Tanzu Observability by Wavefrontとは?~AI分析による可視化と最適化~

Tanzu Observability by Wavefrontとは?~AI分析による可視化と最適化~

今回は、「VMware Tanzu」の中核的な機能で、アプリケーションのデータ収集、可視化および分析を実施できるプラットフォームである「Tanzu Observability by Wavefront」について紹介します。

目次

VMwareの「オブザーバビリティー」を実現する「Tanzu Observability by Wavefront」

「Tanzu Observability by Wavefront」は、アプリケーションのワークロード、サービス、インフラのデータ収集、可視化や分析機能を提供するSaaSベースの分析ソリューションです。マイクロサービスやサーバーレス、コンテナ、IoTなどさまざまなデータソースからリアルタイムにデータを収集し、ルーティング、4Dデータプロセッシングなどの技術を用いてヒストグラム、メトリック、トレース、拡張ロギングなどの手法で状況を伝えます。その上で、アラート、視覚化、トラブルシュート、自動予測などの形式でアウトプットし、インフラ管理者、アプリ開発者双方に取って有用なインサイトを提供します。

例えば、アプリケーションの異常や問題をリアルタイムに分析・可視化することによって問題の原因を迅速に特定したり、データセット間の関連を見つけてアプリケーションのボトルネックとなっているリソースを特定したりすることができます。さらに、正確性の高い、高性能な分析機能によって、誤ったアラームが発するのを防ぎ、運用の効率性向上にも貢献します。

Tanzu Observability by Wavefront

企業の開発者やSREなどにサービスとしての監視を提供

Tanzu Observability by Wavefrontは、大規模な利用を想定した監視機能と分析機能を提供し、きめ細かな制御を実現します。例えば、開発者やSRE(Site Reliability Engineering:サイト信頼性エンジニアリング)担当者を含むすべてのDevOpsチームに監視をサービスとして展開できます。具体的には次のような機能を提供しています。

スマートなアラート機能

分析駆動型アラートを活用することにより、アプリケーションやKubernetes、クラウド、環境などの異常を正確に検出できます。

従来のツールでは、単純なしきい値をベースにした検出によって、誤ったアラートと本当のアラートの見極めが難しかったという課題がありましたが、ノイズを動的に認識することで、本当の異常値をベースにアラートを作成します。

また、Tanzu Observability by Wavefrontでは、複数のツールから取得した情報を統合し、1つのシステム上でアラートを作成します。そのため、異なるツールが発する多数のアラートを処理する煩雑さを解消できます。さらに、Tanzu ObservabilityのアラートをSlack、PagerDuty、ServiceNow、HipChat、OpsGenie、Webhook、メールなどのDevOpsツールと統合することで、チーム間でのコラボレーションを推進できます。

カスタムダッシュボード

Tanzu Observability by Wavefrontは、反復的なデータの確認によりすばやい異常検出が可能です。経験の少ない担当者でも数秒で必要な洞察を得ることができます。高解像度で高密度のチャートとダッシュボードを素早く作成し、直感的に指標を見つけます。クエリを記述したり、グラフエディタを開いたりする必要もありません。ドラッグアンドドロップで、測定値、ヒストグラム、グラフの種類からグラフを作成し、アプリケーションとインフラの状態をすぐに視覚化できます。

アプリケーションの可観測性

Tanzu Observability by Wavefrontには主要なヘルスメトリック、ヒストグラム、一般的な言語とフレームワークの分散トレースとスパンログのサポートが組み込まれています。これにより、開発者やSRE担当者はマイクロサービスベースのアプリケーションを容易に監視できるようになります。

また、アプリケーションマップを使用したサービスやサービス間通信を迅速に検出し、トラブルシューティングします。アプリケーションマップは、すべての動的分散アプリケーションサービスをリアルタイムで表示します。それにより、開発者とSRE担当者は、すべてのアプリケーションクラスターと内部サービス通信を視覚化することができ、アプリケーショントポロジーを素早く理解したり、顧客が影響を受ける前に異常なサービスを発見したりすることができます。

さらに、コード変更の有無にかかわらず、アプリケーションの可観測性を追加できます。Tanzu Observability Java Tracing Agentにより、コードを変更することなくアプリケーションのパフォーマンスを可視化できます。Java、Python、.NET、Dropwizard、GRPC、JAEGER、ZIPKINなど複数の開発言語、フレームワーク、サードパーティソリューションをサポートしている点も特徴です。

Tanzu Observability by Wavefrontの活用例

既に多くの企業がTanzu Observability by Wavefrontを活用してサービス監視やアラート機能を活用しています。

例えば、A社では、インフラストラクチャーとアプリケーションの間にプラットフォームとしてTanzu Observability by Wavefrontを導入し、開発者がコードをより早く本番環境に導入できるようにしています。Wavefrontは700人を超えるWorkday開発者に急速に拡大し、統合されたメトリックダッシュボード、クエリ駆動型分析、スマートなアラートから、さまざまな洞察を提供し、同社の成長力の原動力となっています。

また、クラウドサービスを提供するB社もTanzu Observability by Wavefrontを利用しています。同社の顧客はアップロードの速度、サイトの信頼性、課題への対応などを期待しており、従来はオープンソースのツールを使っていました。しかし、信頼性が得られなかった上に、コスト面でも同社の成長に見合わなくなってきたためWavefrontを導入。システム開発や運用エンジンニアが自社のインフラの状況を理解するツールとして活用しています。

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