「Azure VMware Solution」を選定するメリットとは?

「Azure VMware Solution」を選定するメリットとは?

マイクロソフトが提供しているAzure VMware Solutionには、どのようなメリットがあるのでしょうか。拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)の無償提供、Azureハイブリッド特典(ライセンス持ち込み)、Microsoft 365のクライアントライセンス持ち込み、Azureポータルからの一元管理などについて紹介します。

目次

Azure VMware Solutionの特徴

VMware vSphere環境のハイブリッドクラウドを構成する「VMware Cloud」ソリューションは、主要なパブリッククラウドプロバイダーから提供されています。そのなかで、マイクロソフトが提供しているのがAzure VMware Solutionです。

各社ともヴイエムウェアと共同でソリューションを開発しており、VMwareの認定を受けた環境として提供しています。具体的には、VMware Cloudを構成する製品として、VMware vSphereVMware NSXVMware vSANといったVMware SDDC(Software Defined Datacenter)のコンセプトを実現するためのコンポーネントをベースに構築されています。

このため、利用できるサービスや機能、ユースケース、得られるメリットには大差がないようにも感じられます。では、これからVMware Cloudを採用しようという企業は、どのような基準で各社のVMware Cloudソリューションを選択すればよいのでしょうか。

以下で、Azure VMware Solutionを選定する際のポイントを整理します。

Azure VMware Solutionの概念図

ポイント1:拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)を無償で利用できる

1つ目のポイントは、拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)の無償提供です。拡張セキュリティ更新プログラムは、サポートの切れたマイクロソフト製品に対して、セキュリティ更新プログラムを3年間、有償で提供するサービスです。

基幹システムとして数多く利用されている「SQL Server 2008/R2」は2019年7月9日にサポートが終了、「Windows Server 2008/R2」は2020年1月14日にサポートが終了しています。やむを得ない理由でこれらのOS、データベースを利用する場合、オンプレミス環境では、この拡張セキュリティ更新プログラムを有償で利用することになります。

これに対し、Microsoft Azure上の仮想マシンインスタンスでは、拡張セキュリティ更新プログラムが無償で利用できます。Azure VMware Solutionのインスタンスも対象に含まれます。これにより、最新のWindows ServerやSQL Serverへのバージョンアップするための準備を効率良く行うことができるようになります。

拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)の無償利用

ポイント2:Azureハイブリッド特典により既存ライセンスの持ち込みが可能

2つ目のポイントは、Azureハイブリッド特典です。ソフトウェアアシュアランスを有する顧客は、Azureの専用クラウドサービスへのデプロイを行う際に、Azureハイブリッド特典による固有の特典を受けることができます。この対象にAzure VMware Solutionも含まれます。

Azureハイブリッド特典には「無制限の仮想化の権利」「移行時の二重使用権」「間接的なコアが無料」などがあります。「無制限の仮想化の権利」は、ホスト全体がライセンスされている場合、仮想化に対する完全な制御権が得られるものです。「移行時の二重使用権」はクラウドへ移行しながら、それと同時にオンプレミスの Windows ServerやSQL ServerのライセンスをAzureで利用可能(最大180日まで)にするものです。「間接的なコアが無料」は、保守にかかる費用はマイクロソフトが負担し、顧客自身のワークロードの実行に使われるコアのみをライセンスするものです。

これにより、例えば、Windows Server DatacenterやSQL Server Enterpriseの各エディションを利用している場合、既存ライセンスを持ち込むことでWindows ServerをゲストOSとする仮想マシンを無制限に立てることができます。また、Microsoft 365のクライアントライセンス持ち込みも可能です。

Azureハイブリッド特典を活用できる

ポイント3:Azureのネイティブサービスとのシームレスに連携

3つ目のポイントは、Azureのネイティブサービスとのシームレスに連携できることです。

Azureはストレージサービスとして、アーカイブ階層化を備えた低コストかつ高性能なオブジェクトストレージ「Blob Storage」や大規模な SMBファイル共有サービス「Azure Files」、エンタープライズ クラスの高パフォーマンスNFSファイル共有サービス「NetApp Files」などを提供しています。

また、データベースサービスとしてマネージドRDB サービス「Azure SQL Database」やハイパースケール型オープンソースDB「Azure PostgreSQL Server」があります。

ネットワークサービスも、レイヤー7Webトラフィックロードバランサー(WAF)の「Azure Application Gateway」を用いた負荷分散が可能です。このほか、バックアップサービスやセキュリティサービスなど、3rd Partyソフトウェアを含めて多種多様なサービス連携が可能です。

また、予約インスタンスを用いた大幅な割引を受けることもできます。予約インスタンスを活用してコストを最適化し、段階的なクラウド移行が可能になります。

ネットワークサービスApplication Gatewayの構成図
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