「VMware NSX Advanced Load Balancer」におけるライセンスの考え方

「VMware NSX Advanced Load Balancer」におけるライセンスの考え方

マルチクラウドに対応したソフトウエア型ロードバランサーである「VMware NSX Advanced Load Balancer」(以下、NSX Advanced Load Balancer)は、従来の物理型ロードバランサーとパブリッククラウド型ロードバランサーの良い部分を兼ね備えているところが最大の特徴です。この記事では、NSX Advanced Load Balancerの導入を検討する企業を対象に、購入するライセンス体系について解説します。

目次

NSX Advanced Load Balancer の製品ラインアップ

NSX Advanced Load Balancerのライセンスを購入する場合、大きく2つの軸があります。

1つめは「ライセンスの期間」をどう設定するかです。保守を組み合わせた永続ライセンスという選択肢と、1年もしくは3年のタームライセンスという選択肢があります。まずはこの期間を決める必要があります。

2つめは、「ライセンスの単位」です。これには後述するサービスコア(vCPU)単位で購入する方法、CPU単位(VMware Cloud Foundation/NSXのアドオン専用)で購入する方法、VDI向けにCCU単位で購入する方法の3つが用意されています。こちらも、自社のシステム構成などに適したものを選択します。

自社のニーズに沿って、ライセンスの期間、ライセンスの単位の2つの軸を手掛かりに、購入する際のプランを絞り込みましょう。

NSX-ALBのライセンス単位と購入方法

NSX Advanced Load Balancer の価値を理解してライセンスを購入する

実際にNSX Advanced Load Balancerのライセンスを購入する前に、この製品の価値が何であるかを理解しておいた方がスムーズです。そこで重要なのは、NSX Advanced Load Balancerを構成する2つの要素です。それが「Avi Controller」と「Avi Service Engine (Avi SE)」です。

NSX Advanced Load Balancerの大きな特徴は、「コントローラー」と「サービスエンジン(SE)」が分離しているため、サービスエンジンを追加してスケールアウトしたり、CPUを追加してスケールアップしたりなど、伸縮自在な運用が可能になることです。両者がシステム的に連動してしまっていると、仕組みが複雑化するためスケールアウトやスケールアップの実装が難しくなります。

コントロールプレーンと分離した伸縮自在なサービスエンジン(SE)

コントローラーは、サービスに関連するポリシーを管理します。3台のHAクラスタが推奨構成ですが、1台の仮想マシンで展開することも可能で、ライセンスはAvi SEに含まれるため無償です。

サービスエンジンであるAvi SEにおいて、各Avi SEは独自の仮想マシンとして動作します。必要な性能に応じて1~250台の構成が可能です。Avi SEに割り当てるvCPU分のライセンスが必要となってきます。

サービスコア(vCPU)単位

Avi SEに割り当てるvCPUをサービスコアと呼びます。例えば、下図のような、仮想環境とパブリッククラウド環境を併用している企業を想定してみましょう。この企業では、仮想環境において、2台のAvi SE合計で2つのvCPUを割り当てます。さらに、パブリッククラウド環境では、1つのサービスエンジンで1つのvCPU、もう1つのサービスエンジンで2つのvCPUを搭載し、2台のAvi SE合計で3vCPUを実装します。結果として、この企業は、2つの環境合計で5つのサービスコア(vCPU)のライセンスが必要になります。

サービスコア(vCPU)の考え方

CPU単位(VCF/NSXへのアドオン)

ここでは「CPU単位のライセンス」を紹介します。

前述のとおり、CPU単位のライセンスはVMware Cloud FoundationもしくはVMware NSXへのアドオンのみで利用可能なシンプルなライセンスです。NSX Advanced Load Balancer単体導入の場合はサービスコアライセンスの発注が必要になります。また、CPU単位のライセンスの最小発注数は4CPU、CPU単位のライセンスはNSX Advanced Load Balancer上で「1CPU =0.25 サービスコア」に換算します。

VMware Cloud Foundation/NSX環境で利用可能なNSX Advanced Load Balancer機能は、あくまで換算されたサービスコア数に依存します。CPU単位とサービスコア単位のライセンスの混在は可能です。

利⽤シーンとしては、VMware Cloud Foundation/NSX のアドオン案件で、初期導入でNSX Advanced Load Balancerのサイジングが困難な場合などが考えられます。例えば、100CPU のVMware Cloud Foundation環境へのアドオンとして、NSX Advanced Load Balancerを100CPUライセンス購入するとします。NSX Advanced Load Balancerの初期導入後、追加で10サービスコアライセンスを購入すると想定すると、1CPU =0.25 サービスコアであるため、最終的には(100×0.25)+10=35のサービスコアライセンスを利用することになります。

CCU単位(VDI向けライセンス)

VDI向けに「NSX Advanced Load Balancer for VDI per CCU」が用意されています。仮想デスクトップへリモートから同時に接続してくる数であるCCU(Concurrent Connection User)数に応じたライセンスです。仮想デスクトップ数に応じて容易にライセンスを計画できるため、VDI環境でのNSX Advanced Load Balancer利用において有用な選択肢となっています。

NSX Advanced Load Balancerの導入はネットワールドに!

このように、NSX Advanced Load Balancerの導入にあたっては、さまざまな選択肢があります。サイジングをはじめ詳細な製品およびサービス情報を正確に把握し、上手に使いこなすためには、専門知識を持つパートナーの力が不可欠です。ネットワールドはVMwareについて長年にわたって製品やサービスを展開しており、NSX Advanced Load Balancerに限らずVMware製品全般について豊富な知見を有しています。導入をご検討の際には、ぜひお気軽にご相談ください。

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