Workspace ONE徹底解説Enterprise編~インテリジェンスを活用した自動化を実現~

Workspace ONE徹底解説Enterprise編~インテリジェンスを活用した自動化を実現~

「データの時代」と呼ばれる現在、企業にとってデータは強力な武器になります。社外に対してはデータを活用してビジネスを変革し、新たな強みを生み出すDXを実現したり、社内に対しては従業員の生産性を向上させたり、サイバーセキュリティを高めたりすることができるのです。

ここでは、最新のデジタルワークスペース向けのインサイトと自動化する「Workspace ONE Intelligence」を紹介します。Workspace ONEのインテリジェンスはVMware社のセキュリティソリューション「VMware SASE」においても重要な要素の一つとなっています。

目次

コロナ禍で加速したデジタル化とDX

新型コロナウイルスのパンデミックは、多くの企業でテレワークへの移行を加速させただけでなく、デジタル化も推進させる結果になりました。例えば製造業では、工場のラインに多くのセンサーを設置し、遠隔から監視できるようにして現場の人員を極力減らしました。言い換えれば、IoTの導入により工場をデジタル化したわけです。一般企業においても、総合受付やヘルプデスクのリモート化や、受信したFAXのデータ化によってオフィスにいなくても確認できるようになりました。

こうしたデジタル化の流れは、コロナ禍以前からあったものです。デジタル化推進のきっかけとなった代表的なものに、経済産業省が2019年に発表した「DXレポート」が挙げられます。企業のシステムが属人化していて、かつそれを扱えるIT担当者が定年を迎えること、多くに日本企業で使われているERPの特定バージョンのサポートが2025年に終了することなどから、早く柔軟なシステムに移行して(DXを実現して)データをビジネスに活用できるようにしないと「デジタル競争の敗者」になり、2025年から膨大な損失が発生することになってしまう。いわゆる「2025年の崖」が起きるというものです。

従来、一年以上かけて構築していたオンプレミスのシステムでは、時代やニーズに合わせてタイムリーかつ柔軟に変えていくことは困難です。そこで日本政府は、システムの構築を検討する際には、まずクラウドから検討する「クラウド・バイ・デフォルト原則」の方針を打ち出しました。クラウド化はデジタル化であり、さまざまなデータを蓄積できます。

蓄積した大量のデータを分析することで、既存のサービスに付加価値を与えたり、まったく新しいサービスを生み出したりできる可能性が生まれます。このビジネス革新がDXです。日本でも多くの企業がDXに取り組み、成功例が記事などで紹介されていますが、やはりデータの活用が成功要因のひとつとなっています。

政府による「クラウド・バイ・デフォルト原則」

政府による「クラウド・バイ・デフォルト原則」
(出典:内閣官房IT総合戦略室の資料より作成)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/dai77/sankou.pdf

従来型の業務における課題を解決するためには

従来型の業務は、まず複数の情報源のデータを、それらを格納しているアプリケーションを使ってエクスポートし、データベースに読み込み、データを関連付けてデータ分析ツールであるAlteryxやSplunkでインサイトを入手、BIデータ視覚化ツールTableauなどで独自に可視化したうえで、APIを呼び出して対処しています。問題はこれらをすべて手動で行っていることです。これではかなり多くの時間とコストがかかりますし、常に数日の遅れが発生してしまいます。事後対応型の業務といえるでしょう。

これでは従業員の負荷は減らず、生産性も向上しません。DXの実現には、従業員の働き方改革や意識改革、負荷の軽減が必須となります。何より企業を支えているのは従業員であるからです。また、IT部門の効率性と俊敏性の向上も求められます。さらに、巧妙化・凶悪化するサイバー攻撃や人的なミス、悪意のある内部者によるサイバーインシデントを防ぐことも重要なポイントとなります。

DX以前の業務の進め方

データ化とデジタル化を進めることで、こうした課題も解決することができます。適切なツールを導入して業務を自動化し、豊富なデータポイントのセットに基づく機械学習モデルを活用することで、デスクトップおよびモバイルデバイス、OS、アプリケーション、ユーザーなど、クロスプラットフォームのデジタルワークスペース全体にわたる深いインサイトを得ることができるのです。こうなれば、企業はデータ主導のスマートな意思決定が可能になります。

これを実現するのが、「Workspace ONE Enterprise」に含まれる「Workspace ONE Intelligence」です。Workspace ONEは、デバイスやアクセスする場所を問わず、あらゆるアプリケーションをシンプルかつセキュアに提供、管理できるインテリジェンスベースのデジタルワークスペース プラットフォームです。Enterpriseはそのハイエンドバージョンで、VDI環境などにも対応しています。

DXを視野に入れたデジタル化、データ化を実現できる

Workspace ONE Intelligenceは、テレワークを支援するソリューションである「Anywhere Workspace」のコアデータプラットフォームを構成するもので、複数のソースからのデータを集約して、関連付け、分析し、あらゆるEUCサービスにわたるレポート、ダッシュボード、自動化、アラート、機械学習をサポートする機能を提供します。

IT部門は、統合されたインサイトと自動化機能によって、従業員のデジタル体験をプロアクティブに改善し、セキュリティリスク関連のコンプライアンスを強化するとともに、IT運用を最適化することができます。企業内のあらゆるデータを取り込んで、データに基づく意思決定のためのさまざまなインサイトを提供するシステムと考えることができるでしょう。

Workspace ONE Intelligenceによって、デジタルワークスペース全体を可視化することができます。また、アプリケーションの開発と展開を企業全体で最適化することで、問題の迅速な解決、エスカレーションの削減、ユーザーの使用環境の改善を実現できます。さらに、プロセスの自動化により環境全体に対してゼロトラスト セキュリティを適用できます。コンプライアンス要件への対応や従業員の生産性向上も可能になるのです。

Workspace ONE Intelligenceの機能イメージ

企業内にあるあらゆるデータを収集して分析することは、ビジネス戦略に有効なだけでなく、セキュリティ対策にも大きな効果があります。例えば、エンドポイントのセキュリティ対策ソフトをすり抜けた脅威が、社内ネットワークにマルウェアをダウンロードした時点で検知できますし、侵入したマルウェアのラテラルムーブメント(横移動/横展開)も検知できます。また、不正なユーザーによる権限の昇格や、重要なデータへのアクセス、外部へのデータ送信なども検知可能になり、セキュリティインシデントを未然に防ぐことができるようになるのです。

Workspace ONE Intelligenceを導入することで、インサイトの面では包括的な可視化、スピードと規模、高度な可視化機能によって、環境全体をワンストップで確認できるため、適切な判断を迅速に下し、リアルタイムで結果の確認まで可能になります。分析の側面では、アプリケーションのパフォーマンスを常に把握して最適化でき、展開状況と使用状況の把握によってアプリケーション導入のROIを容易に定量化することができます。

さらに自動化の面では、豊富なパラメーターに基づいて処理を実行するルールを定義でき、プロセスを自動化する意思決定エンジンを搭載しているので、コンテキストに応じて自動修正処理を行うポリシーを作成して、セキュリティとコンプライアンスの強化が可能です。必要なサードパーティのサービスにも適用できる、コンテキストベースのワークフローの作成といった拡張性も備えています。

Workspace ONE Intelligenceは、自社のデジタル化を推進し、データの活用によってDXを実現するためのすべての機能を提供できます。Workspace ONE Enterpriseには、テレワーク環境でもユーザーやデバイス、通信などを把握して、ゼロトラストの考え方によるセキュリティを実現できる機能もあります。まさに、これからの企業に求められる機能をすべて備えたソリューションと言えるのではないでしょうか。

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