NVIDIA vGPUの導入例と効果

NVIDIA vGPUの導入例と効果

NVIDIA vGPUを利用したVDI(仮想デスクトップ)は、様々なユーザーの業務に変革をもたらします。ここでは、NVIDIA vGPUソフトウェアのうち、NVIDIA 仮想PC(vPC)を用いた、NVIDIA RTX仮想ワークステーション(vWS)を用いた2つ観点から、業界・分野ごとの課題解決や導入効果を実際の事例を取り上げながら紹介します。

目次

NVIDIA 仮想PCを用いた導入事例:ハーゲンダッツ ジャパン

課題

アイスクリーム等の製造・販売で知られるハーゲンダッツ ジャパンでは、業界を先駆けて全社員にVDIを導入しましたが、物理PCと比べてあらゆる動作が重く、WordやExcel、PowerPoint、OutlookなどのOffice系アプリケーションでも画面がフリーズするという現象が頻発していました。また、同社はWebサイトを通じて魅力的な商品情報を発信するコンテンツ制作に入れていますが、映像やアニメーションなどの要素が増えるにつれ、クリエイティブチームや営業部門の担当者がVDIからアクセスしてチェックすることが非常に困難となっていました。

解決策と効果

インフラ更改にあわせ、VMware HorizonとNVIDIA 仮想PC、NVIDIA M10で構成された新しいVDI環境を導入。この結果、Windows 10およびOffice系アプリケーションのレスポンスや操作感が飛躍的に向上。ユーザーに安定的かつ快適なエクスペリエンスを提供できるようになったことで、ヘルプデスクへの問い合わせも激減。さらにこの新VDI環境はオフィスに縛られないデスクトップ利用を可能とし、働き方改革の推進にも効果を上げています。また、Webブラウザーの表示速度も大幅に改善。映像やアニメーションを多用したコンテンツもスムーズに表示されるようになり、担当者はいつでも、どこからでも、Webサイトのチェックを行えるようになりました。

NVIDIA 仮想PCを用いた導入事例:はなさく生命

課題

日本生命グループのはなさく生命は、自らのあるべき姿を「ニュー・インシュアランス・クリエイター」と定義し、「新しい商品・サービスを提供し続ける企業」「従業員が働きがいを実感し続けることのできる企業」を目指しています。このコーポレートビジョンの実現を支える新たなインフラとして、すべての社員がいつでも、どこにいても高いパフォーマンスを発揮できる、働きやすい環境を整備することが必要でした。

解決策と効果

VDIを候補としてPoC環境を用意し、快適なユーザーエクスペリエンスの実現、適正なコストでの導入、長期間にわたって快適性を維持できることを条件にテストを繰り返し、機器構成を検討。その結果、高性能なCPUや大容量メモリを搭載したホストサーバーを数多く用意するよりも、VMware HorizonにNVIDIA仮想PC+NVIDIA M10による仮想GPUソリューションを組み合わせたVDIを構築した方が、より良好なパフォーマンスを得られるととともにコスト的にも有利と判断しました。実際にこのVDI環境はユーザーに対して、Windows 10やOfficeアプリケーションの起動時間、Web会議、動画の再生、大規模な集計表のスクロールなど、広範な業務の生産性向上に寄与しています。

NVIDIA RTX 仮想ワークステーションを用いた導入事例:三菱自動車工業

課題

三菱自動車工業は研究開発部門独自のIT基盤のもと、数千台のワークステーションと200種を超えるアプリケーションを運用し、CAD/CAEなどのデジタル開発をサポートしています。しかし、これらのワークステーションは部署やユーザーごとに異なる設定が求められ、1台をセットアップするのに約2週間を要します。特に社内レイアウト変更や組織変更の際にはその作業が集中し、IT基盤の運用管理を担っているエンジニアリングIT部門は日常的にワークステーションの移設作業に追われていました。必然的にワークステーションの稼働率も向上せず、平均すると70%程度にとどまっているのが実情でした。

解決策と効果

そこで、VMware HorizonとNVIDIA RTX 仮想ワークステーションをベースにワークステーションの集中管理が行えるVDI化に踏み切りました。ユーザーにとってもオフィスの自席での利用に限られていたCADが、場所を選ばず会議室や出張先でも使えるメリットは大きく、「まるで固定電話がスマートフォンになったかのような進化」を組織にもたらしました。また、これまではファイルサーバーから大きなCADデータをダウンロードして開くだけで1時間以上を要していた待ち時間が圧倒的に短縮されたことで、設計エンジニアの業務効率を大幅に向上しました。

NVIDIA RTX 仮想ワークステーションを用いた導入事例:東急建設

課題

東急建設では設計から施工・維持管理の建築物ライフサイクル情報を蓄積・活用するBIM(Building Information Modeling)/CIM(Construction Information Modeling)の社内普及を推進するため、環境整備を検討していました。しかし、BIM/CIMでは大量の3Dデータを扱う必要があり、GPUを搭載した高性能ワークステーションが必須となります。一部の部署からワークステーションの配布を順次進めていましたが、全社に行きわたるまでには相当な時間を要すると考えられ、今後どうやってガバナンスを効かせるのかといった管理面の懸念も高まっていました。

解決策と効果

VMware HorizonとNVIDIA RTX仮想ワークステーションをベースとするVDIを導入。これにより3Dデータの処理はすべて仮想サーバー側で実行し、ユーザーは社内標準のノートPCからVDIに接続してBIM/CIMを利用できるようになりました。社内講習会をオンラインで、いつでも、どこでも実施できるようになったメリットも大きく、BIM/CIMに関するスキルや知見は着実に全国拠点へと広がっています。例えばBIM/CIMによる建築・土木データの共有が加速し、ユーザーの生産性も向上しています。一方でインフラ管理者も、物理ワークステーションの煩雑なキッティングやセットアップ作業から解放されました。

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