マルチクラウド管理ツール「CloudHealth by VMware」とは?

マルチクラウド管理ツール「CloudHealth by VMware」とは?

マルチクラウドの課題を解消し、各クラウドの強みをさらに引き出すツールとして、VMwareが提供している「CloudHealth by VMware」(以下、CloudHealth)。CloudHealthは、主要なクラウドであるAWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)だけでなく、「VMware vSphere」によるプライベートクラウド環境にも対応する。このCloudHealth by VMwareのユーザーメリットを、5つの観点で整理していきます。

目次

マルチクラウド管理ツール「CloudHealth by VMware」の5つの特徴

マルチクラウドの課題を解消し、各クラウドの強みをさらに引き出すツールとして、VMwareが提供しているのが「CloudHealth by VMware」です。

CloudHealthは2012年に米国で設立され、2019年8月にVMwareが買収したマルチクラウドの最適化プラットフォームにおけるリーダー企業です。世界で1万を超える組織に利用(2021年1月時点)されており、管理しているパブリッククラウドは110億ドル規模に達します。日本においては、ネットワールドが2019年10月に取り扱いを開始し、さまざまな企業で利用が始まっています。

CloudHealthの特徴は、主要クラウドであるAWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform、Oracle Cloud Infrastructureに対応するだけでなく、VMware vSphereによるプライベートクラウド環境にも対応していることです。企業がマルチクラウド、ハイブリッドクラウド、マルチアカウントを管理するうえで直面するさまざまな課題を解決できます。

特徴的な機能は、大きく5つに整理することができます。1. 運用の標準化と自動化、2. 状態の可視化と最適化、3. コスト管理、4. セキュリティ管理とコンプライアンス、5. データの連携とコラボレーションです。これら5つは、マルチクラウド管理で求められる主要な要件であり、CloudHealthは、他のマルチクラウド管理ツールと比較して、この5つの項目で特に優れた機能を提供しています。

CloudHealth by VMwareの管理画面

特徴① 運用の標準化と自動化

CloudHealthは、1つの管理画面で複数のクラウドサービスをまとめて管理することが可能です。

管理画面の上部には「Amazon」「Azure」「Google Cloud」「Oracle Cloud」「Data Center」といったメニューが表示されており、それらを選択することで、管理対象のAWS、Azure、Google Cloud Platform、Oracle Cloud、プライベートクラウドを素早く切り替えられます。管理画面の左側には「Dashboards」「Reports」「Assets」「Recommendations」などのメニューが表示されており、ログやアラートの表示、各種資産の管理、推奨設定の適用などを行えます。

CloudHealthに備わる自動化機能やPerspectivesと呼ばれる論理グルーピング機能を用いると、異なるクラウドをまたがって各種資産や情報をグルーピングし、一元管理できます。個別のクラウド自体では設定することができない柔軟なポリシーを定義して、一定時間が稼働し続けたら自動停止するといった自動化が可能です。

特徴② 状態の可視化と最適化

可視化機能は、直近の利用状況の表示や、未来の利用料金の予測などの分析を提供するものです。ユーザー単位、組織単位、アプリケーション単位など、さまざまな観点でカテゴリ分けして分析することができます。オンプレミスからクラウドに移行する際のコストシミュレーションも行ったり、Kubernetes,、Mesos、Amazon ECS、Amazon EKSなどのコンテナ環境を可視化したりできます。

Perspectivesを用いると、クラウド側の設定を変更することなく、リソースの種類や、システムの種類などさまざまな切り口で、CloudHealthが収集した情報を分析できます。

最適化機能は、使用状況を基に、コストやリソースを最適化するための対策を提案してくれる機能です。クラウドごとにロジックを内蔵しており、Amazon EC2やAmazon RDS、Azure VM、SQL Databaseなどのリザーブドインスタンスを活用することによるコスト最適化や、資産や利用効率を分析して必要なパフォーマンスや利用率を効率化するリソース最適化などを提供します。

Perspectivesによるリソース管理

特徴③ コスト管理

コスト管理では、最適化機能を活用しながら、部門、チーム、プロジェクト、アプリケーションなどのさまざまな単位でコストを計算し、現状の把握や将来の予測に役立ちます。

例えば、マルチクラウド環境におけるリザーブドインスタンスのコスト管理や、CRMやERPといったシステムの用途ごとのコストの可視化といった作業を簡単に実施できるようになります。柔軟なポリシーエンジンを備えており、ビジネス部門が直接、コスト削減のための施策を実施することも可能です。

部門やチーム、プロジェクトごとにコスト管理を行うことで、経営に対する報告や説明を容易にする効果もあります。

特徴④ セキュリティ管理とコンプライアンス

セキュリティ管理とコンプライアンスは、可視化、最適化、コスト管理などの機能を活用することで、システム全体にセキュリティ的な異常が発生したり、コンプライアンス上の違反が見つかったりした場合に、すみやかに検知してアラートを発するものです。

例えば、セキュリティ設定を各クラウドベンダーが推奨しているベストプラスクティスに違反していないか自動的にチェックすることができます。また、独自のポリシーを定義し、違反を検知した際にアラートを出すといったことができます。

セキュリティやガバナンスのフレームワーク(CIS、NIST、SOC 2、GDPR、HIPPA、PCIなど)に沿ったレポーティングも可能です。

特徴⑤ データの連携とコラボレーション

CloudHealthは、APIでさまざまなシステムやサービスと連携することができます。例えば、セキュリティアラートを検知したときに、SlackやJIRAなどのコラボレーションツールと連携し、迅速な情報共有や素早いインシデント対応につなげます。

Amazon SQS、Ansible、Chef、Datadog、New Relic、Wavefront by VMwareなど、メッセージングやデータ管理、構成管理、パフォーマンス管理などさまざまなサードパーティ製ツールを活用できます。さまざまなシステムと連携することで、ビジネスKPIの達成度の確認やTCO削減効果の確認なども容易に実施できます。

マルチクラウドの活用は企業にさまざまなメリットをもたらします。ただそのメリットを引き出すためには、マルチクラウド管理で直面する課題を解消することが求められます。CloudHealth by VMwareは、5つの特徴でそうした課題の解決をしやすくするソリューションです。ネットワールドでは、CloudHealthの評価検証を行い、導入支援から構築、運用まで充実したサポート体制を整えています。

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