワークロードの導入も加速しています。vSAN Maxは、このようなストレージ特性を持つアプリケーションに対して、特に大きなメリットを提供します。
vSAN Maxでストレージの拡張性とコスト効率を改善
拡張性
段階的なスケールアップまたはスケールアウト
vSAN Maxクラスタあたり数ペタバイト
コスト削減
ミッションクリティカルなデータベースなど
TCOを最大30%削減
圧倒的な容量
vSAN Maxクラスタのホストあたり
最大360TBの大容量ストレージ
シンプルな運用
単一の管理インターフェース
中央集中型のシンプルな管理を実現
vCenterを使用したシンプルな管理
vSAN Maxは通常のvSANと同様に、vCenter Serverを通じて運用します。vSAN Maxクラスタの健全性やパフォーマンス、キャパシティなどの情報は、仮想マシンの状態とともに単一のインターフェースから確認できます。
また、vSAN Maxクラスタが接続されているクライアントクラスタのトポロジビューを示す視覚的なダッシュボードが提供されるため、システムの全体像を迅速に把握することが可能です。
vSAN Maxの代表的な3つのユースケース
データセンター全体の共有ストレージを統合・標準化するvSAN Maxは、CAPEX(設備投資)やOPEX(運用コスト)を削減するだけでなく、大量のデータ活用が伴うアプリケーションの運用を強力に支援します。
ここでは、vSAN Maxの代表的なユースケースを3つご紹介します。
①インフラとアプリのコストの最適化
vSAN Maxを使用すると、小規模なvSphereクラスタ環境でも、ミッションクリティカルなデータベースのデプロイが可能になります。これにより、サードパーティのライセンスコストを大幅に削減することができます。また、段階的な拡張に伴い、容量やセキュリティ、パフォーマンスを柔軟にカスタマイズすることが可能です。
②統合ストレージによる運用の簡素化
vSAN Maxは、全てのvSphereクラスタの集約型共有ストレージソリューションとして利用可能です。共有ストレージをvSphere・vCenterと統合することで、データセンター全体の標準化を実現し、効率化な管理性とシンプルで段階的なスケーラビリティを提供します。
③クラウドネイティブアプリケーションへの対応
vSAN Maxは、動的リソースを必要とするアプリケーションに対応する、柔軟で独立した拡張可能なストレージソリューションを提供します。サーバとストレージの比例的な拡張が不要なアプリケーションのリソースを最適化し、統一されたプラットフォームでブロック、ファイル、パートナーベースのオブジェクトストレージを提供します。
vSAN Maxの利用方法
vSAN Maxには最低6つのノードと150TiBのストレージ容量/ノードが必要で、ESAベースのvSAN Max認定ReadyNodeの使用が基本条件となっています。
vSAN Maxの利用権は、vSANライセンスに含まれており、vSANは、「VMware Cloud Foundation(VCF)」のサブスクリプションに含まれています。また、「VMware vSphere Foundation(VVF)」および「VMware Cloud Foundation(VCF)」に対して、大規模なデータセンターのニーズを考慮した「ストレージ容量(TiB)」単位でvSANのサブスクリプションをアドオンすることが可能です。
- 利用するディスクサイズ(Raw Capacity)1TiBにつき1ライセンス
- (計算式)1TB x 0.9095 = 1TiB
- vSANクラスタを構成するディスクサイズが対象になります。
- キャッシュはカウントしません。
- vSANクラスタの実効容量ではない点にご注意ください。
VMware vSANが提供する機能 | |
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ライセンスモデル | サブスクリプション |
購入単位 | TiB |
ストレージポリシーベースの管理 | |
分散仮想スイッチ | |
ソフトウェアチェックサム | |
オールフラッシュ構成 | |
iSCSI ターゲットサービス | |
QoS – IOPS の制限 | |
CNS コントロールプレーン | |
vSphere CSI ドライバー | |
共有 witness | |
重複排除/圧縮 (オールフラッシュのみ) | |
RAID-5/6 イレイジャーコーディング (オールフラッシュのみ) | |
vCenter 内の VMware Aria Operations | |
vSAN ストレッチクラスタ | |
保存データの暗号化 | |
ファイルサービス | |
Cross-Cluster Capacity Sharing ※1 | ※1 |
vSAN MAX |
※2Two-node clusters only. Stretched clusters with 3 or more hosts require vSAN ENT or ENT+ licensing.
vSAN Maxの相談はネットワールドまで!
vSANクラスタをストレージ専門の外部ストレージとして活用する「vSAN Max」についてご紹介しました。エンタープライズの環境では、パフォーマンス、スケーラビリティ、柔軟性が常に要求されます。これらの要望に対応できるvSAN Maxが登場したことで、クラウド時代における様々なワークロードのストレージ要求を迅速に満たすことが可能になりました。
ネットワールドではvSANソリューションをスムーズに導入・活用いただくために、お客様に合わせてヒアリングから各コンポーネントの導入、操作手順書の作成、トレーニングの実施、導入後のオフサイトサポートまでトータルに対応する「導入支援サービス」を提供しています。基本的なサービスに加えて、お客様に要望に応じた個別のサービスカスタマイズも可能です。
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